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子育てでやっちゃいけない最大のポイントは"あれ"だ!みたいな実験

Kids

 

その昔、「毒親に共通する特徴とは?」みたいな話がありましたが、また新しく「ダメな親の条件ってなに?」みたいなデータ(1)が出てたのでメモしときます。

 

 

これはワシントン州立大学の論文で、小さな子どもがいる109組の夫婦が対象。どんな実験だったかと言いますと、

 

  1. 最初に両親たちに人前でスピーチをしてもらい、仕込みの観客から「ヒドい内容だった」と嫌な批判を受ける
  2. スピーチ後、子どもたちとレゴで遊んでもらう

 

って感じ。両親にわざとストレスを与えて、気持ちがヘコんだ状態のまま子どもと遊んでもらったんですね。

 

 

さらに、その際に両親たちを2つのグループに分けまして、

 

  1. 自然に子どもと遊んでもらう
  2. 感情を抑えて子どもと遊んでもらう

 

のように指示したんだそうな。ひとつのグループは不機嫌な感情をモロに表に出したまま子どもと遊び、もういっぽうは表面だけにこやかに子どもと接するようにしたってことですね。

 

 

研究者いわく、

 

感情の抑制はいかに行われるのか。そして、感情の抑制がいかに親子のコミュニケーションに影響するのか。これが研究の目的だ。

 

子どもたちは、敏感に親が感情を抑制していることを見抜く。しかし、感情の抑制を良いことだと考える親は多い。

 

とのこと。つまり、この研究チームは「感情の抑制って子育てによくないんじゃない?」と仮説を立てたわけです。

 

 

レゴ作業の様子は動画で撮影されまして、全グループのやりとりを分析したところ、結果はこんなふうになりました。

 

ここで調査したのは、親の反応性、温かみ、コミュニケーションの質、子どもへの指示の仕方などだ。

 

ストレスを抑制しようと試みた被験者は、レゴタスクのあいだ、パートナーに対するポジティブな態度が減った。会話の量が減ったのだ。

 

さらに、子どもも同じように反応した。感情を抑制した親のもとでは、子どもたちは反応が鈍くなり、やはりポジティブな態度が減った。まるで親の感情が子どもに伝染したかのようだった。

 

というわけで、実は両親がネガティブなときは素直に表に出したほうが、最終的に子どもとの関係性がよくなるみたい。

 

子どもたちは、かすかな感情の変化を読み取るのがうまい。両親からネガティブな感情を察知したにも関わらず、親の行動が平常時とは変わらないと、子どもは混乱を起こしてしまう。

 

つまり、このとき両親は、矛盾しあう2つのメッセージを送っているわけだ。

 

本当は不機嫌なのに顔は笑ってるせいで、子どもたちは「わけがわからん!」って状態になり、この内面のカオスがさらにネガティブを促進するんだ、と。感情と表情のダブルバインドにおちいっちゃうわけっすね。

 

大事なのは、子どもに素直な感情を見せることだ。そうすれば、子どもたちは自分の感情をコントロールする術を覚え、問題の解決力もアップする。ネガティブな問題を、解決が可能なものとしてとらえるようになるのだ。

 

当然、子どもたちが怒った時は素直に怒りを表現させるのがいい。そのうえで、状況をよくするためには自分が行動しなければならない事実を伝えるのだ。

 

今回は子育てについての研究ですが、これは成人同士のコミュニケーションにも当てはまりそうっすね。事実、過去に当ブログで取り上げた話でも、

 

 

なんて傾向が確認されてますからねぇ。先行研究だと、男性のほうが感情を押し殺しやすい傾向が出てますんで、日ごろからネガティブを抑制しがちな方は気をつけておきたいところです。

 


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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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