脳の専門家でも意外とデタラメを信じてるらしい問題
https://yuchrszk.blogspot.com/2017/10/blog-post_21.html?m=0
メジャーな神経神話はどこまで事実だと思われているのか?
こないだ「神経神話」なんて話について書きました。軽くおさらいすると「脳科学っぽさを装ったデタラメ」みたいなことです。「クラシック音楽で頭が良くなる」とか「音楽は右脳で処理されている」とかそんなやつですね。
前回は音楽に関する神経神話がメインでしたが、新しい調査(1)では「もっとメジャーな神経神話はどれぐらい信じられているのか?」ってとこをチェックしてくれてて面白かったです。
31種類の「ウソとホント」をぶつけてみた
これはヒューストン大学などの研究で、3877人を対象にしたもの。そのうち598人は脳や神経について教えてる教師で、234人は大学で神経科学や脳科学を専攻している学生だったそうな。
調査では脳に関する仮説が31種類ほど取り上げられてまして、それぞれが科学的に認められているかどうかを答えてもらったんだそうな。具体的には以下のような感じでして、「事実」と「ウソ」が入り交じってますんで、どれが正しいのかを考えつつ読むと楽しいかも。
- 平均して、少年は少女よりも脳のサイズが大きい
- 脳の特定の部分がダメージを受けた場合、脳の他のエリアがその機能を補う
- 正常な脳の発達には、必ず脳細胞の誕生と死亡のサイクルがふくまれる
- 男女の脳の発達は違うスピードで進む
- 脳の左右の半球は一緒に機能する
- 情報は脳全体を覆う神経細胞に貯蔵される
- 特定のメンタルトレーニングは脳の構造や機能を変える
- 年を取っても脳神経は新しくつながる
- 人間は脳を24時間使っている
- 人間の体内時計は思春期にゆれ動く。そのため、一部の生徒は学校の最初の授業で疲労感をおぼえる
- 学習の定着は、脳細胞のつながりが変わることによって起こる
- ハードな運動は精神の機能を改善する
- 子供には、特定の内容を学ぶのに適した時期が存在する
- 視覚、聴覚など、それぞれの子供は、自分に適した特定の感覚を持っている
- 視覚、聴覚など、それぞれの得意な学習パターンに沿った勉強をすると効率があがる
- 学習障害の兆候は、文章が逆向きに見えてしまうことである
- クラシック音楽を聞くと子供の推論機能を伸ばすことができる
- 砂糖入りのドリンクやスナックを摂ると、子供の注意力は下がる
- 人間は右脳型と左脳型に分かれ、それによって適した学習スタイルも変わる
- 人間は脳の10%しか使っていない
- 十分な水分を取らないと脳は縮む
- 脳の発達は青年期までに終わる
- 睡眠時には脳は完全に活動を止める
- 子供は3才までに適当な学習環境に置かれねばならない。そうでないと学習機能が損なわれる
- 子供の言語機能を伸ばすには、第二外国語を学ぶ前に、ちゃんと母語を学ぶ必要がある
- 子供には、特定の内容を学べない期間が存在する
- 学習をすると脳に新しい細胞が増える
- 子供の発達の違いによる学習時の問題は、教育では改善できない
- 精神の最大能力は遺伝的に決まっているため、環境や経験では改善できない
- 短時間の運動協調エクササイズで、右脳と左右のつながりを増すことができる
- 視覚や空間の認知スキルをトレーニングすると読み書き能力が向上する
このうち1〜13は学問的にコンセンサスがありまして、14〜31はすでに否定されたデタラメであります。
専門家でも意外と神経神話を信じている
さて、調査の結果がどうだったかと言いますと、
- もっとも信じられていたデタラメは「各人にはそれぞれ得意な学習スタイルがある」って説で、教師でも76%が信じていた
- 次が「学習障害の兆候」に関する説で、教師の59%が事実だと誤認
- 3番目が「クラシック音楽で頭が良くなる」って説で、教師の55%が事実だと誤認
- 4番手が「砂糖で脳の働きがにぶる」って説で、教師の50%が事実だと誤認
- さらに「右脳型と左脳型がいる」って説は教師の49%が事実だと誤認し、「脳の10%しか使っていない」説も33%の支持を集めた
といったところです。脳の10%神話とか、かなりいろんなとこでウソが指摘されてるかと思いますが、いまだ信頼度があるもんなんですなぁ。ってことで、皆様もお気を付けくださいませー。