前より運動してるのに痩せない!→実は日常の運動量が減ってるだけ「なぜ体重は減らなくなるのか?」#3
ダイエットをすると日常の運動量が激減しがち
「なぜ体重は減らなくなるのか?」シリーズの3回めです。前回はダイエットで代謝が落ちてしまうケースの話だったので、今回は「ダイエットの停滞の原因」のド定番である「日常の運動量の低下」について。
1回めと2回めは体型の変化によって消費カロリーが減っちゃうって話でしたが、当然ながら、体重が減らなくなる理由はそれだけではございません。「前より運動してるのに痩せなくなった!」という方に多いのが、実は日常の運動量が減ってたパターンです。これは本当にありがち。
どういうことかというと、
- 急に痩せなくなったのでジムの回数を増やす
- それで安心して、無意識のうちに歩数が減ったり、階段を使わなくなる
- 消費カロリーはトータルで同じ!
みたいな話です。当ブログではおなじみの「NEAT」が減っちゃうわけですね。
軽くおさらいすると、NEATは「いつもの生活で使われるカロリー」のこと。キーボードを打ったり、貧乏ゆすりをしたり、皿を洗ったりと、あくまで日常的な動きで消費されるエネルギーであります。
「そんなの大したことないんじゃない?」と思いがちなんですが、実際はかなりの影響力があったりします。たとえば2004年のデータ(1)によりますと、
- イスに座ってキーボードを打つだけでも1時間に20〜30kcalを消費
- さらに立ち上がって歩きまわると数字が倍になる
- 時速4キロで歩くと消費カロリーは3倍に
みたいな感じ。これが積み重なると、1日の消費カロリーはかなり違ってきちゃうんで、痩せなくなるのも当然と申せましょう。
日常の運動量で1日300kcalも消費カロリーが変わる
では、具体的にどれだけの影響があるかって話ですが、この問題についてはロックフェラー大学の実験(2)が参考になります。21名を対象に「ダイエットと消費カロリーの変化」を調べたところ、
- ほとんどの人は、体型の変化から予想される消費カロリーより平均で450Kcalも少なくなる
- そのうち、代謝の低下が占めるのはだいたい150kcalぐらい
- つまり、NEATの影響は1日300kcal!
って結果だったんですな。もちろん個人差が大きい問題ではありますが、ざっくり1日300kcalってのはかなりの数字じゃないでしょうか。
また、1999年にメイヨークリニックが行った実験(3)も、NEATの大事さが強調されております。16名の男女に1日1,000kcalほどよぶんにカロリーをとってもらい、8週間後の経過をみたんですね。その結果は、
- 8キロも体重が増えた参加者がいたいっぽおうで、体重が1キロしか増えなかった参加者もいた
- 体重が増えなかった参加者は、自然とNEATを増やして対応していた
- もっとも体重の増加が少なかった参加者は、1日のNEATが692kcakも増えていた
みたいな感じ。大食いしても太らない人は、どうやら自然に日中の活動量を増やしてるみたい。692kcalってのはすごいですねぇ。
ちなみに、ここまでの影響が出る理由としては、もうひとつ「筋肉の適応」も大きかったりします。ヒトの筋肉は、体重が減ると同時にエネルギーを使う効率がアップしていくんですな(4)。
そのせいで、同じエクササイズをしていても、やはり消費カロリーは少なくなることに。とにかく人間のカラダは、体重の減少に応じて省エネ化していくわけですね。
というわけで、「ちゃんと運動してるのに痩せないなー」と思ったら、無意識のうちにNEATが減ってないかをチェックしてみると吉。その後は、「NEATを増やして体脂肪を減らすためのガイドライン」などを参考に、活動量を増やしていただければ幸いです。