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「妄想を楽しむスキル」が人生を幸せにする!みたいな研究の話


  

ちょっと前に、「オタクの妄想は我々を幸せにする!」なんて話がありました。妄想というと、なんだか現実逃避のような印象もありますけど、「私はいま意図的に妄想を楽しんでいるのだ!」って自覚さえあれば、幸福度を高める役に立つんだって話です。

 

 

ただ、フロリダ大学などのチームが行った研究(R)では、「世の中の人って意外と妄想を楽しむスキルがないよねー」みたいな話になっておりました。本来なら妄想は人間を幸福にするツールとして使えるのに、みんなそのポテンシャルを活かしてないんじゃないか、と。

 

 

多くの人が妄想を楽しめない理由として、チームはまず「楽しい妄想を抱く作業は認知負荷が高い」と指摘しておられます。

 

(楽しい妄想を抱くには)私たちは心のなかで俳優、監督、脚本家、観客のすべてを同時につとめなければならない。何もしていないように見えても、実際には認知的な負担がとても大きい作業なのだ。

 

妄想というと楽そうな印象ですが、実際にはとても頭を使う作業なので、そうそう簡単にはいかないわけっすね。

 

 

さらに、もうひとつの理由としては、「みんななんとなく暗いことを考えがち」ってのがあります。実際、この研究で行われた実験だと、「なにか意味のあることを妄想してみてください!」と指示された人たちは、人生の問題や仕事のトラブルといった重い内容を考えることが多く、結果として幸福度が下がっちゃったんだそうな。

 

 

研究チームいわく、

 

私たちは、人々が妄想を楽しむ手助けをしたい。人間の感情は私たちの思考によって形成される。そのため、妄想を楽しむスキルは、ポジティブな感情を形成するための強力なツールになり得る。

 

とのこと。せっかく人間は「楽しい妄想」という認知スキルを与えられているのに、みんな正く使えてないのはもったいないよ!って話ですね。言われてみりゃそうかもしれませんな。

 

 

ってことでチームは、「妄想を楽しむスキル」を養う方法として、以下のようなポイントを強調しておられます。

 

  1. 明確なお題を決める:「過去の良い思い出を想像する(家族のイベント、学業やスポーツでの成功体験など)」「将来の楽しみを想像する(友人との出会い、休暇など)」といったように、具体的なお題を自分に与えてみる。この方が、たんに「自分のほしいものを考える」といったボンヤリしたお題よりも、50%ほど多く妄想を楽しめるようになったそうな。


  2. 練習を繰り返す:たいていの人は妄想を楽しむ訓練をしたことがないので、実際に具体的な妄想になれるにはくり返しが必要となるとのこと。


  3. 妄想と計画は切り離す:妄想をするときは、あくまで「将来にこんな友人と知り合ったら楽しいだろうなー」のようなポイントだけにこだわるべき。「理想の友達と知り合うにはどうすればいいだろう……」のような計画を立ててしまうと、逆に幸福度は低下してしまう。


  4. 良い環境を選ぶ:集中がそれるような環境だと良い妄想は育たないので、スマホの通知などの邪魔が入らないようにしておく。

 

というわけで、全体的には「私はこれから未来のバケーションを妄想するぞ!」と明確に決めた上で、集中してイメージの世界で遊んでみるのが大事って感じですね。

 

 

さらに研究チームいわく、

 

楽しい妄想は、私たちの人間性を決定づけるものだ。それによって、私たちは新しい現実を想像することができる。

 

とのこと。確かに妄想を自由に楽しめるようになれば、なんの金も道具もいらないわけですから、娯楽としては最強っすよね。その点で言えば、やはり一番上で見たように妄想慣れしているオタクは有利なのかもですな。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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