自分の好奇心パターンを知っておくと、人生の改善に役立つぞ!という研究の話
好奇心ヤバい!人生を改善する力が大きすぎる!みたいな話を以前に書いたとおり、好奇心がもたらすメリットについては、膨大なデータの裏づけが合ったりします。好奇心が高い人は知性も育ちやすいし、セルフコントロール能力も上がるし、幸福度も高まるって報告はいくつもあるんですよ。
となれば、誰もが「好奇心を高めるにはどうすればいいの?」ってとこが気になるでしょうが、その前にひとつ大事なのが、「私はどのような好奇心を持っているのか?」を確認することです。というのも、近年の研究では、好奇心ってのは単一の特性じゃなくて、いくつかの異なるパターンがあり、自分がどれに当てはまるかを考えるほうがメリットが大きいかも?と考えられてるもんですから。
そこで勉強になるのが、ジョージ・メイソン大学などが行った調査で、研究チームは、先行するデータをベースに「好奇心」を5つの類型に分類(R)。かつては「好奇心は情報が足りないところに生まれる」って説が優勢だったところへ、新たな理解を提案してくれていて、めっちゃ役に立ちました。
研究チームが、具体的にどんな分類をしたのかと言いますと、以下のような感じです。
- 「足りない感覚」好奇心:「自分には知識が足りない!その知識を身につけないと安心できない!」みたいなモチベーションで動くタイプ。この感覚がある間、本人は不快感を感じているんだけど、問題を解決しようとしてめちゃくちゃ努力する傾向がある。
- 「探求の喜び」好奇心:「世の中ってすごいことばっかりじゃない?もっと知りたい!」みたいなタイプ。本人にとっては心地よい状態が続くため、このタイプは、生きる喜びに満ちるケースが多い。
- 「他者を知りたい」好奇心:人間に興味があり、誰かと話をしたり、話を聞いたり、行動を観察したりして、他者を深く知ろうとするタイプ。もともと人間は社会的な生き物なので、多かれ少なかれ、誰もが他人の情報を知りたいと思うものなんだけど、そのモチベーションが人一倍強い。
- 「ストレスどんと来い」好奇心:新しいものや珍しいものに対する不安がわくほど、それを活用しようとするモチベーションが上がるタイプ。この能力が低い人は、なにかに興味をひかれたとしても、そこから不安を乗り越えて掘り下げようとはしない。
- 「ハイテンション大好き」好奇心:新しくて強烈な体験をするためなら、リスクをいとわずに突き進むタイプ。テンションが上がる感覚が好きで、未知への不安があると、逆にワクワクしてくる。
確かに「好奇心にもいろんな種類があるんだなー」って感じでして、私の場合は、あきらかに「足りない感覚」「他者を知りたい」が日常的に強いタイプで、あとは「探求の喜び」がちょい高めで、残りの2つは低めって感じですね。こういう分類があると、「探求の喜び」系の好奇心をもっと刺激しつつ、「ストレスどんと来い」を高めていくと、もっと良い感じに過ごせそうだなーとか分析できて良いですね。
また、研究チームは、タイム誌と共同で全米規模の調査も行って、「好奇心の類型によって行動に違いは出るのか?」なんてあたりも調べてくれてます。その結果を、要点だけまとめておくと、
- 「探求の喜び」好奇心を持つ人は、最も日常的にポジティブな感情を抱きやすい。
- 「ストレスどんと来い」好奇心がある人は、「自分には能力がある!」「私は自立した人間だ!」という自信があり、そこに向かうためのモチベーションも高い。
- 「他者を知りたい」好奇心は、親切で謙虚で控えめな態度に結びつきやすい。
- 「ハイテンション大好き」好奇心を除く4つの好奇心は、いずれも仕事の成果を高める効果を持つ。なかでも大事なのは「ストレスどんと来い」と「他者を知りたい」で、この2つが高い人ほど、いろんなチャンスに挑むし、複数のリソースを探し続けるし、仕事に集中するし、創造性も高いしで、良いことだらけらしい。
- 「他者を知りたい」好奇心が強い人は、同僚とのケンカを解消したり、周囲からサポートを受けるのが得意で、人脈づくり、信頼の獲得などもうまい。
って感じになります。どうやら、好奇心の中であまり良くないのは「ハイテンション大好き」だけで、あとはどのパターンでも高めて置いて損はなさそうですね。こうして見ると、私は「ストレスどんと来い」を中心に上げるべきなんでしょうな……。
では、最後に自分の好奇心パターンを調べるためのテストを紹介しときます。以下の文を読んで、7点満点で採点してください。まったく当てはまらないなら1点で、完全に当てはまるなら7点です。
「足りない感覚」好奇心
- 抽象的で難しい問題についてもずっと考えていられる。
- 答えがわかるまで粘る性格で、1つの問題についていくらでも考えていられる。
- 答えが見つからないとイライラするため、何としてでも解こうとがんばる。
- 「解決しなくては」と思った問題には、どこまでも取り組む。
- 必要な情報がすべてそろわないと安心できない。
「探求の喜び」好奇心
- 難しいシチュエーションを、成長や学習のチャンスだと考える。
- 自分の考え方や価値観が変わるような経験をたえず探している。
- 深く考えないと解けないような問題を自分から探す。
- よく知らないジャンルについて学ぶのが好き。
- 新しい情報を知るのは良いことだと思う。
「他者を知りたい」好奇心
- 他人の考え方や価値観を知りたい。
- 他人が特定の行動を取った理由を知りたい。
- 他人の会話に興味がある。
- 会話をしている人がいると、つい聞き耳を立てる。
- 争いごとが起きると、内容を知りたくなる。
「ストレスどんと来い」好奇心
- 少しでも不安があるときは、知らない経験には挑まない。
- 不確実な状況だとストレスを感じ、対処できないと思う。
- 自信がない時は、知らない場所に行けない。
- 「大丈夫だ」と確信できないときは、何かに初挑戦しても失敗すると思う。
- 予想外のことがあると思うと、集中できない。
「ハイテンション大好き」好奇心
- 新たなチャレンジで不安を感じると、興奮や生の実感を感じる。
- リスクを取ることにワクワクする。
- 余暇にはスリルのある経験をしてみたい。
- 計画的に冒険するより、出たとこ勝負の冒険のほうが楽しい。
- 友人は気まぐれで変人のほうがいい。
採点が終わったら、好奇心のパターンごとにスコアの平均値を出してください。「ストレスどんと来い」好奇心だけは、点数を逆転させてから計算しましょう(「まったく当てはまらない」を7、「完全に当てはまる」を1にする)。
ちなみに、アメリカ人のデータでは、テストの平均は以下のようになってます。
- 「足りない感覚」好奇心 4.9
- 「探求の喜び」好奇心 5.2
- 「他者を知りたい」好奇心 4.4
- 「ストレスどんと来い」好奇心 4.4
- 「ハイテンション大好き」好奇心 3.9
まぁこれは海外の平均なんで、あくまで参考程度にしてください。それよりは、全体のバランスで見て、「あ、自分は他者への興味がないんだな……」みたいに判断していくと良いでしょう。
その上で、具体的な好奇心の育て方については、拙著「運の方程式」に詳しいトレーニング法を書いたので、こちらをご利用ください(宣伝)。