過去最大クラスの調査で「長生きしたいなら午後の運動がいいぜ!」って結論が出る
Xにも書いたとおり、「パレオな男」が開設から丸10年を迎えました。とりあえず、10年にわたって最低でも1日1回は更新してきたんで、なにごとも続けられない私にしては、よくやったんじゃないかと。10年といえば、ラブリースマイリーベイビーが新卒で会社に入るぐらいの期間なんだからすごいもんです。
で、10周年記念でなにかしようかと思いましたが、個人的に「年を取っただけだからなぁ」という感慨しかわかないので、通常営業で進めたいと思います。今後も更新していくかもしれないし、ある日突然にやる気がなくなるかもしれません。そこはなんとも言えませんが、今後もよろしくお願いします。
といったところで、今回は「運動は午前がいいのか?それとも午後がいいのか?」に関するお話です。これは、過去に何度も取り上げてきたテーマで、
みたいなものがありました。その他にも、「糖尿病のリスクがある人は、朝よりも夕方に運動した方が血糖コントロールが改善するよー」って報告があったりして、運動のタイミングによって効果が変わってくるのは間違いなさそう。いまのところは朝のエクササイズと夜のエクササイズには、それぞれ独自のメリットがあるため、どちらが絶対によいとは言えないところではありますが。
もっとも、まだこの問題にはあいまいなところも多くて、それというのも、上記の研究のほとんどは小規模で、そのせいで結果にも一貫性がなかったりするんですよ。なので、運動のタイミングは大事だろうけど、まだちゃんとしたことが言いづらい状態だったわけです。
といったところで、新しい研究(R)は、研究の規模に関しては過去最大クラスのものでして、かなり信頼できそうな内容でありました。これは92,139人の男女の活動データを分析したもので、みんなに活動量計をつけてもらい、1週間の動きをチェックした調査になります。9万人ぐらいの調査ってのは珍しいので、非常にありがたいことですなぁ。
で、この研究者では、活動量計の数値を分析し、みんなが運動している時間帯を割り出しつつ、これを最長7年間の死亡記録と比べています。その結果なにがわかったかと言いますと、
- 中等度または強度の身体活動(要するに、早歩きぐらいの運動)をよくやっている人は、1日のどの時間帯にエクササイズをしても、ほとんど体を動かさない人よりも長生きだった(これは予想どおりの結論ですね)。
- ただし、エクササイズの時間帯と長寿の確率には、明確な関係も確認された。具体的には、午前11時から午後5時までの間に集中して運動する人は、午前11時前や午後5時以降に運動する人よりも、心臓病やその他の原因(がんを除く)で早死にする可能性が低かった。
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昼過ぎから夕方の運動による長生きのメリットは、男性と高齢者ほど大きい傾向があった。
って感じでして、研究チームは、「運動のタイミングは、毎日の身体活動がもたらす健康効果を最大化する可能性がある」と結論づけておられます。長生きしたいなら、昼過ぎから夕方の運動がベストなんじゃないかってことで、言われてみれば、このあたりの時間帯は、統計的に最も心臓発作を起こしにくかったりしますしね。
ちなみに、余談ですが、もうひとつ近年の研究(R)では、カロリンスカ研究所などのチームは「午前中の運動は体脂肪を減らす効果があるかもよー」みたいな報告をしてたりします。こちらはマウス実験なので、上の調査に比べると精度はだいぶ落ちるものの、ちょっとおもしろい内容なんですよ。
この研究では、運動のタイミングによって体脂肪がどう変化するかを調べてまして、オスのマウスを起きてすぐに1時間ほど走らせ、これを起床から数時間後に走らせたマウスと比較したんだそうな。すると、起きてすぐにエクササイズした動物の体脂肪は、より多く分解していたらしい。要するに、朝に運動をしたほうが、体脂肪が燃えやすくなるんじゃないかってことですね。あくまで動物実験なので注意が必要ながら、朝の運動で体脂肪が燃えやすくなる可能性はわりとあるんじゃないなかー、と。
ということで、いまの時点で、運動のタイミングによる結果をまとめてみると、
- 朝の運動は、脳機能の改善と体脂肪の減少に役立つかも?(ただし代謝がアレな人は午後に運動したほうがいい可能性もある)
- 午後から夕方までの運動は、筋肉の増加と長寿に役立つかも?
みたいな感じになるかもしれません。まぁ正直なところ、現実にはわずかな差なので、そこまで気になる必要もない気がしますけど、数カ月から数年をかけると、意味のある違いになる可能性はあるでしょうね。
その他、運動のタイミングによるメリット違いについては、 「運動のメリットを最大化する最適な時間はいつですか?」にダダっとまとめてますんで、こちらも合わせてご参照ください。ちなみに、最近の私は、主に夕方にエクササイズをすることが多いです(これは単に仕事との兼ね合いの問題)。