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今週の小ネタ:脳の働きをブーストしてくれる運動とは?アレルギーをやわらげる超大事な成分とは?食物繊維で花粉症が改善?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

   

 

  

脳の働きをブーストしてくれる運動とは?

運動は頭に良い!ということで、新しい試験(R)では、「じゃあどの運動が最も脳に効くのか?」ってのを調べてくれていて参考になりました。

 

これは18人のエリート男性ボクサー(平均24歳)を対象にしたクロスオーバー実験で、参加者たちにエアロバイクで2種類の運動セッションをしてもらったんだそうな。

 

  1. 普通の運動=VO2max(最大酸素摂取量)の65%で21分ほど運動する。

  2. HIIT=3回の高強度な運動(VO2maxの85%で3分、VO2maxの95%で2分、VO2maxの100%で1分)を行い、各セットのあいだに1分間の休憩を挟む。この一連の動作を2回行う。

 

これらの運動をした後で、脳の機能をあらわす物質を調べ、認知機能をチェックできるテストを行ったとのこと。これでどんな結果が出たかと言いますと、

 

  • 何もせずに休んでいるときと比べて、HIITを行った直後はBDNF、S100B、NSEのレベルが改善した(どれも、脳の機能に欠かせない物質。これが脳内に増えるほど良い)。普通の運動をした直後はBDNFレベルだけが改善した。

 

  • 何もせずに休んでいるときと比べて、HIITをした後は脳の反応スピードがガッツリと上がった。普通の運動でも認知機能はわりと改善した。

 

  • エラー率に関しては、安静時と比較して、HIIT後には2つのタスクで改善が見られたが、MICE後には1つのタスクで改善が見られた。

 

ってことで、全体的に見ると、HIITを使ったあとに脳機能が改善してるかなーって感じですね。もちろん、めっちゃ参加者の数が少ない実験だし、キャリーオーバー効果(最初に行った運動の効果が、その後に行った運動の効果を変えちゃう効果)もあり得ますんで、HIITのほうが良いとは決まったわけじゃない点はご注意ください。

 

ただ、BDNF、S100B、NSEのレベルが改善するってのは、脳機能の面から見ればかなりナイスな結果ですんで、「これから大事なテストだ!」とか「これから大事なプレゼンだ!」みたいな状況になったら、そのちょっと前にHIITをやってみるのも良いんじゃないでしょうか。

 

 

 

アレルギーをやわらげる超大事な成分とは?

短鎖脂肪酸が多い人ほどアレルギーに強い!みたいなデータ(R)が出ておりました。短鎖脂肪酸ってのは、腸内細菌が食物繊維を分解した際に生まれる物質のこと。こいつは腸内のバリアとして働いてくれるほか、炎症を抑える働きが高いので、めっちゃ健康に良いと言われてるんですな。つまり、短鎖脂肪酸が増えれば、体内に炎症が起きる確率が下がり、アレルギーも改善するかもしれないわけです。

 

ということで、ここでは過去のアレルギー研究から37の調査をピックアップし、約3,500人のデータを分析(大半の参加者は子供と幼児)。そのうち、17の研究は短鎖脂肪酸レベルとアレルギーの発症を評価し、残り20の研究がアレルギーを持つ子どもか大人の短鎖脂肪酸レベルをチェックしております。ほとんどの研究は、症例対照研究か前向きコホート研究で、結果の信頼性はちょっと低めですね。

 

で、分析の結果はこんな感じでーす。

 

  • 調査データの大半は、3つの主要な短鎖脂肪酸(酢酸、プロピオン酸、酪酸)のいずれかが低い子どもほど、湿疹や喘息が起きる確率が高くなっていた。

 

  • 短鎖脂肪酸の量が少ない人ほど、食物アレルギー、湿疹、花粉症、喘息など、あらゆるアレルギーにかかる確率が上昇した。

 

ってことで、「うーん、あらためて短鎖脂肪酸って重要なんだな……」って感じですね。そう考えると、やはりレジスタントスターチなどを摂取しておくと、アレルギーの改善にも良いのかもしれませんね(レジスタントスターチは、短鎖脂肪酸の増加につながりやすい)。

 

まぁ、この分析の結果は、1~3件の研究から得られたデータにもとづくものなので、上記の結果の信頼性は低いものとお考えください。なので、まだまだ追試は欠かせない状況ながら、私としては、今後もレジスタントスターチを増やしていこうと思ったことでした。

 

 

 

食物繊維で花粉症が改善?

もうひとつ、アレルギーに関わる研究(R)です。この研究の結果がどうだったかと言いますと、

 

  • アルギニン+食物繊維のサプリで花粉症が改善する………かも

 

みたいになります。食物繊維がアレルギーの改善につながるってのはよく言われることですが、アルギニンとアレルギーの関係を調べたものは珍しいですね。

 

これは72名の男女(平均38)を対象にしたもので、アレルギー性鼻炎に悩む人だけを対象にしたんだそうな。実験では、参加者を2つのグループに分けまして、

 

  1. アルギニンを含む食物繊維トローチ(AllerPopsって商品らしい)を、1日おきに13日間ほど続けて摂取した。その際には、1時間以上かけて口の中でトローチをゆっくり溶かした。

  2. 上と同じトローチを摂取するが、口の中で溶かさずすぐに飲み込んだ。

 

って感じになってます。その後、7日目、14日目、21日目にアレルギー性鼻炎のレベルをチェックしたんだそうな。その結果をざっくりまとめると、以下のようになりました。

 

  • 14日目には、トローチをじっくり舐めたグループは、鼻水、くしゃみ、鼻づまり、鼻のかゆみが大きく改善がした。
  • ただし、上記の効果は21日目には統計的に有意ではなくなった。

 

ってことで、食物繊維とアルギニンをじっくり味わった人たちは、なにやら鼻炎の症状がガッツリ改善。ただし、その効果は3週間目には有意じゃなくなったみたいっすね。

 

とはいえ、この研究は、サプリメントを製造しているアレルポップス社がオーナーになってるんで、そのぶんだけ結果の信頼性が下がってしまうところはご注意ください。さらには、プラセボグループがないことと、投与期間にばらつきがあることも、データの信頼性を下げ茶って増すね。

 

なので、この結果はうのみにできないものの、アレルギー性鼻炎にお悩みの方は「普段から食物繊維を増やしておくか……」ぐらいに考えておくのがよさげ。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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