ブレインストーミングは逆に創造性が下がる!じゃあどうすればいいの?
ブレインストーミングは会議法の基本ですが…
昔から毀誉褒貶が激しい生産性アップ術といえば「ブレインストーミング」であります。1950年代に生まれた会議方法のひとつで、
- できるだけ大量のアイデアを出す
- 批判や判断をしない
- ユニークで斬新なアイデアを尊ぶ
- アイデアを結合して洗練させる
って4つのルールをもとにネタだしをしていくんですな。一説には、これで50%以上も創造性が高まると考えられてまして、いまでもいろんなとこで使われてるテクニックかと思います。
ブレインストーミングで創造性が下がるというデータが!
が、実はブレインストーミングの効果を調べたデータによれば、その結果は厳しいものがあったりします。たとえば約800チームの成果を調べたメタ分析(1)などをみますと、
- たいていの人は、他人と考えるより個人で考えたほうがオリジナリティが高いアイデがが出る!
って結果だったんですよ。さらには、
- チームが大きくなるほどブレインストーミングで創造性は下がる!
といった現象も認められたようで、なかなか辛いことになっております。
ブレインストーミングで創造性が下がる理由は?
こういうった現象が起きる理由は謎ですけども、いまのところは、
- 「批判は禁止!」とは言っても、やっぱり人前でアイデアを発表するのは緊張しちゃうから?
- 大勢でネタ出しをすることで、優秀な人が格下のアイデアに合わせようとするから?
- チームで働くことで、一部のメンバーは努力をしなくなるから?
といった問題が有力視されてたり。どれもありそうな話ですよねぇ。
ブレインストーミングで創造性を上げるには?
もっとも、かといってブレインストーミングが完全に死んだわけじゃありませんで、近ごろおもしろかったのがノースウエスタン大学の実験(2)であります。
参加者をいくつかのグループにわけて「ペーパークリップの新しい使い方を考えてください」と指示する実験なんですけど、その際にあることをさせたら、みんなの創造性がグンとあがったらしいんですよ。具体的に何をやってもらったかと言うと、
- ブレインストーミングの前に、過去6カ月以内に自分の身に起きた恥ずかしい体験を思い出す!
だったんですな。 なんだか意外なようですが、これだけで他のグループとは大きな差がでまして、
- 恥ずかしい体験を思い出したグループは…
- アイデアの量が35%増加!
- アイデアの柔軟性は25%増加!
って結果だったんですな。結構ハッキリした差が出ましたなぁ。
恥には自分のなかのガードを下げる効果が
なんでこういうことが起きるのかと言いますと、「恥ずかしい記憶」には自分のなかのガードを下げる効果があるからです。ざっくり言うと、
- 恥ずかしい記憶を呼び起こす
- 「自分は大したことないな…」って気分になる
- 見栄やプライドが弱くなる
- アイデア出しを妨げる心理が弱まる
- ブレインストーミングがはかどる!
みたいな感じ。恥の記憶によって、無意識のうちの制御が取っ払えるわけっすね。
まとめ
ってことで研究チームは、ブレインストーミングの前に「自虐的なギャグをかましてみたら?」と提案しておられます。恥の気持ちは不快かもですが、そのぶんだけ視野が広がって創造的なアイデアが生まれやすくなるんだそうな。要するに、スカしてたらいい考えは浮かばないってこってすな。
もちろん、これでブレインストーミングが復権したわけじゃありませんが、グループでのネタ出しが必要な状況では試してみるのも十分にありじゃないかと。ちなみに、この実験を行った研究チームは、ブレインストーミングの前に「ブレインライティングをやるのも有効だよ!」と提案しておられます。こちらも合わせてお試しください。