このブログを検索

どうしてもドカ食いしたいときは、脂肪と糖質のどっちに気をつけるべきか問題

Gluttony

 

肉と卵の脂肪は良くない!みたいな話も今や昔。近年では「低脂肪食って意味なくない?」って批判が増えまして、かなーり精度が高い研究でも「肉や卵の飽和脂肪は良くも悪くもない」みたいな結論になってたりします。

 

 

その点で肉や卵を怖がる必要はないと思うわけですが、ここで気になるのが、

 

  • カロリーオーバーの場合はどうなのよ?

 

ってとこです。というのも、上で紹介した長期実験ってのは「適正なカロリーで脂肪の割合を増やしたらどうなるの?」って問題を調べたものばっかなんですよね。

 

 

なので、たとえば忘年会でどか食いしたときは、体内に取り込む脂肪によって違いが出るんじゃないの?って可能性は捨てきれないわけです。悩ましいっすな。

 

 

が、近ごろそのあたりをガッツリ調べたデータ(1)が出まして、これからの暴飲暴食シーズンに役立ちそうな感じ。

 

 

これはヘルシンキ大学などの実験で、肥満ぎみな男女38人に対して「いつもより1,000kcal増やした食事を3週間続けてね!」と指示したんですな。いやー、ハードですね。

 

 

その際に、全体を3つにわけまして、

 

  1. 飽和脂肪グループ:ココナッツオイル30g、バター40g、チーズ100gを毎日摂取
  2. 不飽和脂肪グループ:オリーブオイル36g、ペスト26g、ペカンナッツ56gを毎日摂取
  3. 糖質グループ:オレンジジュース280ml、砂糖入り清涼飲料水430ml、キャンディ200gを毎日摂取

 

って感じで3週間ほど過ごしてもらったんだそうな。どのグループもなかなかの地獄ですな(不飽和グループがちょっとマシだけど)。

 

 

でもって、最終的にどんな違いが出たかと言いますと、

 

  • 体重の増え方はどのグループも同じだった(だいたい0.9〜1.4kgの範囲 )

 

  • ところが、脂肪肝の増え方には大きな差が出ており……
    • 飽和脂肪グループは55%増加
    • 不飽和脂肪グループは15%増加
    • 糖質グループ33%増加

 

だったんですな。みんな皮下脂肪は同じように増えたんだけど、肝臓のまわりにつく脂肪は飽和脂肪がワーストで、次が糖質だったんだ、と。

 

 

ご存じのとおり、脂肪肝は肝臓ガンや肝硬変につながる深刻な状態。なにせ肝臓はデトックスの最前線基地ですから、ここがやられれば人体は急激におとろえていくんですな。

 

 

飽和脂肪が肝臓に悪い理由はいろいろなんですけど、ひとつデカいのが「腸内を荒らしてるからじゃない?」って経路。昔から高脂肪食で炎症が進む現象が確認されてるんですけど、これは飽和脂肪が腸内細菌にダメージをあたえて、体内に入り込む毒素の量が増えてる可能性があるんですよ。怖いっすねぇ。

 

 

ってことで、以上のことから言えるのは、

 

  • どか食いするときは不飽和脂肪酸が多い食事内容のほうが良さげ(地中海式とかね)
  • 高糖質も結構ヤバいので注意

 

といったことですね。もちろん、究極的にはカロリーオーバーしないのがベストなんだけど、誰でも「今日は食べたるぜ!」みたいな日はありますからねぇ。


スポンサーリンク

スポンサーリンク

ホーム item

search

ABOUT

自分の写真
1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

INSTAGRAM