「やる気を」4週間以内に90%もあげたニューヨーク州立病院の方法とは?
病院がスタッフのモチベーションをあげるために何をしたか?
世の中には 「モチベーションをあげる方法」がいろいろあるもんですが、ニューヨーク州立病院が試した方法(1)はなかななかユニークでおもしろかったです。
これは同病院で働く職員を対象にした実験で、研究のゴールは「みんなにもっと手を洗ってもらうこと」です。前にも、本職のヘルスケアワーカーでも意外と手を洗ってないなんてデータがありましたけど、ニューヨーク州立病院ぐらい有名なとこでも徹底されてなくて困ってたらしい。
警告サインではスタッフのやる気は10%しかしか上がらなかった
で、そのために病院側がいままでやってたのが「手洗い場に警告サインを表示させる」って方法です。「手を洗わないと感染症が起きて大変なことになるよー」みたいなサインをくり返しスタッフに見せたわけですね。アメとムチでいったらムチが主体ですな。
が、残念ながらこの方法はほとんど効果なし。監視カメラで計測した結果によれば、警告サインを出す前と後では、手を洗う者は10%しか増えなかったらしい。この数字は、スタッフに「自分はカメラで記録されてる」と自覚させても変わらなかったそうで、いかに警告サインが無意味かがわかる結果になっております。
スタッフのやる気が90%アップした方法とは?
そこで、病院が「ある介入」を行ったところ、スタッフたちの手洗い率が一気に激増。4週間のあいだに、手を洗うスタッフの数が90%もアップしたんだそうな。これは凄まじいレベルの変化っすね。
では具体的に病院側が何をしたかと言いますと、
- スタッフが手を洗うたびに「Good job!」ってサインを表示する!
って方法を使ったんだそうな。いやー、おどろくほど単純ですな。
警告よりもポジティブなサインのほうが効果が大きい理由は簡単で、
- ポジティブなサインが表示される
- サインが脳の報酬系を刺激
- 報酬の原因になった行動が強化される
- 手洗いが増える!
みたいな流れです。目標をこなすたびに自分にごほうびをあげるって自己管理方法がありますが、「Good Job!」ってサインでも十分に効くわけっすな。
アメとムチの使い分けが大事
ただ、いっぽうで過去のデータでは「アメとムチの効果を比べたら、ムチのほうが3倍効果的だった」なんてデータもあるんで、正しい場面でアメとムチを使い分けるのが大事っぽい。具体的には、
- 目標に向かって何らかのアクションを取る必要がある=アメで脳の報酬系を刺激するのが有効
- 目標に向かって何らかのアクションを減らす必要がある=ムチで罰や危険な状況を作り出すのが有効
って感じ。行動を増やす際はアメで、行動を減らす際はムチってこってすな。
あとは自分に適したアメのあげ方を選ぶだけですけど、そのへんはお好みでどうぞ。私の場合は、ノートにタスクの進捗状況を細かくメモするというベーシックな方法を使っております。