プロテインで筋肉は増える。では具体的にどれぐらい増えるの?のメタ分析
プロテインと筋肉論争
プロテインで筋肉が増える!ってのは常識ですが、具体的にどれぐらい増えるの?って話になりますと、意外と定説がなかったりもします。
多くの筋トレ好きが「プロテイン最強!」と言い募るいっぽうで、たとえば2016年のレビュー(1)では「プロテインの効果は意外と少ないぞ!」って反論もあったりして、実はそこまでコンセンサスがなかったりするんですな(もちろん「プロテインで筋肉が増える」ってとこはみんな一致してますが)。
プロテインで筋肉はどれだけ増えるのかのメタ分析
そんな状況下、「プロテインでどれだけ筋肉と筋力が増えるか調べたぞ!」って論文(1)が出まして、かなり明確な数値を出してくれておりました。これは、過去に出た「プロテインと筋トレ」に関する実験から、精度が高い49件を選んでまとめたもの。みんな大好きメタ分析論文になっております。
全体的なデータの傾向を並べておきますと、
- 実験の期間は6〜52週間(平均13週間)
- 筋トレの量は週2〜週5(平均週3回)
- 1エクササイズ内の筋トレの種類は1〜14種(平均7種)
- 1セッション内のセット数は1〜12回(平均4セット)
- 1セット内の回数は3〜25回(平均9回)
って感じです。わりと幅がありますけど、とりあえず平均値を参考にしていただければと。
1日に平均36グラムのプロテインを飲む
また、プロテインの用法用量はといいますと、
- 1日4〜106グラム(平均36グラム)
- 筋トレ後に5〜44グラムを飲む(平均24グラム)
- 23の研究がホエイプロテイン、13がミルクプロテイン、10が食事からのプロテインを使用
- 追加分のプロテインは1日平均23グラム
って感じです。こちらも幅がデカいので平均値を推奨。
筋肉量27%アップの効果が見込める
さて、それでどんなことがわかったかと言いますと、
- 全体的な結果
- 1RM(1回で持ち上げられる最大の重量)が2.5kg増える
- 筋肉量が0.3kg増える(27%)
- 体脂肪は0.4kg減る
- 筋肉の太さ(筋横断面積 )は38%増える
- 体重は変わらない(筋肉量アップで体脂肪減少が相殺される)
- 随意最大筋力も変わらない
って感じです。これをさらに細かなグループにわけると、
- 筋トレ歴が長い人の場合
- 1RMが4.3kg増える
- 筋肉量が1.05kg増える
- 筋トレ初心者の場合
- 1RMが1.0kg増える
- 筋肉量が0.15kg増える
- 若い人は筋肉量が0.55kg増えて、高齢者は0.06kg増える
といったところです。
1日に必要な総タンパク質の量は?
この数値をどう解釈するかは人それぞれでしょうけど、個人的には、
- 13週のトレーニングで筋肉量が27%ぐらい上乗せされるってのは素晴らしい
- 筋力については筋肉量ほどの影響はない。ただし9%の増加は競技者には美味しい
ぐらいの印象を持ちました。「プロテインで筋肉が0.3kg上乗せされる」と聞くとショボいイメージなんですが、数年ほど地道に続けた場合の差はデカいですもんねぇ。
また、このデータでは筋肉量アップに必要な全体のタンパク質量も計算してまして、
- 平均では体重1kgあたり1.6グラムも飲めば十分っぽいけど、95%信頼区間は1.03〜2.2グラムの間だよー
って結論になってたりします。多くの人は1日に体重1kgあたり1.6グラムのタンパク質を摂ればOKだけど、なかには2.2グラムまで増やしても良い影響が出続けるケースもあるわけっすな。
まとめ
このあたりは、前に紹介した「最新の方法で調べたら1日に必要なタンパク質量はもっと多かった」って結論とかぶりますね。こちらの研究では、 良質なタンパク質を1日に体重1kgあたり1.5〜2.2 gは食べるべき!って結論になっておりました。
ちなみに、ボディビル式食事法だと「筋肉1kgあたり2.3〜3.1gのタンパク質」を推奨してるんですけど、さすがにこのレベルだと一般人には難しいので、まずは体重1kgあたり1.6グラムを目標にしてくのが無難なラインかと思われます。
実際にやってみるとわかりますが、それまで炭水化物が多めだった人が「体重1kgあたり1.6グラムのタンパク質」を実践しようとすると結構大変だったりします。もともと食が細い人なんかだと、食事の大半がタンパク源になっちゃう可能性もありますんで、その際は普通にプロテインドリンクを飲んじゃったほうが良いでしょうね。私はもとから大食いなので、ほぼ鶏むね肉で1日の必要量を満たせてますが。