脳をダマして体を疲れにくくする方法「冷やしエクササイズ」
運動の前も体を冷やせ!
運動の後には体を冷やそう!って話を良く聞きますけど、運動の前も冷やしたほうがいいよ!って論文(1)が出てて、ちょっとおもしろかったです。
これはニューキャッスル大学の実験で、9人の男性ランナーを対象にしたもの(平均年齢30才)。定期的に1日5キロのランニングをしている人だけを集めたらしい。
脳が擬似的な疲れを引き起こす
実験では、全員に33℃の暑めな部屋で5キロ走ってもらったんですが、その際に3つのパターンにわけたらしい。
- 23℃の水に30分だけ全身を浸たしてから走る
- 1キロ進むごとに22℃の水を顔にスプレーしながら走る
- なにもせずただ走る
なんでこんな実験をしたかと言うと、昔から運動の世界では「熱でパフォーマンスが下がる!」って考え方が普通だから。具体的には、
- 運動で体内の温度が上がる
- 脳が「生命の危機だ!」と驚く
- 驚いた脳が「疲労感」をアップさせる
- 疲れを感じたせいで筋肉が動かなくなる
みたいな流れになっております。つまり、本当は筋肉には限界が来てないのに、脳が「疲れの感覚」を起こさせて、体を動かさないように仕向けるわけですね。人体に備わった警報システムみたいなもんです。
あくまで「疲労」が脳の作用ならば、適度に「ひんやりとした感覚」をあたえてやるだけでも、パフォーマンスがアップするんじゃないか、と。そんなアイデアにもとづいた実験になっております。
脳をダマせば疲れにくくなる
で、結果がどうだったかと言いますと、
- 事前に水に浸かったグループのタイムは24:30
- 顔にスプレーをかけたグループのタイムは24:36
- 何もしなかったグループのタイムは25:12
みたいな感じ。体を冷やしたグループのほうが、ハッキリと成績が上がっております。いっぽうで体の冷やし方を変えても、疲れ方に差は出ない模様。
また、筋肉の働きをチェックしてみたら、冷やしたグループのほうが活動量が大きかったそうな。やはり、脳をダマしたほうが体が疲れにくくなったみたいっすね。
この実験ではランニングだけですが、要は脳の問題なので、筋トレでもHIITでも事前に体を冷やしておいたほうが体が動きやすくなる可能性が大。2014年のメタ分析(2)でも、だいたい3〜8%のパフォーマンスアップが確認されてますんで、かなり信頼がおける方法ではないかと。
まとめ
ちなみに体を冷やす方法としては、
- 冷たいものを飲む
- 保冷剤を顔に当てる
- 冷感スプレーを使う
でもなんでもよし。とにかく脳が「冷えた」と勘違いしてくれればOKであります。筋トレ前に使ってみるかな…。