現代人の1番の問題「倦怠感」から 抜け出すにはどうすればいいのかという本を読んだ話
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「倦怠:私たちを疲弊させる世界で、再び生を実感する方法(Languishing: How to Feel Alive Again in a World That Wears Us Down)」って本を読みました。著者のコーリー・キーズ先生はエモリー大学の社会学名誉教授で、 アンチエイジングの研究で有名なマッカーサー財団研究ネットワークのメンバーだそうな。
本書は、「無関心でやる気がない!無気力で集中力がない!って 問題を解決するにはどうすればいいのか?」をテーマにした一冊で、
ってことで、いつもどおり本書から勉強になったところをまとめてみましょうー。
- 現代では「倦怠感」 としか言いようがない心理状態に悩まされる人が増えている。 このような人は、以下の問題に苦しむことが多い。
- 感情が平坦になり、 人生の節目やイベントに興奮を覚えられない。
- すべての物事が自分とは無関係に感じられ、 あらゆるものが表面的に思えてくる。
- 定期的に頭がぼーっとして、 今何をしようとしたかがわからなくなる。(例えば、シャワーを浴びながら、髪を洗ったかどうかを 忘れてしまう。)。
- 自分がどのコミュニティにも 所属していると感じられず、世の中に貢献していないような気分になる。
- 自分の性格が好きではなく、温かく信頼できる人間関係がないと感じる。
- 自分がより良い人間に なっているという実感がない。
- 自分の考えや意見を表現する自信がない
- 人生に意味や方向性を感じられない。
- 「倦怠感」はうつ病とは異なる。うつ病は、絶望感や悲しみが持続し、睡眠障害や自殺願望をともなうが、 倦怠感が強い人は、人生の目的意識がなく、コントロールが効かず、将来に何を望んでいるのかわからないと感じているが、うつ病の症状はない。
とはいえ、 倦怠感を放っておくと、うつ病より深刻な問題を引き起こす。自傷行為、依存症、うつ病、不安障害、心的外傷後ストレス障害、精神疾患の再発、仕事の生産性の低下、早死などである。
- 「倦怠感」から脱するためには、2つの 心理状態を目指す必要がある。ひとつは心理的幸福と呼ばれるもので、人生の目的、自分自身の受容、自己成長、他者との良好な関係などが含まれる。
もうひとつは社会的幸福と呼ばれるもので、コミュニティに所属していると感じること、社会に貢献していると感じること、他人を受け入れられることなどが含まれる。
- 一般的に、「倦怠感」が強い人は、 この両方の幸福が達成されてないケースが多い。たとえ、 短期的には幸せや満足を感じていても、 それが 長期的な幸福に結びつかないとうまく機能はしない。
幸せが、目的、所属、受容、自己成長などと結びついていない場合、それはあまり健康的だとは言えない。 お菓子をいつも食べているようなもので、気分は良くなっても 精神の栄養が 得られない。意味も意義もない人生には、気分は良くても実質がないため、私たちは気分の改善よりも、人生でうまく機能することを優先する必要がある。
幸福がうまく機能していないグループは、 機能しているグループよりもうつ病の発症率が5倍以上高い。
- 博士自身の研究によれば、人生で自らをうまく機能させている人は、5つの活動を毎日他人よりも多く行っている。
- 目的を見つける: 倦怠感を抜け出すためには、自分の人生が重要だと感じられなければならない。自分の目的がわからない人は、目的を持っている人よりも 間違いなく幸福度が低い。逆に、強い目的意識を持つ人は、ストレスが少なく、よりポジティブな感情を持ち、日常的な体調不良が少なく、全体的に健康な 傾向がある。
「目的」とは必ずしも世界の改善に役に立つ立ようなことではなく、「自分の安心のために住宅ローンを払う」「 友人にひたすら親切にする」ぐらいでもいい。 どんなに小さな事でもいいので、ちょっとでもいいから目標立てて実践してみると、 そのうち自分にとっての大義が見えてくることが多い。 - 新しいことを学ぶ:「博士号を取る」ような大きな目的、「油絵を始める」ような小さな趣味、「新しいテーマの記事を読む」 日常的な出来事など、 あらゆる学習は「前向きな自己イメージの中核」を形作り、「倦怠感」の驚くほど強力な解毒剤になる。長らく空虚感を感じていた人でも、60歳からバイオリンを習い始めたおかげで、一気により若々しく、より生き生きとし、より自立し、自分の人生をコントロールできるようになったケースは多く見られる。
- 交流する:友情の質は量よりも重要であり、有意義な人間関係と帰属意識は、「倦怠感」から抜け出すのに不可欠である。博士いわく「本当の親密さを築くには、双方向でなければならない。年齢を重ねるにつれて、私たちは感情的に満足できるかどうかで人間関係を優先する傾向が強くなり、一緒に時間を過ごす相手にについて、より選り好みをするようになる」とのこと。
- 遊ぶ:形にとらわれない楽しみは、すべての人のストレスを軽減し、幸福感を高める効果がある。これは、必ずしもボードゲームやスポーツなどの決められた遊びではなく、「新しいパターンで草を刈ってみる」「めちゃくちゃ不味い料理を作ってみる」 ようなものでも、日常から外れていれば何でもいい。
この時に大事なのは、受動的なレジャーよりも能動的なレジャーを重視することで、たとえばテレビでゴルフを見るよりは、ゴルフ練習場でボールを打つほうがよい。どのような時間を過ごすにしても、遊びは私たちの想像力を取り戻し、生活に興奮と活力とユーモアを加え、人生全体の満足度を高めてくれる。 - 精神性を求める: 精神性を高めるためには、必ずしも宗教的な儀式に参加したり、毎日瞑想をしたりする必要はない。ヨガで心の平安を見出してもいいし、 文学やアートに触れても良い。ある研究では、人生に対する満足度は裕福な国のほうが貧しい国よりも高かったが、人生の意義は貧しい国のほうが高かった。その理由のひとつは、豊かな国ほど、国内総生産が増加するにつれて、宗教から切り離されていくところが大きいと考えられる。
- これら5つの活動は、 倦怠感から抜け出すのに欠かせない5つのビタミンだと言える。 倦怠感に悩まされない人たちは、これら5つの活動の すべて人よりも多く行っている。いま激しい倦怠感を感じている人でも、これらの行動を継続的に行うことで、その効果を実感できるようになる。