【質問】日焼けのダメージを防いでくれるサプリメントや食品はないですか?
こんなご質問をいただきました。
「トマトで紫外線に強くなる?」という記事を拝見しました。そこでお聞きしたいのですが、他にも紫外線から守ってくれるサプリメントはないのでしょうか?
とのことで、トマトのリコピンのように、紫外線をブロックしてくれる成分はあるのか、と。いわゆる「飲む紫外線対策」ですな。
で、この問題についてまず前提を述べておくと、
- 結局は日焼け止めに勝るものはないから、サプリの紫外線対策は期待するな!
ってのがありますね。確かに、紫外線の予防系サプリはいくつかあるんですけど、どれもデータがあいまいだし、効果のほども確かじゃないので、あくまで日焼け止めを万全にしたうえで、「追加で紫外線対策になればいいなー」ぐらいにお考えください。
飲む紫外線対策になるかもしれない成分とか
さて、以上の大前提をふまえたうえで、現時点で見込みがありそうな成分をまとめておくと、以下のようになります。
- β-カロテン、ルテイン、リコピン:ある研究(R)では、24mgのβ-カロテン(藻類由来)または24mgのカロテノイドの組み合わせ(β-カロテン、ルテイン、リコピンをそれぞれ8mg)を毎日12週間続けて飲んでもらったところ、紫外線による赤みが減少した。また、2007年のメタ分析(R)では、「β-カロテンはある程度まで日焼けを防ぐ」と結論づけている。ただし、統計的に有意な効果が確認されるには、最低でも10週間続けてサプリメントを飲む必要があった。
- アスタキサンチン:アスタキサンチンは藻類由来のカロテノイド。小規模な研究(R)では、1日4mg(1回2mgを1日2回)のサプリを飲むことで、日焼けを抑えたと報告されている。この量は、通常1カプセルあたり2~4mgを含むアスタキサンチンサプリメントで摂取できる。
- ココア:フラバノールが多いココア(1日329mg)を12週間飲み続けた、ところ紫外線による参加者の肌の赤みが抑えられた。
- ビタミンC+ビタミンE:ある小規模な研究(R)では、1日2,000mgのビタミンCと1,000IUのビタミンEを8日間摂取したところ、紫外線による赤みが緩やかに減少した。また別の研究(R)でも、3,000mgのビタミンCと2,985IUのビタミンEを約2ヶ月間摂取した場合、日焼けの防止効果が「2」だった(通常の日焼け止めは、通常15~50の日焼け止め効果を持っている)。
というと良さそうな気もするものの、1日にここまで大量のビタミンEを飲むのはよくないので、この実験を試すのはおすすめできない。
- シダエキス:サプリメーカーが出資した複数の小規模試験(R)では、40人の男女を対象に、1日2回、240mgのシダエキスまたはプラセボを2ヶ月間摂取させたところ、エキスを飲んだ人は日焼けのレベルが著しく低下した。ただし、いまのところシダエキスの研究は規模が小さいし、実験デザインもゆるいので、これらの結果はあくまで予備的。
ってことで、いろいろ書いてきましたけど、どれも小規模な試験だし、実験デザインにも問題があるケースが多いので、やっぱり「日焼け止めのサポートに使うぐらいならいいかなー」って印象ですね。個人的には、リコピンとココアをサポートに使うぐらいならよいのではないでしょうか。
逆に日焼けに弱くなる成分もあるから気をつけようねー
念のため、「飲むと日焼けに弱くなっちゃう成分」についても軽く触れておきましょう。具体的には、「柑橘類の摂取量が多いほど皮膚がんのリスクが高くなる!」ってのがいくつかの観察研究で報告されてるんですよ。
たとえば、英国バイオバンクのデータの解析(R)では、メラノーマの症例1,592例と対照群197,372例を調べたうえで、こんな結論を出しております。
- 1日に2皿以上の柑橘類(オレンジ、グレープフルーツ、レモン、ライム、みかんなど)を摂取している人は、柑橘類を食べない人と比べてメラノーマのリスクが63%高い(特に肌が白い人ほどダメージが大きい)。
- 柑橘類の種類に基づいてサブグループ化すると、オレンジまたはオレンジジュースを1日1食以上摂取している人は、摂取していない人に比べて、メラノーマのリスクがそれぞれ79%または54%高くなった。グレープフルーツとグレープフルーツジュースの摂取量は、メラノーマのリスクと関連していなかった。
このタイプの報告は他にもいろいろありまして(R)、柑橘系のフルーツと日焼けダメージの関係は割と強め。だからといって、柑橘系を食べるなって話ではないものの、日差しを浴びることが多い人、特に肌の色が白い人は、柑橘類を控えめにしたほうがいいかもなーとは言えるでしょうね。こちらも合わせて注意してくださいませー。