私生活で素と違うキャラを演じ続けると、自律神経のバランスが崩れる
「Me, Myself, and Us」を読了。最新のパーソナリティ心理学を解説した本なんですが、科学的に信頼性の高い性格テストが大量に紹介されていて、かなり使えそうな一冊になっております。
キャラ疲れは自律神経のバランスを崩す
このなかで面白かったのが、「私生活で違うキャラを演じていると本当に体を壊す!」って話。学校や職場なんかで周囲になじむために、素の自分とは違う性格を演じちゃうケースは多いと思いますが、どうも強引なキャラ作りは免疫系にダメージを与えるらしい。
有名なのは1983年の論文(1)で、キャビンアテンダントの健康状態を調べたところ、根が暗いのに無理やり笑顔を浮かべ続けていた人ほど、体を壊しがちだったとか。ほかにも、テキサス大学で行われた実験(2)では、素を押し隠して暮らしていた学生ほど病気にかかりやすかったそうな。
これは、キャラを演じることで自律神経系がつねに興奮しちゃって、精神のバランスが崩れてくるのが原因らしい。その結果、
- 風邪にかかりやすくなる
- 落ち込んだ状態になる
- 頭痛や肩こりがひどくなる
- 夜に眠れなくなる
- 疲れやすくなる
といった症状が起きやすくなるみたい。思いのほか大変っすねぇ。
「キャラ疲れ」を防ぐには?
で、ここで重要なのが「素の自分って何?」ってところ。本書では、人間が使い分けるキャラの種類を以下の3つにわけております。
- 遺伝的なキャラ:生まれつきに遺伝で決まっている性格。
- 社会的なキャラ:環境によって変わる性格(結婚式では幸せそうにふるまい、葬式では悲しそうにふるまったりとか)
- 目標のためのキャラ:個人的な目標を達成するために、あえて作り上げた性格(本来は内向的な性格なのに、仕事のために社交的なキャラを作ったりとか)
「素の自分」というのは、要するに「遺伝的なキャラ」のこと。具体的には、以前に紹介したビッグファイブで出てきた性格が、もっとも「素の自分」に近いと考えてOKであります。例えば、ビッグファイブで外向性が低く出た人が、営業職のために強引に明るいキャラを演じ続けると、どんどん自律神経系がやられていっちゃうわけですね。
この「キャラ疲れ」ふせぐために、本書が推奨しているのが以下の2つであります。
- 回復用の場所を持っておく:例えば、人見知りが社交的なキャラを演じてる場合は、自分が1人で静かに過ごせる場所をこっそり確保しておく。
- 自分の価値に沿ったキャラを作る:「人助けで社会に貢献する」とか「子どもにとって良い母親になる」とか、キャラ作りの根っこにちゃんとした価値観が備わっていれば、さほどキャラ疲れが起きずに済む。
とにかく、「何のために自分がキャラを演じているのか?」をハッキリさせるのが大事なわけですね。
まとめ
以上の話をまとめますと、
- まずはビッグファイブで「素の自分」のキャラを把握する
- 「素の自分」と違うキャラを演じるときは、自分の価値観をハッキリさせる
- それでもキャラ疲れは起きるので、あらかじめ回復手段を用意する
のが大事ってことですね。誰もが何らかのキャラを演じなきゃならない現代では、なかなか示唆に富む話でありました。