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「カロリー制限 vs 運動」本当に体内の炎症対策に役立つのはどっちだ?のメタ分析

 
 

体内の炎症は万病のもと!って話は「不老長寿メソッド」でも強調してまして、長く若々しくいるためには炎症対策が必須なわけです。

 

 

ということで新たなメタ分析(R)では、

 

  • 体内の炎症を減らすためには、カロリー制限と運動のどっちが有効なの?

 

ってあたりを深掘りしてくれておりました。カロリー制限と運動のどちらとも炎症対策に効くのは有名なんですが、これまでのメタ分析では、

 

  • カロリー制限と運動はどっちが重要なのか?

  • 運動+カロリー制限の効果はカロリー制限のみと比べて違うのか?

 

といったあたりを検討したものはなかったんですよ。今回の分析がどんなものだったかと言いますと、

 

  • 32の先行研究を分析(2108人)

  • 参加者はBMIが27-44の範囲(つまり、結構な肥満体)
  • 運動またはカロリー制限が、IL-6、TNF-α、CRPなどの炎症マーカーが改善するかを調べた

 

みたいになってます。その結果をざっくりまとめると、こんな感じになります。

 

  • カロリー制限と運動の効果を比べたところ、IL-6とTNF-αについては効果の違いは見られませんでした。しかし、CRPについては運動よりカロリー制限のほうが改善した(SMD:-0.22、95%CI:-0.39、-0.04)


  • 運動+カロリー制限とカロリー制限のみを比べたところ、運動+カロリー制限はカロリー制限よりもIL-6(SMD:-0.15、95%CI:-0.28、-0.02)とTNF-α(SMD:-0.23、95%CI:-0.39、-0.08)を改善したが、CRPは改善しなかった

 

  • 体重の改善については運動よりカロリー制限の圧勝(-3.6kg)で、カロリー制限と運動を一緒に行った場合はカロリー制限だけ行うより体重を減少させた(-1.1kg)

 

  • 運動については、有酸素運動と筋トレを組み合わせたほうが効果は大きくなるっぽい

 

  • ほとんどの研究は、バイアスのリスクが不明確または高かった

 

ということで、最終的な結論としては「炎症の改善には運動よりカロリー制限のほうが効果的。運動+カロリー制限はカロリー制限よりも効果的」ってところですね。とりあえず体内の炎症を改善したいなら、運動よりカロリーにこだわったほうが良さそうであります。

 

 

まぁこの結果は当然といえば当然で、炎症の改善には体重と内臓脂肪を減らすのが一番なんで、カロリー制限して体重を落としたほうがCRPが改善するのは予想できるところでしょう。炎症を防ぎたければ、何でもいいから体脂肪と内臓脂肪を減らすのが一番ってことっすね。

 

 

もっとも、この研究には注意点がありまして、

 

  • 観察された効果量は小さく、95%信頼区間は-0.39~-0.02だった

 

ってあたりは大いに気になるとこですね。簡単に言えば、最大でも効果の量は中レベルだし、下手をすると全く効果がない可能性も捨てきれない……って感じです。なんせ各研究の質が低いので、解釈に幅がでまくっちゃうんですよ。

 

 

また、言わずもがなですけど、このメタ分析にふくまれる研究は、過体重または肥満で運動もしない参加者だけが対象なので、この結果を痩せ型や運動量が多い人に一般化できないんでご注意ください。すでに痩せ型だけど体内の炎症が多い人は、定期的なプチ断食を行いつつHIITを組み合わせていくのが良いでしょう。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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