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「良い子育てとは何か?」をワシントン大学の先生が語っておられます#2「子育てには4つのタイプがある編」


  

感情知性が高い子どもを育てる」って本のポイントまとめの続きでーす。このシリーズでは、ジョン・ゴットマン博士による「良い子育てのコツ」をチェックしてまして、前回は「良い子育ての4タイプ」や「感情に気づくことの重要性」などを見てみました。今回もその続きで、残り3つのポイントを押さえておきましょうー。

 

 

 

ポイント3. 質問攻めはやめて単純な観察を共有する

  • ここで重要なスキルは「共感的傾聴」で、基本的には自分ではなく子供たちに話をさせるのがポイントで、相手の気持ちを尊重し、あなたが本当に理解してくれて、味方になってくれていると感じさせる必要がある。

 

 

  • 共感的な聞き手は、じっくりと相手の反応を見て、子どもの感情がどのように変化したかを探し、想像力を働かせて子どもの視点から状況を見る。例えば、「弟ができた後で子供の問題行動が増えたのはなんで?おかしな話じゃん!」などと考えるのではなく、「もし自分の配偶者が新しい恋人を家に連れてきて、それを家に迎え入れてくれと期待されたら私はどう思うだろう?」と考えてみる。

 

 

  • 相手の話を聞く際は、質問攻めにしてはいけない。質問攻めは、小さな子供だけでなく、大人も尋問のように感じられることが多い。特に子供は、自分がなぜ悲しんでいるのかや怒っているのかさえわかっていないことが多く、たいていは質問をしてもフラストレーションがたまるだけに終わる。

 

 

  • この問題を防ぐには、「単純な観察を共有する」だけにとどめるのが重要となる。例えば、「弟と遊んでいるときに、あなたが顔をしかめたことに気づいた」とだけ言い、相手がどのような返事をしてくるのかをひたすら待つような具合である。

 

 

 

ポイント4. 子供が自分で感情のラベルを貼れるようにする

  • その上で、最終的には子供が抱いている感情について、子供自信が自らラベルを貼れるように導くのが大事。子供が感じていることを自分の言葉で説明できれば、何が起こっているのかを把握できるようになる。自分の感情に言葉を与えることで、子どもたちはよくわからなくて不快な感情を、日常生活の一部である明確なものに変換することができる。

 

 

  • 感情にラベルを貼るスキルは、共感力と密接に関係する。自分の子供が泣いているのを見た親が、「とても悲しい気持ちなんだね 」と言ってあげるだけで、子供は「親から理解された!」と思うだけでなく、この激しい感情を表現する言葉を手に入れることができる。

 

 

  • もともと、多くの先行研究により、「感情にラベルを貼る」という行為には神経系を落ち着かせる効果があることが示されている。そのおかげで、感情にラベルを貼れるようになった子どもは、動揺した出来事からより早く立ち直れるようになる。これは、人質交渉人が危険な状況を乗り越えるために使う主なテクニックの1つでもある。

 

 

  • 具体的には、弟がもらったプレゼントが羨ましくて子供が泣き始めたときに「もっと良いプレゼントがもらえるよ」などとなだめるのはNG。「自分も良いプレゼントをもらいたかったんだね」と、その気持ちを代弁してあげた方が良い。これにより、子供は「自分のことを理解してくれている」と思うようになり、感情のコントロールがよりうまくなる。

 

 

  • 幼い頃から自分の感情をコントロールすることを学んだ子供は、感情的な知性が発達しやすい傾向があり、集中力が高く、人間関係も良好で、学業成績も良く、健康である可能性が高い。重要なのは、子供にどう感じるべきかを教えるということではなく、自分の感情を表現するためのボキャブラリーを身につけさせることだと言える。

 

 

 

ポイント5. 質問によって正しい行動を考えてもらうのが重要

  • 子供の感情を認めることができたら、続いてはようやく子供の問題行動に対する指導に移る。ただし、ここでも問題解決をリードするのは親ではなく、あくまで子供の主導に任せねばならない。具体的には、質問によって正しい行動を考えてもらうのが重要で、「怒ったからといって弟を殴ってはいけないよ。では、その代わりに何ができると思う?」と尋ねてみると良い。

 

 

  • 以上のような作業を行わないと、両親がいないときに子どもが自分で問題を解決するスキルが身につかない。そのため、子どもたちが自らアイデアを出せるように励まし、「他の人の気持ちも考慮したより効果的な解決策」を導き出せるように励ます必要がある。この積み重ねにより、臨機応変さと責任感が育まれることになる。

 

 

  • もちろん、子供の問題をじっくり解決する時間がない場面もあるが、ゴットマン博士いわく「必ずしも問題が発生した直後に対策を行う必要はない」と指摘している。子供が問題を起こした後で、じっくりと話をする時間を確保し、ここまで説明してきた行動さえできれば、子供はより感情的に賢くなる。

 

 

  • できれば、毎日同じ時間帯に、ゆっくりと時間を取ることができるタイミングで、子供と話ができる時間を設けることが大切になる。

 

 

 というわけで、ゴットマン博士による「良い子育てのコツ」は以上です。繰り返しになりますけど、「自分と相手の感情にまず気づく」とか「正しい行動を伝えるんじゃなくて気づかせる」みたいなのは、社会における対人コミュニケーションの基礎でもありますんで、子育て以外にもかなり使える知見だなーとか思いました。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。