人間関係を破壊するかもしれない「迎合」の特性をチェックする31問
「迎合」って言葉には、いまいち良くないイメージがあるわけです。他人に合わせるのは悪いことじゃないものの、その気持ちが行きすぎたら、自分を押し殺すことになっちゃいますからね。
ブリガム・ヤング大学の実験(R)も「迎合」にまつわるもので、この心理がどのような悪影響をもたらすのかを調べております。まずは、研究チームの問題意識を紹介すると、
人は強い帰属欲求に突き動かされ、時には、善意ではあっても、自己の感覚を弱めるような方法で他者の承認を求めるようになる。
その結果、他人の好意を得ようと個人的な考えや感情の表現を押し殺してしまう。
みたいになります。迎合をこじらせた人ってのは、他人に好かれようと頑張るあまり、素の自分を押し殺してしまいがち。そのせいで、逆に他人からは「わけがわからないやつだな……」と思われやすく、本人は本当の自分を表現できないストレスがたまるし、そのせいで他人から嫌われてしまうんじゃないかって話ですね。確かに、これは「迎合あるある」かもしれません。
ってことで、この研究では、420人の男女を集め「激しい迎合は人間関係を壊すのか?」ってところをチェック。ここで言う「迎合」は、「他人が心地よくなるように頑張ることこと」ぐらいの定義でして、私たちが普段使う言葉の意味とほぼ同じです。
調査では、みんなの迎合レベルをテストで調べ、これをみんなの人間関係の親密さと比べたとのこと。すると、やはりテストの点数が高い人ほど、
- 自尊心がめっちゃ低い
- パートナーなどとうまくいっていない
って傾向が見られたらしい。他人の評価を意識しすぎると自信がなくなり、結果として人間関係がうまくいかなくなるという、研究チームの予想どおりの結果ですね。
ってことで、やはり迎合には問題がありそうですが、これについて研究チームは、こんなことを言っておられます。
周囲の人たちに、自分の行動を認めてもらいたいと思うのを止める必要はない。ただし、外在化した自己認識を通して、相手からの評価を引き出そうとするのではなく、自己を心地よく感じるところからはじめてほしい。
要するに、迎合そのものは自然な感情だからしょうがないんだけど、それに全ベットしちゃうと辛くなるから、まずは自分自身を「セーフプレイス」にしてやろう!みたいな考え方です。
この「セーフプレイス」って考え方は、「自分はどのような人間なのか?」「自分は何を大切にしている人間なのか?」ってポイントについて明確な答えを持ち、それゆえに自分自身に安心感を抱けている状態を意味しております。まぁ自分に自信のない人が、急に自己をセーフプレイス化するのも難しいとは思いますが、そこらへんについては「最高の体調」の価値観ワークなどを重ねて、少しずつ変えていくしかないでしょうなー。
ということで最後に、この研究で使われた「迎合レベルテスト」を貼っておきます。自分の承認欲求が気になる方は、それぞれの文章を5点満点で採点してみてください(完全に当てはまるなら5点で、まったく当てはまらないなら1点)。
- 自分が他人からどう見られているかを、自分だけで判断する傾向がある。
- 普通の人ならできるはずのことができないので、自分に不満を感じる。
- 決断を下すときは、自分の考えや意見よりも、他人の考えや意見の方に影響される。
- 他人の気持ちに責任感を抱くことが多い。
- 他人の感情を考えることに多くの時間を費やしているため、自分が何を考え、感じているのかを知ることが難しい。
- 私は、自分で決めた基準を自分で満たすことができないと思う。
- 自分のことを一番に考えるのが最も重要だと思う。★
- 「いたわり」とは、私にとって自分のことより相手のことを優先するという意味だ。
- 自分の欲求を大事な欲求と同じくらい重要だと考えるのはワガママだ。
- 親密な関係において、私の責任は相手を幸せにすることだ。
- 思いやりとは、たとえ自分が違うことをしたくても、相手の望むことを選ぶことだ。
- 自分のことを良く思うためには、自立している必要があると思う。★
- 私にとって最悪のことは、自分がわがままになることだ。
- 自分のためだけに何かをするのは利己的だ。
- 親しい間柄の相手が幸せであれば、その人が何をしようと気にしない。
- 親密な関係において、意見の相違を引き起こすとわかっているときは、自分の感情を口にしない。
- パートナーのニーズや感情と自分のニーズや感情が衝突するときは、いつも自分の気持ちをはっきり言う。★
- 私は親密な関係において対立する危険を冒す代わりに、むしろボートを揺らさないようにしたい。
- たとえそれが問題や意見の相違につながったとしても、私はパートナーに自分の気持ちを話す。★
- パートナーのニーズや意見が私の意見と対立するとき、私は自分の意見を主張するよりも、むしろパートナーの意見に同意してしまう。
- 自分のニーズが恋愛関係で満たされないとき、私はたいてい、そのニーズはどうせあまり重要ではなかったのだと思うようにしている。
- 親しい人に対して怒りを表すことはほとんどない。
- 自分の感情がパートナーと衝突するときは、自分の中にとどめておく方がいいと思う。
- 自分の感情が親しい人間関係に支障をきたすような場合には、自分の感情を葬り去ろうとする。
- 親しい関係にあるときは、一人でいるときよりも自分らしくいるのが難しい。
- 相手を喜ばせるために、ある種の行動をとらなければならないと感じる。
- 外では幸せそうに見えるが、内心では怒りや反抗を感じることがよくある。
- パートナーに愛されるためには、自分のあることを相手に明かせない。
- 親密な関係の中にいると、自分というものがわからなくなる。
- 私のパートナーは、ありのままの私を愛し、評価してくれる。★
- パートナーは私の本当の姿を知らないと思う。
点数をつけたら、★マークにつけた点数を反転(5点→1点、4点→2点、2点→4点、1点→5点)でもって、全体の平均点を出してみてください。このテストは「○○点より上ならヤバい!」みたいな基準はないものの、だいたい平均が4点を超えたら「迎合がすぎる」と判断して、自己のセーフプレイスを試してみたほうが良いでしょう。どうぞよしなに。