「楽しみは後に取っておいたほうが幸せか?」問題に結論が出た件
楽しみはとっておくべきか?
「楽しみは後にとっておけ!」みたいなアドバイスをよく聞くわけです。ちゃんと仕事を終わらてからバカンスに行く!みたいなイメージでして、
- 楽しいことを先にやる
- 嫌なことが頭のスミでちらつく
- 楽しいことの効用が下がる!
って仕組みを想定してるわけですね。なかなか説得力がありますな。
が、新しく出た論文(1)では、「楽しみは後だろうが先だろうが同じ!」って結論になってておもしろかったです。
楽しみを後にしようが体験レベルは変わらない
これはシカゴ大の実験で、3つの実験で「お楽しみって取っておいたほうがいいの?」問題に取り組んでおります。具体的にどんな実験をしたかというと、
- 中期試験をひかえた259人の学生に協力を依頼
- 試験の前にスパに行くか、試験後にスパに行くかを選んでもらう
みたいな感じ。当然、大半の学生は「テスト後のほうが爽快にスパを楽しめるはず!」と予測したんですが、実際はさにあらず。
テスト前にスパに来た生徒も、体験の楽しさレベル(-5 〜+5で自己採点)は変わらなかった。
って結果だったんですな。楽しみを先にしようが後にしようが、体験のレベルには影響が出ないんだ、と。
どんな状況でも楽しみの順番はどうでもいいっぽい
が、この実験だと学生に「後か先か」を選ばせたため、性格の違いが体験の楽しさを左右してる可能性もあるわけです。そこで、別の実験では、181人の参加者をランダムに2グループにわけております。
- 楽しい音ゲーをやった後に面倒な認知テストをする
- 面倒な認知テストをした後に楽しい音ゲーをする
そのうえで全員の体験レベルを計ったら、やっぱり結果は同じ。楽しいことを先にやろうが後にやろうが、特に全体の体験レベルに差は出なかったそうな。
多くの人は未来を心配しすぎている
こういった現象が起きるのは、みんな「後に嫌なことが待ってると気が散るだろうなー」と思い込んでるから、。この実験だと、みんな「楽しいことをしてても4割は嫌なことを考えちゃうはず」と予想したんだけど、いざ計ってみたら、実際に気が散ったのは全体の2割ぐらいだったそうな。
今回の実験は、多くの人が「心配しすぎ」であり、未来の報酬について過剰に考えてしまいがちだ。しかし、実際は未来も今も同じような喜びを得ることができる。
みんなつい未来について過剰な思い込みをするんだけど、実際は意外とマインドフルネスな状態を保つことができるってことですな(楽しいこことについては)。
一般的には、喜びは後にとっておくことがよしとされる傾向がある。(中略)しかし、この考え方には問題がある。楽しい休暇には作業の効率を上げる効果があり、十分に休んだあとは仕事がはかどり、自分の職業への満足感も高まることがわかっているからだ。
確かにセルフコントロール能力は大事なんだけど、そればっかだと人生は窮屈になりますよーって話です。このあたりは、「快楽」と「やりがい」のバランスを取ろう!という行動経済学の教えと似てますな。
まとめ
ってことで、おそらくは「楽しみは後にすべきか先にすべきか?」って質問の立て方が間違ってるんでしょうね。それよりも、人生の幸福における2つの側面のバランスをどう取るか?と考えたほうが実りは多そうであります。