より満足度が高い人生を送るにはどこを改善すればいいのか?を把握するための4つの質問
「人間はどんな時に幸福を感じるのか?」って研究は山のようにあるんですが、そもそも幸福感をどう定義するのがベストなのかって問題についてはまだ議論があったりします。
この問題について、いまのところよく使われるのがPWBSってやつで、人間の幸福度を6つの要因で定義してるんですよ。
- 人格的成長:自分がいつも進歩していると感じられるかどうか
- 人生における目的:現在と過去の人生に意味を見出しているかどうか
- 自律性:自分で考えや行動を決めることができるかどうか
- 環境制御力:自分の周囲にある機会を効率的に使えているかどうか
- 自己受容:自己について積極的な感覚があるかどうか
- 積極的な他者関係:他者と信頼できる関係を築いているという感覚があるかどうか
こうして見ると、確かにどれも人間の幸福を左右しそうな要素ばかりでして、納得してしまうわけです。
が、いっぽうでは「PWBSには問題があるんじゃない?」って意見もありまして、近ごろジローナ大学などの研究チームが発表したデータ(R)もそのひとつ。チームいわく、
研究者は一般にPWBSの各要素が心理的な幸福の指標として使えることに同意しているが、これら6つの要素にはっきりと分けることはできない。
心理的な変数は相互に接続され、互いに補強し合うことで、因果的に接続されたシステムを形成していると思われる。
とのこと。なんだかわかりづらい表現ですけど、簡単に言っちゃえば「幸福ってのは複数の要素がからみあってるから。6つの要素に分解するのって無理では?」みたいな問題意識を提示しているわけです。確かに、あなたが「いま気分がいいなぁ」と感じていたとして、果たしてそれが「周囲をコントロールできいるから(環境制御力)」なのか、それとも「人生に目的があると感じているから(人生における目的)」なのかを明確に切り分けるのは難しいですもんね。
ってことで、その代わりに研究チームが提案しているのがネットワーク・アプローチであります。ざっくり言いますと、幸福ってのはPWBSの6要素の積み重ねで発生するのではなくて、それぞれの要素がいろんなタイミングで互いに活性化するノードを持ったクラスターの集合体として考えたほうがいいのでは?と考えたんですよ。
この仮説を確かめるため、研究チームは1,404人の男女(年齢層は18歳から69歳まで)を集めてネットワーク分析を実施。その結果は仮説のとおりで、やっぱり人間の幸福はたんに6つの要素の合計ではなく、それぞれの要素がどのように組み合わさるか(ノード)によって判断したほうがよいって結果になったんだそうな。
つまり、この研究を私たちの日常生活に活かすならば、「まずは最も幸福において中心的な役割を果たすノードに取り組んだほうがいいよー」ってことですね。中心的なノードから手を付ければ、それが他の幸福につながるノードも活性化しやすくなるってことになりますからね。
で、こうなると、具体的に「幸福に関する中心的なノードってどんなものなの?」ってところが気になりますが、この分析によりますと、以下の4つのポイントに当てはまるかどうかに焦点を当てるといいらしい。
- ほとんどの場合、私は自分自身と自分が歩んできた人生に誇りを感じている。
- 一般的に、私は自分自身について前向きで自信がある。
- 将来の計画を立て、それを実現するために努力することが楽しい。
- 一般的に、私は自分の人生をコントロールできていると感じる。
自分の人生に満足できているか? 自分について前向きな態度が取れるか? 自分で立てた計画をこなせるか? 人生のコントロール感はあるか? っていう4つポイントをチェックして、自分に足りないところを補うように心がけていくと、人生の幸福に関わる他のエリアも活性化しやすくなるってわけですな。どの項目も理解しやすいものばかりなので、人生について複雑な戦略を組み立てるよりも、話がシンプルになってよろしいんじゃないでしょうか。