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音楽を学ぶとどんないいことがある?のウソとホント

 Music

  

 音楽に関する俗説のウソとホント

「神経神話」ってことばがありまして、一般的には「科学的に証明されてない脳科学っぽい俗説」みたいな意味。たとえば「右脳人間」とか「人間は脳の10%しか使ってない!」とか、そのへんのやつっすね(1)。

 

 

で、新しく出た論文では、音楽に関する神経神話について調べてくれてておもしろかったです(2)。

 

 

これはハノーファー音楽演劇大学の実験で、91人の音楽教師とその生徒125人を対象にしたもの。全員に対して「音楽に関するウソとホント」をランダムに出題して、どれが科学的に検証されてる説かを当ててもらったんですな。



 音楽の神経神話とは?

具体的にどんな説を投げかけたのかと言いますと、

 

  1. 特定の音楽ジャンルを理解するためには、特定の聴き方が必要である。たとえばクラシック音楽なら、理性的な聴き方が最適である。
  2. 能力の高いクラシック音楽家は、音楽を学んでいない者よりも、平均的に高い知性を持っている。
  3. 勉強をする際にクラシック音楽をBGMにしていると、学習の効果が高まる。
  4. 音楽教育は学生の数学的な能力を伸ばす効果がある。
  5. 右利きの人は言語を左脳で処理し、音楽を右脳で処理している。
  6. ピアノの即興は右脳で処理されている。特定の訓練により、右脳の働きを伸ばすことができる。
  7. 知性のような認知機能は、音楽教育で伸ばすことができる。
  8. ミュージシャンは、聴力と運動機能のあいだに神経学的な強い結びつきがある。この結びつきは、トレーニングで伸ばすことができる。
  9. 楽器を熱心に練習していると、脳の解剖学的な構造が変わる。
  10. 音楽教育により、言語の運用能力を伸ばすことができる。
  11. ミュージシャンは、音楽を学んだことがない人よりも、音楽をより素早く、より正確に、より効果的に処理できる。
  12. 聴覚が正常な人であっても、メロディや音色、リズムを理解できない人が一定数いる。
  13. 音楽情報の処理能力は、リスニングのトレーニングでのばすことができる。
  14. 音楽が人にあたえる影響力は、その人の音楽的素養の洗練さ、感情的な状態、音楽の特性によって変わる。

 

という14種類であります。このうち、1〜7はデタラメで、8〜14は実験で確認されてるとのこと。音楽で言語能力が伸びるのって実証されてたんですねぇ。知らなんだ。

 

 

その結果、だいたい全体の正解率は4割ぐらいだったそうで、とくに「音楽を学ぶと頭が良くなる」や「音楽は右脳が題字」って説については7割が信じてたらしい。なかなか右脳左脳説は根強いですなぁ。

 

 

まとめ  

研究者いわく、

 

この研究は、音楽に関する神経科学の研究成果と実際の現場での知識にギャップがあることを示している。これは憂慮すべきことだ。生徒たちに対して無駄で非効率的な授業をしてしまう可能性がある。

 

とのこと。このあたりは「「間違った学習法」がいまだに使われすぎている問題」と似たようなところがありますねー。

 

 

ちなみに、近ごろは神経神話について定期的にリサーチの報告が出てるんで、こまめにチェックしとくと吉。意外と自分も信じてたようなネタがでてきてビビったりしますね(笑)


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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