あらためて見ると、やっぱレジスタント・スターチってすごそうだよなーみたいな話
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久々にレジスタント・スターチの話でもしましょう。レジスタント・スターチは食物繊維の一種で、お腹で腸内細菌のエサになってくれる物質。腸内で発酵して短鎖脂肪酸を生み出し、いろんなメリットが得られると考えられているんですね。
レジスタント・スターチを初めて聞いたという方は、以下のエントリを参照してください。
こんな感じで、いろんな健康効果が期待できそうなのがレジスタント・スターチの良いところ。個人的にも積極的な摂取を心がけている成分です。
で、しばらくレジスタント・スターチのチェックを怠っていたら、近年もいろいろと良い感じのデータが増えてましたんで、ここでざっとまとめておこうと思います。
- レジスタント・スターチがメタボに効くかも?:サウスダコタ州立大学の実験(R)。メタボに悩む女性12名と男性8名を集め、そのウチ半数にレジスタント・スターチ(RS4)を加えた食事を増やしたところ、12週間ですべての種類のコレステロールが減り、ウエストサイズと体脂肪もわずかに減少。腸内細菌のバランスも改善し、そのおかげでコレステロールの改善や短鎖脂肪酸レベルの増加が起きていた。
- 10年の研究をレビューしたら、やっぱりレジスタント・スターチは良かった:英国栄養財団の研究(R)。過去10年間に行われたレジスタント・スターチに関する試験をレビューし、「レジスタントスターチの摂取が血糖コントロールを助けるという一貫したエビデンスがある」「レジスタントスターチが腸の健康をサポートする」「短鎖脂肪酸の産生増加を介して満腹感を高める」などと結論づけている。ただし、どれぐらい幅広い層にレジスタント・スターチの効果があるのかは、まだまだ研究が必要な段階。
- いろんな癌に効くかも?:ニューカッスル大学の研究(R)。369人の男女に10年間の追跡調査を行い、最長20年間の癌登録データで補足したうえで、「レジスタントスターチによって様々なガンを60%以上減少させることがわかった。その効果は腸の上部で最も顕著である(食道がん、胃がん、胆道がん、膵臓がんなど)」と報告している。この効果は、サプリメントの摂取を止めてから10年間も続いたとのこと。この効果は、レジスタント・スターチが胆汁酸の代謝を変え、DNAの損傷が起きにくくなるのが原因だと考えられるが、まだくわしいところはよくわからない。
ちなみに、この研究ではアスピリンの効果も調べていて、「アスピリンは大腸がんを50%減少させる」とも報告している。 - 非アルコール性脂肪性肝にも良いかも?: 上海交通大学医学院などの研究(R)。200人の非アルコール性脂肪性肝(NAFLD)患者を集め、そのうち100人にはトウモロコシ由来のレジスタントスターチ粉末を、残りの100人には普通のコーンスターチを摂取させた。患者は1日2回、食前に20gのレジスタントスターチを300mLの水に混ぜて4ヵ月間飲むように指示されたとのこと。
すると、レジスタントスターチを飲んだ患者は、対照群の患者と比較して肝臓のトリグリセリド値が40%近く低下。NAFLDに関連する肝酵素と炎症因子の減少も見られた。 - 最近のメタ分析による報告とか:青島大学などのメタ分析(R)では、レジスタント・スターチは、普通のスターチよりも空腹時血糖値を有意に低下させるとの結論。ただし、インスリン値にはそれほど劇的な効果は認められなかった。
また、レジスタントスターチは腸内環境を改善し、食欲を抑制する腸内ホルモンの分泌を促すことで食後の空腹感を軽減する可能性がある。そのため、レジスタントスターチを多く含む食品を、たくさんの果物、野菜、ナッツ類とともに定期的に摂取したほうが良いとのこと。 - レジスタント・スターチと体内の炎症とか:中国医学科学院のレビュー(R)では、42,586人分のデータをまとめたうえで、レジスタントスターチの摂取量が多い人ほど炎症マーカーとグルコースレベルに差があることを報告した。正し、レビューに含まれる研究にはばらつきがあり、特に研究規模、研究期間、摂取量に関しては、レジスタントスターチが個人のグルコース管理を改善するのに役立つと自信を持って言うのは難しいとのこと。
ちなみに、多くの研究では、1日28g以上のレジスタント・スターチで、良い結果が出ていることが多い。
ということで、めっちゃ雑にまとめてみましたけど、「やっぱり見どころのある成分だよなー」って思いをあらたにしております。私ももうちょい意識的に1日28gを目指すかな……。