今週末の小ネタ:食事がダメならいくら運動してもダメ?長続きするカップルの条件とは?人間は左側の顔の方が魅力的?
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
食事がダメならいくら運動してもダメだし、運動が足りない人がいくら食事を改善してもダメ
「食事がダメならいくら運動してもダメだし、運動が足りない人がいくら食事を改善してもダメ!」みたいな研究(R)が出ておりました。こいつはシドニー大学などの研究で、まずチームのコメントを引用しておくと、
貧しい食生活の影響を激しい運動で相殺したり、運動不足の影響を質の高い食事で相殺したりといった考え方をする人もいるかもしれないが、残念ながらそんなことはあり得ない。これがデータの示す事実だ。
みたいになります。悪い食事を運動で 補うことができないし、逆もまたしかりということですね。
研究の概要をざっくりと申し上げますと、
- UK バイオバンクの大規模な人口ベースサンプル(360,600人)を 使って、みんなの食事と身体活動をチェック
- 上述のデータを、みんなの全死因、心疾患、がんの死亡率 などと比べる
みたいになってます。また、ここで言う「質の高い食事」ってのは、毎日5皿以上の果物や野菜と週に2皿の魚を食べ、赤身の肉、特に加工肉は食べないような食生活を意味しています。
それで、どんな結論が出たかといいますと、
- 身体活動レベルが高く、質の高い食事をしている人の死亡リスクは、身体活動量が最も少ない人に比べて、全死因で17%、心血管疾患で19%、特定のがんが27%減少する。
- 身体活動カテゴリーと食事の質の間に、相加的または相乗的な相互作用は認められなかった(つまり、食事と運動のどちらが欠けても健康への悪い影響はめちゃくちゃでかくなる)
みたいになります。まぁ過去の研究では、「高強度の運動で食べ過ぎのダメージを打ち消す可能性があるよ!」って 話も出てたんですけど、これはあくまで短期間の観察による結論ですからね。 それに対して、この研究は、およそ11年間に及ぶ長期観察になっているので、 結局、長い目で見たら悪い食事運動でどうこうするのは不可能ってことなんでしょうね。要するに、 楽をする方法など無いないから「どっちもやるしかない!」ってことですなぁ。
長続きするカップルの共通点は、なんだかんだでメイトバリュー
「 どのような相手と付き合うと最も関係性が長続きするのか?」 て研究は たくさんありまして、誠実性の高さや愛着スタイルの問題などが よく取り沙汰されるわけです。
が、新しい研究(R)は、 この問題について また違う視点を提供してくれてまして、その結論をまず一言でまとめると、
- 結局、メイトバリューが 同じレベルの相手と付き合うと、最も関係が長続きする!
みたいになります。「メイトバリュー」ってのは、「恋愛の相手として望ましい!」と一般的に認識されるすべての特徴の総和のことで、これにはルックスはもちろん、富、年齢、性格、社会的地位などが含まれます。これらの バランスが取れたカップルが、なんだかんだで最も長続きするのではないかと。
この結論が どのように導きだされたのかといいますと、
- 研究チームがアフリカ南部のナミビア北西部を訪れ、半遊牧民であるヒンバ族の行動を調査
- ヒンバ族と共に暮らし、みんなの交際パターンをチェックする
みたいになってます。調査を手がけた先生は、5年にわたってヒンバ族を調べてきた研究者で、彼らの結婚、子育て、子供の健康、食糧難、パートナー選びについてのデータを分析してきたんだそうな。
というわけで、 調査の結果なにがわかったかといいますと、
- メイトバリューが同程度の人は、メイトバリューに差がある人よりも、ペアを組んだ際に恋愛が成功する確率が高い。
- 多くの人は「自分よりメイトバリューがある人がいい!」と言うものの、実際には自分と似たようなメイトバリューを持つ人と付き合うことになることが多い。
みたいになります。研究チームいわく、
ヒンバ族は、誰もがお互いを知っていて、ほとんどの人がその中で交際し結婚する。彼らの研究の多くは、この伝統的な社会に特化したものですが、人間関係の嗜好に関する発見は、より普遍的なものであると思われる。
とのこと。まー、「多くの人は自分のルックスレベルと同じぐらいの相手と付き合う」みたいな研究は過去にも見たことがありますが、この傾向が「恋愛の市場価値すべてに言えるかも?」ってはありそうな話ですね。
人間は左側の顔の方が魅力的だ!みたいな話
「 人間は左側の顔の方が魅力的だ!」 ってデータ(R) が 出ておりました。 まずは実験の概要を簡単に並べておくと、
- 参加者に、グレースケール写真に写った男女の顔を見せる
- 顔の右側と左側のどちらに好感を抱くかを採点してもらう
みたいになってます。 研究チームによれば、西ヨーロッパの肖像画1,474枚を調べたところ、大半の作品(~64%)が左頬を見せており、 右側を見せているのは33%だけだったそうで、 そもそも人間は、顔面の左側を好む傾向があるのではないかと考えたわけですね。
すると、 結果は研究チームの推測通りで、
- 多くの人は、男女の左側を写したポートレートをを好む傾向があった
- 男性、女性ともに顔の左側がより美的であると評価された
だったそうです。なんだか不思議な現象ですけども、研究チームいわく、
この研究結果は、被写体の左側の方がより強い感情を示す傾向があり、それゆえに観察者は、左側をより美的に感じることを示唆している。言い換えれば、この結果は、感情の左右化、右脳優位の概念、つまり感情を表現する時に右脳が顔の左側をコントロールするという概念を支持するものである。
といった推測をしておられました。要するに、人間の感情は顔の右側よりも左側に現れやすいため、それゆえに私たちは「感情の表現が豊かな左側を好むのだ!」みたいな話です。
果たして、この傾向がどこまで再現されるかは謎ですけども、とりあえず写真を撮ってもらう時などは左側をカメラに向けておくか……。