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今週末の小ネタ:メンタルがへこんだら動作を変えよう! 美男美女はやっぱ嫌なやつが多いのか? オッサンの筋肉低下にフラボノイド?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

  

 

 

メンタルがへこんだら逆にシャキシャキ歩いてみようぞ

メンタルを病んだら、まずは動作を変えてみては?」と思わせるメタ分析(R)が出ておりました。どんな人でもメンタルが落ち込めば体の動きは変わるもので、姿勢が小さくなったり、歩くスピードが遅くなったりするわけですが、これを意識して変えるだけでも割と違うのでは? みたいな話ですね。

 

 

これは過去の研究から87件をピックアップしたもので、そのうち82件(58,923人)が、不安・うつ病の人の動きの変化を調べております。簡単に言えば、

 

  • メンタルがやられてしまった人は、体の動きがどう変わるのか?
  • 体の動きを変えることで、メンタルは変わるのか?

 

という2つのポイントを調べたわけですね。その分析結果をまとめると、だいたい以下のようになります。

 

  • うつ病の人は、そうでない人と比べて、歩幅、歩行スピードの低下、姿勢の悪さなどが多くなる。また、不安や抑うつ状態にある人は、頭が前に出やすく、膝、腰、手首、肩、ヒジの関節可動域が小さい。

 

  • 姿勢や動きを変えると、意欲やエネルギーがわく可能性がある(例えば、うつむいた姿勢から直立姿勢に変えたり、ゆっくりした動きをスピーディにしてみたり)。

 

ってことで、メンタルが病んだときは、意識して運動系を操作することで、不安やうつ病の人の活力や意欲が高まるかもしれないんだ、と。事実、ヒトの動作とメンタルが連動しているって話は昔からあるんで、今回の結果も「そうでしょうなぁ」って感じではありますな。

 

 

まぁメンタルがへこんだときは、動作を変えるのも一苦労ですけど、動きを変えるだけでも効果があるというなら、そこは試してみるしかないですかねぇ。

 

 

 

美男美女はやっぱ嫌なやつが多いのか問題

ルックスが魅力的な人はワガママなのか?」って問題を調べた研究(R)が出ておりました。美男美女はなにかと得することが多いわけですが、そのせいで特権意識を持って、利己的なキャラになったりしないのか?という話ですね。

 

 

ちなみに、この問題については、いまのところ2パターンの説がありまして、

 

  • 美男美女は周囲からポジティブに認識されるため、自分も「まわりの期待に沿って行動せねば!」という思いが生まれ、良い人間として行動するケースが増える。

 

  • 「自分は魅力的だ!」と思うと、たいていは「自分は特別扱いされて当然だ!」と考え出すので、嫌な人間になってしまう。

 

って感じになってます。どちらも説得力がありますけど、果たしてどちらが正しいのかってことですね。

 

 

そこで研究チームは5つの研究を行い、合計1,303人を対象に「見た目の魅力」と「性格」の関係をチェック。ざっくり以下のような結果を報告しております。

 

  • ルックスの魅力は、自分のことしか考えない行動傾向や、心理的エンタイトルメント(いわゆる特権意識)と正の相関があった。つまり、見た目が良い人は特別扱いを当然と思い、それゆえにワガママに行動しやすい。

 

  • 自分をより魅力的だと認識している人ほど、「自分は他人よりも多くの物を得るのが当たり前だ!」という意識が強かった。

 

  • 見た目の魅力が低い参加者でも、研究チームの手で心理的エンタイトルメントを高めると、ワガママな行動が増加した。

 

  • 研究チームが、参加者に「自分は魅力的なのだ」と思わせたところ(見た目が悪い人と自分を比べさせたらしい)、「私は意外とルックスが良い」と考えた参加者は、やはり特権意識とワガママな行動が増加した。

 

ってことで、5つの実験すべてで「美男美女は嫌なやつなのでは?」という説を支持する内容になってますね。見た目の良さには進化上の優位性があるので、魅力的な人はより大きな交渉力を持ち、その結果として「 欲しいものは何でも手に入るはずだ!」って意識が高まりやすいんだ、と。

 

 

私の経験では、美男美女は意外と良い人が多いイメージだったんですが、やっぱ見た目が良いと利己的になるのかねぇ……。

 

 

 

オッサンの筋肉が減ってしまう筋力の低下にフラボノイドは効くか?

フラボノイドでオッサンの筋肉が増える……かも?」みたいなメタ分析(R)が出ておりました。

 

 

30歳を超えると、私たちの筋肉は10年ごとに約3~8%減り、筋力は70歳まで10~15%下がると言われております。これをほっとくと、年をとってから大変なことになってしまうわけですな。

 


が、ここで筋肉の減少対策に役立つと考えられているのが、毎度おなじみフラボノイドであります(果物や野菜に含まれる化学物質)。フラボノイドは、抗炎症と抗酸化パワーがるんで、筋肉の代謝と機能に影響を与える可能性があるんですよ。

 


ってことで、研究チームは、過去のデータを調べ直し、45歳以上の中高年者796名を対象にした20のRCTでメタ分析を実施。筋肉量、筋力、身体能力に対するフラボノイドの効果をチェックしてくれたんですよ。私のようなアラフィフには、非常にありがたい研究なわけです。

 

 

いちおうデータの内訳を並べておくと、

 

  • 15の試験がイソフラボンまたはイソフラボンを多く含むサプリメントを使用
  • 2試験がカテキンを使用
  • 2試験がエピカテキンを使用
  • 1試験がクルクミンとルチンを使用
  • 実験の期間は8週間から24週間だった

 

みたいになります。そのうえで、みんなの筋肉量や歩行速度、握力などを調べたところ、結果は以下のようになりました。

 

  • フラボノイドを飲んでも、全体の筋肉量は増えなかったが、四肢の筋肉量の合計は増えた。

 

  • サブグループ解析だと、フラボノイドを飲むことで筋肉量が増え、特にサルコペニア(加齢により全身の筋肉量と筋力が自然低下する減少)の参加者での四肢の筋肉量を増加させた。

 

  • フラボノイドは、握力や運動機能には影響を与えなかったが、6分の歩行テストの距離を増加させた。サブグループ解析では、フラボノイドはサルコペニアの歩行スピードを増加させた。


そんなわけで、フラボノイドは、めっちゃオッサンの筋肉に良いとは言わないまでも、それなりに筋肉を保つ役に立つ印象がありますね。

 

 

といっても、一部の研究はバイアスのリスクが高いので、ほとんどのアウトカムはエビデンスの確実性が弱かいんですけど、まぁ個人的には、今後もカテキンを中心に摂取していこうかと。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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