スタンフォードが作った「認知行動療法ロボ」アプリが楽しい件
「スタンフォードが認知行動療法の無料アプリを出したよ!」と聞いて、さっそく試してみました。名前は「Woebot」で、スタンフォード大学の心理学者が開発したもの。
アプリを開くとチャット画面が現れまして、ユーザーはWoebotという人工知能と会話しながらメンタルを鍛えていく仕組み。定期的に向こうから「ハイ!いまの気分は?」とか話しかけてくれるんで、これに対応しつつ認知行動療法の基本を学んでいくようになっております。
ちなみに、認知行動療法ってのは「自分の考え方の方向性」を修正していくタイプの治療法で、いまんとこメンタルの改善レベルでいえば、数あるテクニックのなかでもトップクラス。鬱に悩む人がまず最初に行うべき治療法と言えましょう。
まだ日本語版がないのが難点ですが、内容は簡単なんで、中学レベルの英語力があれば使えるんじゃないでしょうか。画面の下には会話用のボタンが表示されるんで、英作文ができない人でも人工知能とのコミュニケーションが可能になっております。
で、だいたい1日に1〜2回ぐらい人工知能が話しかけてきて、こちらは今の作業や気分を伝えていくのが基本。1日だけだと真価がわかりづらいんですけど、何日かデータがたまっていくと、「あー、自分はこんな場面で気分が落ち込みやすいんだな」みたいな傾向がわかるようになるわけですな。
何度か会話してると、たまに人工知能から「認知行動療法クイズ」みたいなものも出してくれます。上の画面は、認知行動療法でいう「全か無か思考」の内容を学習してるとこですね。
「Woebot」が素晴らしいのは、この手にアプリには珍しく、ちゃんと実験(1)で効果が確認されてるとこでしょう。具体的には、鬱傾向がある学生70人を半分に分けて、
- 「Woebot」を使う
- 鬱に関する本を読む
の2グループで2週間後の違いをチェックしたらしい。すると、PHQ-9(短時間で鬱状態を判断する質問票)の点数が、
- Woebotグループ=14.5から11.8ポイントに低下
- 読書グループ=14.3ポイントのままほぼ変わらず
って結果だったんですな。正直、アプリだけの成果としてはかなり素晴らしいのではないかと。
認知行動療法ってのは、もともとシステム化されたテクニックなんで独習がしやすいわけですが、人工知能との対話で進められるのはやっぱ効率がいいのかなーと思ったことでありました。これは日本語版が欲しいですなぁ。