今週末の小ネタ:美肌には筋トレだ! 食べ過ぎにはHIITだ! いくつになってでも運動で脳が若返るぞ!
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
美肌が欲しい?それなら美容液や化粧水より筋トレでしょ!
「美肌が欲しい?それなら美容液や化粧水より筋トレでしょ!」って論文(R)が出ておりました(もちろん、研究チームはそこまで言ってねぇですが)。
まずこの研究の結論を言うと、
- 筋トレは遺伝子の発現を変化させ、顔の皮膚細胞と組織の根本的な健康状態を改善する!
って感じです。筋トレをすると遺伝子のレベルで美肌が手に入るかもしれないわけっすね。
これは立命館大学の藤田聡先生が率いた調査で、過去の研究では、活動的な人の皮膚は、そうでない同年齢の皮膚うおりも角質層が薄くて真皮が厚く、ミトコンドリアがより多くて健康だって報告が出ているんだそうな。当然ながら、これらはすべて肌の若さと関連してますからね。
で、この実験では、座りっぱなしの中年女性56人を集め、顔の皮膚の弾力性、厚さ、真皮層の構造をチェックしたあと、そのうち半数の女性に、30分のサイクリングを週2回ずつ指示。残りには、同じく週に2回ずつ、1回30分程度の筋トレをやってもらったそうな。
さらに、16週間後に、すべてのテストを繰り返したところ、結果はこんな感じになりました。
- 有酸素運動をした女性も、筋トレをした女性も、顔の皮膚の弾力性が改善され、たるみが少し減った。皮膚を支える土台も密になり、皮膚のコラーゲンの生成に関わる遺伝子が活性化した。
- ただし、筋トレをした女性だけが、真皮層の厚さが増加した。これは、肌を強化するためのタンパク質を送り出す遺伝子が活性したのが原因っぽい。
ということで、どちらのタイプの運動も美肌に役立つんだけど、特に筋トレは重要な遺伝を活性するんじゃないかと。
もちろん、この研究は小規模で短期間なものだし、対照群もなかったわけですが、エクササイズが遺伝子の発現を変えたり、体内の炎症を抑えてくれるのは間違いないので、美肌に役立つ可能性はめっちゃ高いんじゃないでしょうか。これもまた筋トレのモチベーションを上げてくれますなぁ。
つい食べ過ぎちゃう?それなら激しい運動しとけ!
「つい食べ過ぎちゃう?それなら激しい運動しとけ!」って論文(R)が出ておりました。この研究では、負荷が高くてカロリーを使うトレーニングは、たとえかなり短時間であっても、食欲増加ホルモンを減らすかもしれないんだそうな。
これはウィルフリッド・ローリエ大学などの調査で、9人の健康な中年男女をラボに呼んで、日替わりで以下のようなトレーニングを指示したらしい。
- 30分間だけ楽に走る。
- トレッドミルで「高速ダッシュを1分間→1分間の休息」ってセットを10回繰り返す。
- 「15秒間の全力エアロバイク→2分間の休息」ってセットを8回繰り返す。
- 何もせず座る。
ということで、楽なトレーニング(または運動しない)と、高強度インターバルトレーニング(HIIT)の効果を比べた内容になっております。
でもって、各セッションの前後に空腹感をチェックたら、結果は以下のようになりました。
- 激しい運動をした後は、参加者の血流中の乳酸レベルが急上昇していた。乳酸といえば、かつては悪玉のように考えられていた時代もあったが、現代では運動のメリットを引き起こす重要なシグナルだと考えられているので、これは良いこと。
- さらに重要なことに、乳酸値が高いほど、血中のアシル化グレリンの量が少ない傾向があった。アシル化グレリンは食欲を増進させる主要なホルモンのひとつ。
ってことで、短時間の激しい運動が乳酸を増やし、これが胃からグレリンを放出させるのをブロックしたらしい。
実際、激しい運動をした日は、運動しなかった日よりも、消費カロリーが平均129キロカロリーほど減ってまして、これはなかなか良い結果じゃないでしょうか(軽いランニングだと同じ効果は確認されなかった)。小さい差ではありますが、これが積み重なれば、体型の維持に役立ちそうですもんね。
研究チームいわく、
運動後の食欲を抑えたいなら、激しい運動がよさそうだ。平坦な場所を散歩する代わりに、長い坂道を腕を振り、息を切らしながら、早足で登ったり走ったりするとよい。
ただし、このような食欲抑制の効果は短期間である可能性が高く、毎日、あるいは少なくとも毎週数回の運動が必要だろう。
とのこと。かつては「運動は食欲を増す!」って考え方が一般的だったですが、近ごろは、そこらへんを否定する研究も増えてきましたねぇ。
いくら年を取っても、運動で脳は若返るぞ!
「いくら年を取っても、運動で脳は若返るぞ!」って論文(R)が出ておりました。すでに認知機能が低下していてる70歳や80歳でも、そこから運動をしたら、直後に脳機能の改善が見られたんだそうな。
こちらはメリーランド大学などの研究で、70代と80代のボランティア33人を対象にしたもの。そのうち約半数は軽度認知障害に悩んでいて、名前を覚えるのが難しくなったり、車をどこに停めたか忘れたり、今朝サプリを飲んだのかなどを忘れちゃうような感じだったらしい。このような脳の衰えは、脳の構造や機能が時間の経過とともに衰えていくのが原因のひとつで、神経細胞が弱まったり死んじゃうせいで起きると考えられております。まー、いま47歳のわたしも、すでに似たような経験は増えつつあるわけですが。
で、実験では、全員に認知テストをしてもらったり、脳の状態をMRIスキャンで調べたりしたあと、半数の参加者にだけ週に4回ずつの運動を指示。具体的には、1回約30分間の速歩きをしてもらったうえで、4ヵ月後に再び脳の状態を調べたらしい。
すると、参加者の脳にはハッキリした違いが見られまして、
- 運動をしたグループは、たとえ軽度認知障害者であっても、認知テストのスコアが良かった。
- ついでに、運動をした参加者の脳は、内部のいろんな異なるネットワークが相互に作用し、つながりがよくなって情報が行き来するスピードが上がり、複雑な思考や記憶を形成するようが簡単になった。
って感じだったらしい。4ヵ月間の運動をした参加者は、脳スキャンで細胞やネットワーク全体が同時に光り出していたんだそうな。それぐらい脳全体がうまく働き始めたってことですね。これもまた希望を持たせてくれる結果ですねぇ……。