「低脂肪食は体にいい!」には科学的な根拠がないと専門家から猛抗議
ここ数十年ほど「脂肪のとりすぎはアカン!」が世界の常識。たとえばアメリカ政府の基準は1日の総摂取カロリーの20〜35%ですし、日本はさらに低くて20%〜30%ぐらいに定められております。
いっぽうで、パレオダイエットの基準ですと、「脂肪は28〜56%までオッケーでしょ。というか、脂肪はちゃんと摂らないと!」といった感じ。なかなかの食い違いですね。
そんな状況下、アメリカではいま「2015年版の食事ガイドライン」が作られてる最中なんですが(1)、そこでようやく専門家から「脂肪の摂取規制なんていらない!」って意見が出てきたみたい(2)。
意見を出したのはハーバード大のデビッド・ルドウィグ博士で、健康系の論文をあさってると必ず名前が出てくるエラい人。特に三大栄養素が人体にあたえる影響についてはプロ中のプロであります。
その内容をざっくり紹介しますと、脂肪が悪者になったのは1970年代のことで、飽和脂肪酸がLDL(悪玉)コレステロール上昇の原因だってデータが出てきたから。
ところが、その後の研究では「肉と卵を食べてもコレステロールは増えないし心臓病にもならない」って論文がドカドカ出てきまして、ついには「2015年からアメリカでは『コレステロールが高い食事でも問題ない!』が普通に」なりまして、いよいよ「低脂肪食は健康にいい!」って説には科学的な根拠がないことがあきらかになってきたんですな。
博士いわく、
「現在の科学的なデータによれば、ナッツ・植物油・魚といった良質な脂質をふくむ食品には、あきらかに心疾患を予防する効果がある。(中略)低脂肪の加工肉・無脂肪のドレッシング・ポテトチップスなどの加工食品は健康によくないどころか、フルファットな食品より体にダメージをあたえることも多い。
脂質は量よりも質なのだ。
とのこと。「カロリーの質が高い脂肪とフルーツを食べよう!」でも書きましたが、ここでもカロリーの質が重視されてますね。
もちろん、この意見だけでアメリカのガイドラインが変わるかはわからんのですが、イエール大学のデビッド・カッツ教授も言うとおり、もはや三大栄養素の割合を気にするような時代じゃないのかも。あくまでも「質」にこだわれば、「量」はさほど問題じゃなさそうですね。
というわけで、「質の高い脂質ってなに?」という方は、以下のエントリもあわせてご参照くださいませ。
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