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アレルギー対策の救世主? Tレグが増えるかもしれない10のこと

Allergy

 Tレグが多いとアレルギーが出ない
アレルギー治療に関するご質問をいただきました。

ビートたけしさんがやっている「家庭の医学」という番組内で、「アレルギーにはTレグを増やすのがいい。Tレグを増やすには病院に行って、アレルゲンを体内に取り込むのがいい」とのことでした。

しかし、病院に行くのは億劫です。家庭でできるTレグを増やす方法はないのでしょうか?また、アトピー性皮膚炎に悩んでおりまして、Tレグを増やす以外に効果的な方法があればご紹介していただきたいです。

とのこと。 確かに、アレルギー持ちの人間にとって、Tレグはここ数年で熱いトピックのひとつですね。

Tレグってのは、T細胞っていう免疫システムの一部。おもに免疫の暴走をストップさせて、炎症をやわらげる働きをしております(1)。


アレルギーは免疫システムの誤作動が原因なので、当然、Tレグが多いほど花粉やハウスダストへの過剰な反応はなくなるわけですね。もっとも、Tレグが多すぎると逆に感染症に弱くなったりもするんで、適度なバランスが必要ではありますが。



 Tレグは関節の痛みにも影響している
ちなみに、Tレグの低下で起きる症状はアレルギーだけじゃありませんで、

  • 過敏性腸症(2)
  • リウマチ性関節炎(3)
  • 湿疹(4)
  • 糖尿病(5)

なんかにも関連があると言われております。いずれも、昔から免疫と関わりがあると言われてきた症状ばかりですねー。


もちろん舌下免疫療法&減感作療法がベストですが…
で、Tレグを増やす方法ですけど、いまのところは舌下免疫療法や減感作療法がベスト。少しずつアレルゲンを体内に入れていき、アレルギー反応をジワジワと減らしていく手法であります。


確かに、マジメに減感作療法をやろうと思ったら、最初のころは週に2回のペースで注射を打つ必要があって大変なんですが、ガチでアレルギー改善に取り組もうと思ったら、現在の選択肢はこれ一択でしょうねぇ。
 

もちろん、それ以外にもTレグを増やす方法はリサーチが進んでますけど、なにせ歴史が浅いジャンルなので、いまのとこマウス実験や生体外実験をベースに「おそらく効くんじゃないかなぁ…」と推測するぐらいしかないのが悲しいところです。


Tレグが増えるかもしれない10の要素 
では、いまのところ何が有望視されているかというと、

  • プロバイオティクス:腸内細菌が酪酸を生み出し、こいつがTレグのバランスを改善する可能性が高い(6)
  • 太陽光・紫外線:光化学療法により、乾癬患者のTレグバランスが改善するかもって報告アリ(6)
  • エクササイズ:適度な運動をしたマウスのTレグが改善した(7)
  • 恋愛・ペット:恋愛、またはペットを飼う→オキシトシンが出る→Tレグが調整されるかも…、みたいな流れです(8)。一番オキシトシンが出やすいのは恋愛ですが、自分が愛情を持てる対象ならなんでもOK
  • 魚:マウス実験(9)では、魚の脂肪にふくまれるDHAにT細胞を調整する働きが確認されている
  • アスパラガス:生体外実験(10)では、アスパラの抽出成分でTレグが増えた
  • ココア:マウス実験(11)で、ココアフラボノイドでTレグの減少が止まる現象が確認された
  • ビタミンA&ビタミンD:この2つのビタミンが不足したマウスは、Tレグが減ってしまうとの報告がある(12)。ただしビタミンAをサプリで摂るのはオススメしないので、あくまで野菜で補ってくださいませ。
  • 緑茶:緑茶にふくまれるEGCGがDNMTを抑制するため、Tレグが増える可能性がある(13)
  • NACNACはシステインの一種。36人の男女を対象にした実験では、1日2.4gのNACでmTORの活動が減り、結果的にTレグが増加した(14)

みたいな感じ。ヒトを対象にしたデータがほとんどないので、エビデンスとしてはかなりゆるいんですけど、いずれも体に良いことばっかりなんで、片っ端から取り入れていけばいいんじゃないでしょうか。


Tレグが減っちゃうNG行為
また、逆にTレグを減らしちゃう要素にも触れておきますと、

  • 睡眠不足:寝る時間がまちまちだと、Tレグの代わりにTh17が増えちゃうらしい(15)
  • マラソン:長時間の有酸素運動などを行うと、Th17とTレグのバランスが崩れることが確認されている(16)
  • 高脂肪食:マウス実験(17)では、高脂肪をあたえたマウスはTレグが減っている

 あたりは気をつけたいところ。昔から当ブログでNGにしている行為ばかりでして、一般的に体に悪いものはTレグにも良くないんでしょうな。


まとめ
そんなわけで、本気でTレグ問題に取り組むなら減感作療法がオススメ。それに加えて、上にあげた10のポイントを日常的に心がけておくとよさそうです。


ちなみに、今回取り上げた10の要素で、もっとも見込みがありそうなのはプロバイオティクスとNACの2つ。特に「ラクトバチルス・ロイテリ菌」はデータが豊富でよさそうです。これは自分でも試してみるかな…。


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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