「緊張するとお腹が痛くなる…」を「FODMAP」が解決するかも
「緊張でお腹の調子が…」は食事で治る?
当ブログに寄せられるご質問のなかで、わりと多いのが「緊張するとお腹の調子が悪くなるんですが…」といったお悩みです。
もちろん腸と脳はつながっているので、ストレスでお腹が痛くなるケースは誰にでもある話。ただし、だいたい全人口の1割ぐらいは、軽い緊張でもヒドい下痢が起きちゃう人がいるんですね。俗に過敏性腸症候群(IBS)と呼ばれる症状であります。
IBSがやっかいなのは、病院へ行っても「消化器系には異常がないですねー」とか言われがちなとこ(つまり、潰瘍とかが原因ではない)。それにも関わらず謎の痛みや下痢が続くので、本人は非常にツラい思いをするんですよね。
残念ながらIBSの治療法は確立されてないんですが、近ごろかなり使えそうな論文(1)が出ましたので、緊張でお腹がゆるくなる方はぜひ参考にしていただければ。
FODMAP食事法がIBSに効く
これはシドニー大学の研究で、「FODMAP食事法がIBSに効くんじゃない?」って問題を調べたもの。過去に出た6件の臨床データをまとめたメタ分析になっております。つまり、科学的な信頼性はかなり高め。
FODMAPは「発酵性のオリゴ糖、二糖類、単糖類、ポリオール」の略であります。オリゴ糖などは一般的に「お腹にいい!」と言われるんですが、一部の人は小腸で分解できずに大腸まで行ってしまい、そこでバクテリアによって発酵させられて水素やメタンといったガスが発生するんですね。こいつがIBSの原因のひとつじゃないかと言われてるんですな。
そこで、FODMAPをふくんだ食材を避ければいいんじゃない?と考えられたのが「FODMAP食事法」。具体的なNG食品については「壊れた腸を徹底的に癒やす「FODMAP」入門」をどうぞ。
さて、今回のメタ分析であつかわれた実験の期間はだいたい3〜6週間で、参加者の年齢は18〜74才。具体的にチェックしたのは、
- FODMAPでIBSの症状は少なくなるのか?
- FODMAPでIBSの人のQOL(暮らしの質)は上がるのか?
の2点。どっちも超重要なポイントですねー。
FODMAPを減らせば確実にお腹の調子が良くなる
で、どんな結果が出たかと言いますと、
- FODMAPを減らすと、一般食よりIBSの症状は確実に減る!QOLも上がる!
というもの。すべてのデータを合わせると、とりあえず臨床的に意味があるレベルでIBSの症状が軽減されるらしい。完治するわけではないですが、お腹が弱くてお悩みの方には朗報ですねー。
もちろん、このメタ分析は最長で6週間の実験しかあつかってないので、年単位での効果についてはまだ不明であります。が、なんせIBS対策としては他にはプロバイオティクスぐらいしかないのが現状ですんで、試すだけの価値は十分にあるんじゃないでしょうか。