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結婚が遅すぎると離婚のリスクが高まるから、26歳あたりで決めちゃうのがベスト説



結婚が遅すぎると離婚のリスクが高まるかもよー」みたいな研究(R)があって、その流れで「数学的には結婚に最適な年齢は26歳だ!」みたいな話を思い出したりしました。

 

まず結婚年齢と離婚の関係は、ユタ大学のニコラス・H・ウォルフィンガー先生が調べたもので、アメリカの全国調査から家族生活、結婚、離婚に関連するデータを収集。性別や人種、教育レベルなどをコントロールした上で、以下のような結論を出してたりします。

 

  • 結婚した年齢と離婚リスクの間にはU字型の関係があり10代から20代後半、30代前半にかけて離婚の確率は減少していく。

 

  • しかし、30代後半から40代前半に結婚した人は、離婚の確率は再び上昇する。

 

  • 28歳から32歳の間に結婚した人は、別れるリスクが最も低い。

 

  • 30代後半まで結婚を待つと、離婚につながる可能性が高くなる。カップルが別れる確率は、32歳以降、毎年5%ずつ上昇する。

 

こういった現象が見られた理由はよくわからんのですが、ウォルフィンガー先生は、「選択効果じゃないの?」と推測しておられます。

 

30代まで結婚を待つ人は「結婚生活がうまくいく素質がないタイプの人かもしれない」と彼は考えている。どういうことかと言いますと、

 

  • もともと怒りっぽい性格の人は、そのせいでなかなか結婚ができず、結婚したとしても離婚しやすい。
  • 極度に内向的な性格の人は、そのせいでなかなか結婚できず、結婚したとしてもコミュニケーションがうまくいかずに離婚しやすい。
  • 自己中心的な性格の人は、相手の気持ちを考えることができないせいでなかなか結婚できず、結婚してもパートナーと衝突して離婚しやすい。

 

みたいな話です。「歳を取って結婚できていない人には問題がある」みたいな言いまわしがありますが、それに近い考え方を想定しているわけですね。

 

まぁ同じ現象が日本でも確認されるかどうかは謎で、アメリカとは異なる文化的背景や社会的要因が影響しているため、直接的な比較はできないでしょう。ただ、日本のデータ(R)を見てみると、遅い結婚が必ずしも安定した結婚につながるわけではないという点では、共通する部分もあるようには思えるわけです。

 

で、ここらへんの話を見ていて思い出したのが、「アルゴリズム思考術」って本であります。著者のトム・グリフィス先生はカリフォルニア大の認知科学者で、「いろんなことを決めるときは37%ルールを使おうぜ!」と言ってるんですな。

 

「37%ルール」とは、限られた時間内でベストな選択肢を評価したいときに使うルールで、いろんな選択肢のなかから37%をチェックしたあとで決定を下そうぜ!みたいな話です。たとえば、あなたが面接官だった場合は、

 

  • 応募者が3人いるときは、2人目の候補者が1人目の候補者よりも優秀ならそこで採用を決めちゃう。1人目より優秀でなければ三人目を待つ。

 

  • 応募者が5人いるときは、3人目の候補者まで面接してから、それより前の候補者との比較で決める。

 

みたいな感じっすね。「37%をチェックするだけでいいの?」と思われそうですが、数学的にはその時点で十分な情報が集まっているはずで、それ以上の選択肢をチェックするのは時間を無駄にする可能性が高くなっちゃうんですな。

 

でもって、このルールは“時間の長さ”についても適用できまして、たとえば、あなたが「30歳までに結婚したい!」と考えていて、20歳から恋愛相手を探し始めたとしましょう。この場合は、「20歳から30歳までの10年間のうちの37%は?」と考えて、だいたい約3.7年までに出会った人たちを考えて、そこからベストな相手を選ぶことになります。

 

つまり、この例では、20〜24歳のあいだに様々な人と出会って恋愛の経験を積みながら、自分にとって理想的なパートナー像を考えていく感じ。その上で、24歳を過ぎたら、それまでに出会った中で最も良いと思った相手と比べて、今後出会う人たちの中から最良のパートナーを選んでいくわけです。なので、もし24歳になってから後で出会った最初の人が、それまでの誰よりも自分に合うと感じられたなら、その人を理想的なパートナーとして選んでしまえばOKであります。

 

さらに、このルールに照らすと、もし18歳から40歳までの間に恋愛をしたいのであれば、将来のパートナーを真剣に考え始めるのに最適な年齢は26歳の誕生日を過ぎたあたりになるんですよね(22年間の37%なので)。上述の研究では「28歳よりも後に結婚するほどヤバい」って結論なので、この数字は45%のほうに近いですが、たいていの人ってのは、通常は結婚の前に査定期間を儲けますから、ざっくり調整すると26歳になるのかも……とか思ったりしました。

 

まぁ、このルールはあくまで理論的なものなので、現実の恋愛がその通りに進むとは限らないし、18歳から40歳までの間に好みが変わるケースも少なくないでしょうから、あくまで参考までにって話です。ただし、人生の選択プロセスにおいては十分参考になる話なので、覚えておくと良いのではないでしょうか。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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