地中海式ダイエットで脳の働きがバージョンアップする
「地中海式ダイエットで頭が良くなる!」っていうナイスな研究が出ておりました(1)。
地中海式ダイエットは、イタリアやギリシャの伝統食を模した健康法で、かなり昔から評判がいい方法。実証データも豊富で、おそらく現時点ではもっとも信頼がおける食事法のひとつかと思います。くわしい実践法は「地中海式ダイエット超基礎編」をどうぞ。
で、新しい研究では、「地中海式ダイエットは脳に効くの?」ってあたりを調べたのが目新しいポイント。過去に行われた18件の観察データをまとめた系統的レビューになってしまして、かなり科学的に信頼性が高いものになっております。
どこに住んでいても地中海式で頭が良くなる
その結論をざっくりまとめると、
- 地中海式ダイエットを徹底するほど、脳の機能はアップする。この効果は若者でも得られる。
- 具体的には、長期記憶、ワーキングメモリー、視覚記憶、注意力、集中力、言葉を使う能力のすべてがアップする。
といったところ。老若男女を問わず、地中海式ダイエットで頭が良くなるわけですね。
この研究でもっとも驚いたのは、地中海式ダイエットのメリットが、国を問わず世界中でも確認されたことだ。
つまり、あなたが地中海エリアに住んでいなかったとしても、地中海式ダイエットを実践さえすれば、頭が良くなる効果は得られる。
頭を良くする2大栄養素
こういった効果が出る理由は複雑なんですが、とりあえず研究者が提唱する「頭を良くする栄養素」は次のような感じであります。
- ビタミンB群:脳が神経伝達物質を作るのに必須。とくにビタミンB6と葉酸とビオチンは、セロトニンやアドレナリン、GAVAなどを作るために欠かせないので、ビタミンB群が足りないと、どんどん頭の働きは落ちていく。また、ビタミンB12と葉酸が足りないと、脳が縮んでしまうことも知られている。
- オメガ3:昔から魚の油で頭が良くなると言われますが、確かにオメガ3には脳の神経を新しく作ったり、しなやかさを保ったりする働きがある。ついでに、定期的に魚を食べていると、脳のボリュームが増えるとの報告もある。
脳の働きに欠かせない栄養素には、ほかにもビタミンDとかマグネシウムとかいろいろありますが、とりあえず今回の研究では上の2つが重要視されてますね。
頭が悪くなる3つの原因
では、逆に「頭が悪くなる原因」はなにかと言えば、ざっくり以下のような感じ。
- 体内のホモシステイン:ホモシステインは、体内でアミノ酸が代謝されてできる物質。年を取ると脳が弱っていくのは、ホモシステインの増加が大きな原因のひとつと言われております。ホモシステインは、葉酸・ビタミンB6・ビタミンB12が足りないと、どんどん体内に増えていっちゃう。
- 砂糖とトランス脂肪酸:どちらも、とりすぎると高齢者の脳の働きが下がっちゃうことが確認されている。
- 飽和脂肪酸:飽和脂肪酸は、バターやラード、赤身肉などにふくまれる脂肪酸。適度な脂肪はカラダが正常に働くために欠かせないんだけど、量が多いと学習力や記憶力に悪影響が出ちゃうことが認められております。
地中海式ダイエットは魚とオリーブオイルが多いせいで飽和脂肪の摂取量が少なく、野菜とフルーツを大量にとるおかげでホモシステインも増えないんだ、と。
地中海式ダイエットには、頭が悪くなる原因をふせぐ要素が多い。
たとえば全身の炎症を減らし、ビタミンやミネラルの不足を改善し、オリーブオイルによって脂質のバランスが変わり、適正な体重をキープし、血中のポリフェノールを増やし、細胞のエネルギー代謝をあげ、おそらくは腸内細菌にも良い影響をあたえている。
とのことで、とにかく地中海式ダイエットは全方位から脳に効いているわけですな。
まぁ、「健康的な食事は頭にもいいよ!」っていう当たり前の話に対して、かなり信頼がおけるお墨付きが出た感じであります。地中海式についても、もうちょい調べてみるか…。