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今週末の小ネタ:カフェインはどれだけ睡眠に良くないのか? クルミで頭が良くなる? がん予防に最も効果的な抗酸化物質とは?


ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。

 

 

 

 

カフェインは睡眠に良くない!では、具体的にどれだけ良くないのか?

寝る前のカフェインは良くない!ってのは誰でも知ってますが、「具体的に何ミリグラムを何時間前までに飲むとヤバいのか?」を調べたメタ分析(R)が出ておりました。カフェイン好きはぜひ参考にしてください。

 

これはランダム化クロスオーバー試験のメタ分析で、24件の先行研究をピックアップし、健康な男女にカフェインが睡眠に与える影響をチェックしてます。研究のうち19件は、睡眠をモニターした日にカフェインを投与する短期試験で、5件は4~14日間連続してカフェインを毎日投与する試験になってます。カフェインの投与量は1日100~1,200mgで、就寝の0~950分前に摂取して、睡眠の変化を調べたそうな。

 

では、結果を見てみましょうー。

 

  • カフェインを飲まないグループと比較して、カフェインを飲んだグループは総睡眠時間が45分減った。さらに、カフェイン摂取が就寝時刻に近いほど、また摂取量が多いほど、総睡眠時間は減少した。

 

  • さらに、カフェイン摂取は、眠りに入るまでの時間を9分遅くし、目覚めの時間を12分延長させ、睡眠効率を7%低下させた。

 

  • カフェインによる睡眠の悪影響を防ぐのに必要なタイミングは、カフェインの用量によって異なる。例えば、

    • 217mgのカフェインは、就寝の少なくとも13.2時間前に摂取すべきである。

    • 107mgのカフェインは、就寝の少なくとも8.8時間前に摂取すべきである。

    • 47mgのカフェインであれば、いつ摂取しても睡眠に悪影響を及ぼす可能性は低い。

 

ってことで、ざっくり言うと、コーヒー80ml、チョコレート60g、緑茶200mlぐらいであれば、いつ飲んでも睡眠に悪影響は出ないのかもですね(かなり単純計算ですが)。もちろん、人によってカフェインの代謝が変わるので、これが絶対のガイドラインではないものの、参考になる数値ですねー。

 

 

 

クルミで子供の頭が良くなる?

クルミで頭が良くなるかも?ってデータ(R)が出ておりました。クルミはα-リノレン酸(ALA)ってオメガ3脂肪酸が豊富なので、脳機能に良い可能性は昔から指摘されてたんですよね。

 

こちらは、健康的な小児および青年771人を対象にした研究で、参加者の年齢は11~16歳だったとのこと。実験は6ヶ月間にわたって行われ、子どもたちの半分には1日30gの生クルミを通常の食事に取り入れ、残りの半分には何もしなかったそうな。

 

そのうえで、みんなの注意力、ワーキングメモリー、流動性知能、実行機能などを調べたところ、結果は以下のようになりました。

 

  • intention-to-treat解析(クルミの摂取に関係なく全参加者の変化を考慮する)では、クルミを摂取したグループは、そうでないグループと比較して、脳の神経の発達に目立った影響を及ぼさなかった

 

  • ただし、クルミをしっかり食べた参加者のみを調べたper-protocol解析では、クルミを食べたグループは、脳機能の一部が改善した。これらの改善にはADHD症状の減少、注意力と流動性知能の増加がふくまれている。

 

ってことで、これらの結果を見てみると、おそらく「クルミを毎日食べると子どもの脳に良い影響がありそう!」とは言えそうであります。1日30gってことは、手のひらのくぼみに軽く乗るぐらいの量なんで、続けるのも楽でいいですね。

 

 

 

がん予防に最も効果的な抗酸化物質とは?

前立腺がんの予防に効く抗酸化物はこれだ!」ってメタ分析(R)が出ておりました。といっても、あくまで前立腺がんだけに絞った研究ですけど、効果的な抗酸化物質について考える際の参考にはなりましょう。

 

これは14件のランダム化比較試験のネットワークメタ分析で、そのうち7試験は米国で、3試験はヨーロッパで、1試験はカナダで実施されたもの。残りの3試験は国際的に行われたもので、合計73,365人のデータをまとめて、以下の抗酸化物質のなかで、最も効果が高そうなものを選んでくれております。

 

  • 緑茶カテキン
  • セレン
  • ビタミンD
  • ビタミンE
  • 葉酸
  • ビタミンB6
  • β-カロチン
  • 葉酸+ビタミンB12
  • 葉酸+ビタミンB12+ビタミンB6
  • セレン+ビタミンE
  • セレン+ビタミンE+大豆蛋白
  • セレン+リコピン+GTC

 

でもって、分析の結果は以下のようになります。

 

  • 前立腺がんのリスクを下げるのに有効なのは、緑茶カテキン、ビタミンD、ビタミンB6、およびβ-カロテンだった。

 

  • 上記の抗酸化物質のなかでも有効性が高いのは緑茶カテキンで(SUCRA値88.6%)、次いでビタミンD(55.1%)、ビタミンB6(54.1%)、β-カロテン(51.7%)の順番だった。

 

  • しかしながら、いずれのサプリメントも、プラセボと比べてめっちゃ有効化と言われればそんなこともなさそう。

 

ということで、全体としては緑茶カテキンがもっとも良さげながら、そこまで統計的には有意じゃない感じではあります。とりあえず、普段から緑茶は積極的に飲んでおきつつ、「これで発がんリスクが減ったらいいなぁ」ぐらいの姿勢をキープしておくのが良さそうっすね。

 

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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