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嫌な気持ちはストーリーテリングで吹き飛ばせ!ってレビュー論文を読んだ話

 

嫌な気持ちはストーリーテリングで吹き飛ばせ!ってレビュー(R)が良い感じなので、気分が落ち込みがちな方はチェックしておくと役に立つでしょう。

 

これはペンシルベニア大学の先生方が行ったレビュー論文で、「ネガティブな経験に立ち向かう方法」について調べた過去の研究をピックアップした上で、

 

  • ネガティブな経験のダメージをやわらげるには「ストーリーテリング」が良いよ!

 

って主張をまとめたものです。病気、失業、人間関係の破綻、恥ずかしい失敗といった嫌な体験を味わったら、その内容をひとまとまりの物語にしたてあげることで、気持ちを癒していくわけですね。

まぁストーリーテリングの有効性は知ってましたが、このレビューによれば、かなり幅広い効能を持つみたいでして、以下のような評価がなされておりました。

 

  • ストレスの軽減:過去のネガティブな経験を語ることで、ストレスが軽減される。

  • 不安の緩和:自分の悩みを客観的に見つめることで、過去の出来事に対する不安が緩和される。

  • 自己認識の向上:新しい視点から経験を見直すことで、自己認識が向上する。

 

ネガティブな体験をあらためて語り直すことで複数の効果を得られるよーってことで、だいたい軽度から中程度のメンタルの問題を抱える人々にとって有益ってことらしい。なので、深いトラウマを抱えているような方には不向きでしょうが、日常のストレスや不安へ立ち向かうためには十分なポテンシャルを持っているのではないかと。

 

では、ネガティブな体験をした後で、どのようにストーリーテリングを使えば良いのかと言いますと、そのポイントは大きく3つになります。

 

  1. ネガティブな経験を言葉にする:過去の辛い出来事を詳細に語ることで、その経験を明確にする。

  2. ユーモアを交える:出来事をユーモアとして捉えることで、経験の重みを軽減し、共有しやすくする。

  3. 新たな視点から評価:ネガティブな体験のなかに有意義な面を探し、経験を新しい視点から見直し、ポジティブな要素や学びを見つける。

 

これら3つのポイントを押さえつつ、ストーリーテリングでネガティブな体験を乗り越えている事例をいくつか見てみましょう。たとえば、「友達とバンジージャンプに行って小便を漏らした」って経験があった場合は、以下のようになります。

 

  1. ネガティブな経験を言葉にする:「私は友人とバンジージャンプに出かけ、恐怖を感じつつも挑戦した。旅行は楽しかったものの、バンジージャンプについては何分も飛べずにみんなに迷惑をかけた。しかも、いざ飛んだ瞬間には、恐怖で泣いておしっこまで漏らしてしまった。」といったように、自分の体験を細かいところまで言葉か文章で描写してみる。

  2. ユーモアを交える:バンジージャンプで漏らした体験を友人に語る際に、笑いながら「200メートルの高さからジャンプした後は、上も下もパンツまで水浸しだ!」と明るく話すことで、出来事の重みを軽減する。

  3. 新たな視点から評価:「この経験をは、自分自身に挑戦し、恐怖を乗り越える良い機会だった。もちろん、失敗したこともあったけれど、最後までやり遂げることができたのは間違いない。あと、この体験のおかげで良いネタもできたし、たいていのことには緊張しなくなった」とポジティブな側面に焦点を当てた物語を組み直し、自分に言い聞かせる。

 

こんな感じで、自分の体験を3つのパターンから語り直してみるのが、ストーリーテリングの基本です。私もたまに使う方法で、実際に試してみると、おそらくすぐに気持ちがスッキリした感じを味わえるんじゃないでしょうか。

 

参考までに、「会社の重要なプレゼンテーションで失敗した」って事例でも考えてみましょう。

 

  1. ネガティブな経験を言葉にする:「私は会社の重要なプレゼンテーションで失敗しました。プレゼンのスライド資料がうまく動いてくれず、一気に脳味噌がパニックを起こして言葉が出なくなった。プレゼン後、上司は『気にするな』と言ってくれたが、そのせいでさらに落ち込んで、自己評価が低下した。」といったように、自分の体験を細かいところまで言葉か文章で描写してみる。

  2. ユーモアを交える:同僚に「プレゼンでスライドのアプリまで緊張しはじめた!」と笑いながら話をすることにより、失敗の重みを軽減する。

  3. 新たな視点から評価:「今回のプレゼンの失敗は、『改善点を学ぶ機会』だったとも言える。今回の失敗をもとにして、次回のプレゼンはもっと準備をし、技術的な問題にも対処できるような準備をしておく」とポジティブな側面に焦点を当てた物語を組み直し、自分に言い聞かせる。 

 

上記のように、どんな失敗や辛い体験も、3つのパターンのいずれかに当てはめてストーリー化できるはず。なにか辛い目にあったら、ぜひともいずれかのテクニックをお試しください。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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