「死」は思ったよりも悪くないぞ!という研究
誰でも死は怖いものですが……
「死ぬのが怖い!」は人間の根本的な恐怖なわけです。自分の存在が消えちゃうんですから、そりゃあ恐ろしいですよね。
事実、「人間の行動は全て『死への恐怖』につき動かされている」なんて説もありまして、脅威管理理論などと呼ばれております。ほかにも、
なんてデータがありまして、どうやら人間の行動は、かなりのとこまで「死の恐怖」に影響されてるみたいなんですよ。
死に瀕した人が遺した文章を分析した
が、新しく出た論文(1)では「死はそんなに怖くないんだぜ!」って内容になってておもしろかったです。
これはノースカロライナ大学の研究で、「死に瀕した人々」の文章を集めて分析しまくったもの。たとえば、
- 末期がんにかかったブロガー
- 研究期間中にALSで亡くなった患者さんの日記
といった感じ。その上で、実験の参加者には、
- 「自分が末期ガンで数カ月後に死ぬ」と想像してくださいと指示
- 自分の死を想像した状態でブログを書く
って手順でいくつかのエントリを書いてもらい、本当に死に瀕した人の文章と比較してみたんだそうな。なかなかありそうでなかった実験ですねぇ。
死に瀕した人は実はポジティブ
そこでどんなことがわかったかと言いますと、
- 本当に死に瀕した方々の文章は、実はポジティブな単語が多い
- たんに自分の死を想像した人の文章には、ネガティブな単語が多い
- 本当に死に瀕した方々の文章は、死期が近づくほどポジティブになっていく
だったそうな。つまり、たんに死を想像するだけだとメッチャ怖いんだけど、本当に死を目の前にした人間は、意外なほど恐怖を感じないものなんだ、と。
研究者いわく、
この現象は、おそらく状況が悪くなればなるほど、ある種のアクセプタンス(受容)が生まれ、より人生のポジティブな側面に目を向けるようになるからだろう。
とのこと。ちなみに、この研究では、死刑宣告を受けた受刑者が遺した文章も分析してるんですが、やはり結果はおなじだったんだそうな。
私たちは、よく自分の体の適応性について語ることがある。しかし、身体と同じように、私たちのメンタルもかなりの適応性を持っているのだ。
獄中でも病院でも、どんな死の淵でも私たちは幸福でいることができる。「死」は人間にとって中心的な体験だ。すべての人は死ぬし、大半の人は死を恐れる。しかし、今回の研究によれば、「死」は思ったほど悪くない現象なのだ。
とのこと。そんなもんですかねぇ。
まとめ
もちろん、これは実際に亡くなった人が公に発表した文章しか使ってないんで、果たしてどこまで記述が真実かを判断するのは無理であります。もっとプライベートな日記とか親類との会話などを分析すれば、また違う結果が出る可能性もありますしね。
ただ、実際に死を目の前にした人たちがポジティブなメッセージを発するケースは良くありますし、なかなかに希望のある研究だなーとか思う次第です。