肉と卵の脂肪で寿命が縮む!はどこまで本当か
肉と卵の脂肪で寿命が縮む?
「飽和脂肪酸が寿命を縮める!」って考え方が昔からあるわけです。
飽和脂肪酸ってのはバターとか肉に多くふくまれる脂肪で、常温で固まるのが特徴。なので、血管が詰まる原因になって、心臓病とか脳卒中を引き起こすんじゃないの?と言われてるわけですな。
なんせパレオダイエットでは肉や卵をしっかり食べるのが大事なんで、これが本当ならは大変なことであります(もちろん野菜もちゃんと食べるのがパレオダイエットですが)。
ってことで、近ごろチェックした論文(1)は、「飽和脂肪酸って本当に寿命が縮むの?」ってあたりを徹底的に調べてくれててとてもいいです。
飽和脂肪酸に関するもっとも精度が高いデータが
これは、みんな大好きコクラン共同計画の研究で、過去に行われた精度が高い実験から15件を抜き出してまとめたもの。いずれも24カ月以上の長期研究を対象にしてまして、かなり信頼度は高めであります。
ちなみに、コクラン共同計画ってのは、科学的な証拠にもとづいていろんなデータをレビューしてる団体で、ここが出した結論は昔から品質が高くていい感じ。とりあえず、現時点でもっとも正確な見解だと言ってよいかと思います。
で、この実験が確かめたのは、「飽和脂肪酸を他の脂肪に置き換えたらどうなるの?」って疑問点について。全部で59000人のデータをあつかって、大きな結論を出してくれております。
では、結論です。
飽和脂肪酸で寿命は縮むか?のまとめ
全死亡率について
全死亡率ってのは、あらゆる理由で死ぬ確率のことで、心疾患や癌などの病気をふくんでおります。要するに、飽和脂肪酸を増やしたら寿命が縮むのか?ってところを見たわけですな。
分析の結果は、「飽和脂肪酸は全死亡率に統計的には影響なし」とのこと。つまり、いつもの食事から飽和脂肪酸を減らしたところで、以前と同じように死ぬってことです。
心疾患の死亡率について
こちらは、心臓発作とか脳卒中で死ぬかどうかを調べたもの。世界中で寿命を縮めている2大要素ですな。
これも上と結論は同じで、「飽和脂肪酸を減らしてもメリットはない」とのこと。やっぱり、普段の食事から飽和脂肪酸を減らそうが、同じように心疾患は起きるわけですねぇ。
ちなみに、心臓発作に関してだけは、飽和脂肪酸を減らすとメリットがあったそうな。といっても、そのリスク比は0.95で、発症率が5%減るぐらいのレベル。統計的にも有意じゃないので、どう判断していいかはよくわからんところではあります。
循環器系へのメリットについて
といっても、飽和脂肪酸を減らすメリットがまったくないわけではなくて、
- 飽和脂肪酸の代わりに、魚やナッツ、オリーブオイルのような多価不飽和脂肪酸を増やした場合は、心臓や血管の健康には役立つ
とのこと。まぁ魚、ナッツ、オリーブオイルの効果は何度も実証されてるんで、このあたりは納得ですね。
まとめ
そんなわけで、信頼が高いレビューをざっと見てきましたが、私の感想を申し上げますと、
- 飽和脂肪酸は善でも悪でもない!ただニュートラル!
ってとこじゃないでしょうか。世間で言われれるほど寿命を縮めるわけじゃないけど、かといってたくさん摂るのがいいわけでもない、みたいな。
つまり、ここから言えることは、
- 肉や卵は避けなくてもいいよ!
- でも飽和脂肪酸を優先順位の1位にするのも止めようね!
ぐらいのもんでしょう。とりあえず、あんま飽和脂肪酸にはこだわらず、カロリーの質が高い脂肪をまんべんなく食べていただくのが良いかと思う次第です。