「こんな相手とは付き合いたくない!」と思っても、みんな意外とデートは了承してしまう件
「人間って意外と自分の理想と違う相手を恋愛の相手に選ぶよねー」ってのは、昔からよく言われる話。どうやら多くの人は、自分が恋愛相手に何を求めているのかを実際にはよくわかっていないらしく、
- みんな意外なほど理想の相手を特定することができない
- 自分が「良い」と思う相手の条件は状況でコロコロ変わる
って傾向が一貫して確認されてたりするんですよ。おもしろいもんですねぇ。
が、ここでまだ議論の余地があるのが「恋愛の相手に何を望んでいないかはかなり確実にわかるのでは?」ってポイントです。自分がどんな相手を好むのかがハッキリしないとしても、「こういう人だけは嫌だ!」って条件は誰でも明確なのではないかって話ですね。たとえば、
- 政治的信条が違う
- 子供が欲しい、または欲しくない
- 背がめちゃくちゃ低い
- 宗教や政治信条が違う
- めちゃくちゃ不潔
- 逆に潔癖すぎる
みたいなやつです。自分の好きなタイプが明確でなくとも、さすがに嫌いな人のタイプははっきりするのではないか、と。
ということで、この問題について調べたデータ(R)が出ておりました。これがどのような実験だったかと言いますと、
- 出会いを求めるている男女99人をラボに呼ぶ
- 「この人とは付き合いたくない!」と思える相手の条件をみんなに尋ねる
-
参加者にマッチングサービスのプロフィールを3種類見せて「この人に興味があればデートできる可能性があるよ!」と伝える
-
参加者に最も気に入ったプロフィールを1つだけ選んでもらい、その後で「あー、でもその人は、あなたが最初にあげた『付き合いたくない人の条件が3つそろってるんですよ。それでもいいですか?』と切り出す
みたいになってます。要するに、いったんルックスや経歴だけで恋愛の候補を選ばせて、その後で「実はその人には欠点が……」と伝えたらどうなるかを調べたわけですね。
ちなみに、この時に全体を2つのグループに分けていて、
- 現実条件:参加者に「あなたが選んだ人は、いま近くにいるので、あなたとすぐに会いたいと思っているようです」と伝え、そのうえでその相手とデートをしたいかどうかを考えてもらう
- 仮説条件:参加者に「あなたが選んだ人は、いまはここにいないので実際にはデートできませんが、想像でその人とデートしたいかどうかを考えてみてください」と伝え、そのうえでその相手とデートをしたいかどうかを考えてもらう
って設定で好みの変化を調べたらしい。確かに「実際に会える」条件と「ただの想像」だと反応が違いそうですもんね。
すると、結果はこんな感じになりました。
- 仮説条件の場合、46%がそのデートを受け入れると答えた
- 現実条件の場合、74%がそのデートを受け入れると答えた
つまり、最初の段階で「この人いいじゃない!」と思った場合は、後から「これだけは嫌だ!」って欠点を3つ持っていたとしても、かなり多くの人が相手と実際に会ってみようと思うわけですね。
一例をあげておくと、ある参加者は、「Tシャツしか着てない人は嫌だ!」「チビは嫌だ!」「菜食主義者とは絶対に付き合わない!」と言ってたのに、実際は、これらの条件をフルで揃えた相手にも連絡先を教えたんだとか。「嫌いな人の条件」ってのは強固なものかと思いきや、実際にはかなり融通が効くもんなんですね。
では、なんでこのような現象が見られたのかってところが気になりますが、研究チームの推測としては、
- 現実条件の人たちは「相手の感情を傷つけたくないなぁ……」と思うケースが多かったからでは?
って感じになってます。たいていの人は、なんらかの接点を持った相手を拒絶することへの抵抗感が強く、そのせいで後から欠点がわかってもデートを断らないのだってことですね。そう考えると、この結果は別に「欠点があってもいいや」と思ったわけではなく、たんに罪悪感が作用してるって話なんで、この状態で実際に会ってもうまくはいかなそうっすね。