優秀な科学論文に学ぶ「ウケる文章」に必要な6つのポイント
ウケる文章表現に必要な要素とは?
「科学論文でもウケる文章は大事!」って論文(1)がおもしろかったんでメモ。これはワシントン大学の研究で、論文のタイトルを意訳すると「文章の書き方が論文の引用回数に影響を与えたよ!」みたいな感じになっております。
ご存じのとおり、自分の論文が他の論文に引用されるのは名誉な話。一般的には、論文の引用回数が多くなるほど、その研究は科学界への影響力が大きいとみなされるわけですね。
本来なら、科学の論文は「内容だけ」で判断されるのが理想なわけですが、実際は「内容の語り方」も同じぐらいの影響力を持ってるんだってのが、この研究のポイント。具体的に、どんな文章表現を使うと評価されやすいの?ってところも調べてくれてまして、私たち一般人が文章を書く際にも使える内容になっております。
この研究では、まず「気候の変化」について調べた700本の論文をチョイス。そのうえで文章の要素を分析し、論文の引用回数とくらべたんですね。
科学者でも感情にうったえる論文には弱い
そこで何がわかったかというと、
- 引用の回数が多い論文ほど、「ストーリーを語る」文章テクニックを使っている
- 「内容がすばらしい」と評価された論文ほど、感情にうったえるような表現が多い
みたいな感じ。データをもとに内容を判断するように訓練されたはずの科学者でも、やっぱり感情にうったえかける文章には弱いんだ、と。そりゃあそうですよね。
科学論文でも形式は内容と同じぐらい大事
研究者いわく、
私たちは、普通は科学的な論文は「形式」よりも「内容」が影響力を持つと考える。それだけに、今回の結果には驚かされた。
とのこと。科学の世界だろうが、思ったよりも文章表現は大事みたいっすね。
ウケる文章に必要な6つのポイント
では、影響力が大きい論文は、どんな文章テクニックをつかっていたかというと、以下の6つがポイントになっております。
- セッティング:「いつ、どこで、誰が」という状況をちゃんと説明するのが基本。空間と時間をハッキリさせることで、読み手が頭のなかにイメージを作りやすくなるとのこと。確かにストーリーテリングの基本っすね。
- 話し手の視点:続いて、文章を書いている人間の立場をハッキリさせるのが大事。科学的な論文でも、三人称の視点よりも一人称を使ったほうが効果は高くなる。また、文中のところどころで自分の立場や感想を表現する文章を入れ込むとさらによし。
- 感覚的な単語:「驚いた」や「香りがした」や「なめらかな」といった感覚的な言語を使うのもアリ。これによって読み手は、話し手の感情や態度、信念、解釈などを理解しやすくなるんだそうな。まぁそうかも。
- 接続詞を使う:「そして」「そのため」といった言葉で単語や文章をつなぐことで、文章にロジカルな印象を与えることができるほか、原因と結果の方向がわかりやすくなるため、読み手の負担が減るとのこと。一般的な文章講座とかだと「接続詞を多用するのは文章がヘタな証拠!」とか言われたりしますけど、ここでは逆になってますね。ちょっと文章がブサイクになってもいいから、読みやすさを優先させようってことかな。
- つながり:前の文章から「決めフレーズ」を再利用したり、間隔をあけて同じ単語をあえて使ったりする文章テク。とにかくテキスト内で再引用をくり返すことで、読み手にポイントを印象づけていく。お笑いでいう「天丼」とか「かぶせ」にも近いかも。
- アピール:読み手に「オススメの行動」を提示したり、文章の前半で書いた謎の「答え」をハッキリと書いたり、何らかの問題にたいする自分の「評価」を示したりと、とにかく読み手にアピールするような表現を入れ込むこと。確かに科学論文って「あーでもないこーでもない」って結論になりがちなんで、バシッと現実的な行動を示されるとインパクトが増すんですよね。
というわけで、「つながり」とか「セッティング」とか「アピール」なんかは、普通にブログを書くときの注意点としても使えそうな感じ。言われてみれば、人気のあるブログとかって、上記のポイントを満たしてるケースが多い気がしますな。
まぁ、もちろん一番大事なのは内容ですけどね!(とってつけたようなシメ)