早食いは太ると言いますが、本当にヤバいのかを見てみましょう
早食いは本当に太るのか?
昔から、ダイエットの世界では「早食いは太る!」みたいな説があるわけです。ゆっくり食べると満腹になりやすいんで、そのぶんだけ痩せやすくなるって話です。
この現象はいくつかの観察研究で確認されていて、ゆっくり食べる人のほうが実際にスリムであるケースが多いんですよ。ただ、現時点のエビデンスはわりとバラバラだったりして、本当のとこはイマイチよくわかってなかったんですが、近ごろチェックした研究(1)はそのへんをガッツリ調べてくれてて参考になりました。
早食いはやっぱり肥満になりやすい
これは九州大学の研究で、食事のスピードと肥満度の関係を調べたもの。過去に出た23件の観察研究をまとめたメタ分析になっております。
で、まず大きな結論としてわかったことは、
- 早食いの人はゆっくり食べる人にくらべて2.15倍肥満になりやすい!
ってことです。早食いのほうが、平均BMIが大きい傾向があるのは間違いないっぽい。2倍以上ってのはなかなかの数値ですねー。
というと、「どれぐらいのスピードが早食いなの?」って疑問がわくかもですが、この研究では、「30分で500gの食事をすれば早食い!」みたいに明確な基準は設定されてません。多くの研究では「あなたは自分を早食いだと思いますか?」といったアンケート調査が使われてまして、あくまで主観的なものであります。このあたりが今回のデータの弱いとこですけど、まぁ観察研究なんで仕方ないっすよね。
具体的に早食いでどれだけ太るのか
では、具体的に早食いはどれだけ太るのかと言いますと、ある観察研究では、
- 早食いの人は7年内に4.5kg太る!
って結果になっております。なにもダイエットを意識せずに好き放題に食べた場合、7年のうちに4.5kgほど太っていくんだ、と。いっぽうで、ゆっくり食べるグループの増量は3.0kgぐらいだそうで、およそ1.5kg分の差。
また別の観察研究によれば、
- 早食いの人は、ゆっくり食べる人にくらべて8年内に1.1kgほど太りやすい!
みたいな結果も出てたりします。それぞれに数値の大小はあれど、だいたい似たようなもんですね。
が、早食いで必ずしも摂取カロリーが増えるわけではない
早食いが太る理由はハッキリしてないものの、よく聞く仮説はこんな感じ。
- カロリー摂取量が増える:早食いのせいで総摂取カロリーの認識が甘くなり、結果として食べ過ぎちゃうパターン。
- 脳の満腹シグナルが効かない:脳が満腹感を得る前に食事を詰め込んじゃうせいで太る。これはよく言われる説ですね。
- 空腹を減らすホルモンが出ない:早食いだとペプチドYYのように空腹を制御するホルモンの分泌量が減る。
ただしこの論文では、上記のいずれの仮説も「無さそうだなー」と推測されております。というのも、多くのデータを見ると、早食いと参加者の食事量にそこまでの相関がみられないんですよ。つまり、早食いだから摂取カロリーが増えるとは限らないわけですね。
早食いで太るのはよく噛まないから?
その代わりに、ここで提案されているのが「よく噛まないから太るんじゃない?」という説。ざっくり言うと、
- 早食いだと食事を噛まずに飲み込んじゃう
- そのせいでヒスタミンの働きが減る(ヒスタミンは神経伝達物質として働く)
- ヒスタミンが作用しないせいで体脂肪の燃焼が減る
みたいな流れです。いまんとこどの説が正しいかはよくわかりませんけど、早食いが必ずしも食べ過ぎに直結しないってのはやや驚きましたねぇ。
まとめ
そんなわけで、以上の話をまとめると、
- 早食いで太るのはほぼ間違いない!
- ただし、そのメカニズムについてはRCTをしないとわからなそう!
ってとこです。いずれにせよ早食いが良くないのは確実ですし、ゆっくり食べれば瞑想の代わりにもなり、ついでに免疫システムが改善する可能性もありますからねぇ。味わいつつ食べる!ぐらいに心がけとけばいいんじゃないでしょうか。