激しいダイエットで受けたダメージは、6年たっても元に戻らない
極端な運動とカロリー制限が体にあたえるダメージとは?
「極端なダイエットで代謝が下がると、そのダメージは6年後も続く!」って研究(1)がおもしろかったんでメモ。
これはアメリカ国立衛生研究所の調査で、「ビゲストルーザー」って減量プログラムに参加した人たちが、ダイエットに成功してから6年後にどう変わったかを調べたものであります。
「ビゲストルーザー」は2004年にアメリカで始まったテレビ番組で、「誰が一番痩せられるか?」を競うリアリティショーであります。200kgオーバーの巨漢が、短期間で100kg以上の減量に成功する様子を流して大ヒットしたんですな。
番組で使われたダイエット法は、
- 毎日ひたすら運動する!
- カロリーを極端にカットする!
というもの。超シンプルですね。
ただし、番組が放送するのは参加者がダイエットに成功した瞬間まで。そこで研究者は、「みんなスリムな体型をキープできてるの?」って疑問を調べてみたんですな。
リバウンドしたうえに痩せにくい体になっていた
調査の対象になった参加者は14名。まずはダイエット成功後の数値を調べたところ、
- 番組に参加する前、全員の代謝は1日2,600kcalだった(安静時)
- ダイエットが終わった時点で、参加者は平均で58キロの減量に成功した
- いっぽうで全員の代謝は1日2,000kcalまで落ちていた
みたいな感じだったそうな。さすがに58kgも体重を落とすと、代謝は600kcalも減っちゃうんですね。
さらに、ダイエット成功から6年後の状態をチェックしたら、
- 全員、落とした体重の90%ほどリバウンドしていた
- いっぽうで代謝は1日−499 ± 207kcalほど低かった
- レプチン(食欲を抑えるホルモン)のレベルも、番組に参加する前より30%も低かった
って結果だったらしい。つまり、体重がほぼ元にもどってしまったにも関わらず、代謝は下がったままだったわけです。
たとえば2009年のチャンピオンであるダニー・カーヒルさんは、195kgから87kgのダイエットに成功したものの、いまでは体重が9割もどってしまったうえに、同じ体重の男性にくらべて代謝が1日800kcalも低かったんだそうな。
カーヒルさんのダイエット前(左)、成功直後(中)、現在(右)。出展 healthyeater.com
シンプルに体型の変化だけを考えれば、体重が増えたぶんだけ消費カロリーももどるのが自然なはず。ところが、現実はそうでもなかったみたいっすな。
まとめ
もちろん、この研究は、もともとのBMIが平均49.5という超巨漢だけを対象にしてるんで、たとえばBMI30レベルの一般的な肥満でも同じぐらいの現象が起きるかは不明。また、代謝の下げ止まりについても、個人によって1日100〜800kcalまでの差があるんで、かなり遺伝の影響は大きそうであります。
とはいえ、この研究からざっくりと教訓を引き出すならば、
- 激しいカロリー制限は、ほぼ間違いなくリバウンドする
- しかも、いったん下がった代謝はリバウンド後も長期間もどらない
- さらに、リバウンド後は前よりも食欲の増加に悩むことになる
みたいな感じ。正直、6年が過ぎても代謝ダメージが続くとは思わなかったんで、この研究にはビックリしました。やっぱ、スリムな体型をキープし続けるには、食欲を自然に減らして無理せず体重を落としていくのが一番ですなぁ。