頭が良くなるクスリ「ピラセタム」で本当に頭は良くなるの?
スマートドラッグに関するご質問をいただきました。
スマートドラッグに関して質問させてください。
頭をよくしてくれるサプリについて、カフェインのすごさをSuzukiさんのブログで知ることができました。
ところで、Suzukiさんは、ピラセタムのようなラセタム系のスマートドラッグをどのようにお考えでしょうか?
個人的にはとても興味があるのですが、ネットに書かれている情報もどこまで正しいのか判断できずにいます。
とのこと。ピラセタムは俗に「頭の良くなる薬」として知られてまして、数あるスマートドラッグのなかでも一番メジャーなおクスリ。脳がパワーアップして、学習や記憶力がよくなると言われております。
認知症に効果があるのは間違いないが…
確かに、ちょっと検索すると、「飲んだらすぐに頭が良くなった!」なんて体験談がいろいろ出てきまして、判断に困ってしまうところですよねぇ。では、いつものようにデータです。
もともと「ピラセタムで頭がよくなる!」と言われ始めたのは、認知症への効果が認められたからであります。これに関してはかなり信頼性が高いデータが出てまして、
- 19件の過去データをまとめたメタ分析では、ピラセタムの認知症に対して明確な効果が確認された。ただし、具体的にどれぐらいのメリットがあるかは不明(1)
- 135名の高齢者を対象にした実験では、1日4.8グラムのピラセタムで記憶力の低下が改善した(2)
- 60名の高齢者を対象にした実験では、1日2.4グラムのピラセタムを6週間飲んでもらった認知テストの成績があがった(3)
みたいな感じ。一番目のメタ分析によれば、だいたいピラセタムで60.9%の改善がみられた(プラシーボ効果は32.5%)そうで、ピラセタムが脳に良いのは間違いなさそう。
普通の人が飲んでも意味はなさそう
ただし、これらの調査は、あくまで軽度の認知症になった高齢者を対象にしたもの。普通の人でも頭が良くなるの?と聞かれると、事態は一気にあやしくなってまいります。
具体的な実験をならべると、
- 16名の健康な男女を対象にした実験(4)では、1日1.2gのピラセタム14日にわたって飲んでもらったが、1週間めの時点では「まったく効果なし」。2週間めの時点で、「単語の暗記テストの成績がちょっとあがったかなー」ぐらいの感じ。
- 18名の健康な男女を対象にした実験(5)では、1日4.8gのピラセタム8週間にわたって飲んでもらったところ、認知テストの成果に改善がみられた。ただし、実験のデザインはちょっと低め。
みたいな感じ。そもそも質の高い実験がほとんどないうえに、あったとしても大した効果がでておりません。
ちなみに、ピラセタムを個人輸入すると、だいたい1錠800mgで80円ぐらい。実験と同じレベルのピラセタムを摂ろうと思ったら、だいたい平均で1日3錠は必要なので1日240円。
しかも、効果が出るには毎日飲み続けなきゃなんないんで、1カ月で7,200円はかかっちゃう計算であります。認知症にお悩みならば試す価値もあるかもですが、正直「もっと頭が良くなりたい!」ぐらいの目的で買うのはコスパが悪すぎる感じですねぇ。
ピラセタムの効果はたんに思い込みの可能性が大
それでもネットに「効果が出た!」みたいな体験談が多いのは、たんなるプラシーボ効果の可能性が大。なにせ前述のメタ分析でも、思い込みで脳の機能が32%もあがってるわけですからねぇ。
実際、脳トレに関する論文なんかを読んでも、「自分は頭が良くなった!」と思い込むだけでも、実際に認知テストの成績があがることが確認されてたりします。どうやらヒトの頭の良さは、かなり個人の思い込みに左右されやすいみたい。
そんなわけで、以下まとめです。
- 認知症の患者さんにならピラセタムの効果はある
- ただし、普通の人の頭が良くなるかというとかなり怪しい
- とりあえずピラセタムは高いのでコスパ的にもオススメできず
みたいなところ。いまのところ、普通の人でもハッキリ頭がよくなりそうなのは運動しかありませんで、あと希望がありそうなのはポリフェノールぐらい。
ピラセタムは安全性が高いので、「少ない望みにかけたい!」というなら止めはしませんが、 個人的にはまったくオススメしておりません。それでも試したい!という場合は個人輸入サイトからどうぞ。