今週の小ネタ:消費者が好む商品、サイコパスの見抜き方、他人の慰め方
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
消費者はどんな商品を好みやすいの?
まずはイエール大学の論文(1)で、「みんなどんな商品が好きなの?」って問題を調べた内容になっております。
たとえばひとつめの実験は、
- 参加者に「新しい味のチョコが2パターン出たよ!」と伝える
- その際に、「シェフが長年かけて練り上げた味」と「シェフの間違いで生まれた味」という2パターンを伝える
ってデザインで消費者の好みをチェックしたらしい。さらにもうひとつの実験では、
- アーティストが間違って絵の具をこぼした絵画
- アーティストが意図的に絵の具で汚した絵画
の2パターンを示して、同じように好きなほうを選んでもらっとります。
で、その結果はいずれも同じで「間違いやミスでできた作品」の勝ち。どうやら多くの人のなかには、偶然でできたもののほうを「予想もつかない結果になってるのでは?」と思うバイアスがあるみたいなんですよ。
つまり、世の中になんらかの作品を出しているような人は、制作過程のミスを逆に利用したほうが消費者の支持を受けやすいってことですかね。ちょっとおもしろいですな。
サイコパスはここで見抜ける!
次はカーディフ大学の研究(2)で、「サイコパスは何が違うの?」って問題を調べております。かなり長い論文なんですが、ざっくりどんな実験をしたかと言いますと、
- 過去に犯罪を犯したことがある被験者を集め、性格テストでサイコパス度を検査
- 全員に「嫌な画像」(泣いてる子供とか)や「怖い画像」(虐待されている動物とか)を見せる
- サイコパスにどんな違いが出るかを確認する
って感じです。その結果がどうだったかというと、
- サイコパスはネガティブな画像を見ても瞳孔が開かない!
だったそうです。普通の人は心理的な刺激で瞳孔が開くんだけど、サイコパスにはこの反応が見られないらしい。
研究チームいわく、
ヒトの瞳孔は、個人の興奮レベルを示すサインとして知られてきた。
ギャンブラーは、相手に良い手が来たかどうかを確認するために、敵の目をじっくりと見る。やり手のセールスマンは、自分が切り出した価格に顧客が食いついたかを判断するために、向こうの目をじっくりと見る。
同じように、なにかショッキングなものや恐ろしいものを見ても、私たちの瞳孔は広がるものだ。
ってことで、相手の反応を知るために瞳孔を見るのは普通なんだ、と。
さらに、
サイコパス系犯罪者の多くは恐れを知らず、つねに自信にあふれ、血も涙も無いかのようにふるまう。恐怖やショックの感情に反応しないのなら、冷血な行動ができるのも当然だろう。
とのこと。サイコパスを判断する手段として「瞳孔を見る」ってのはアリかもしれませんね。
落ち込んでいる人を慰める最強の方法とは?
最後はウェイン州立大学の研究(3)で、「他人を慰めるベストな方法は?」って問題を調べております。
具体的には54人の学生を集めて、「友人がテストに失敗した」とか「知り合いが仲間はずれにされた」みたいな架空のストーリーを提示。そのうえで、96パターンにおよぶ「いろんな慰め方」を見せたそうな。
たとえば、
- 同情心を見せつつ慰める
- 楽観的な感じで慰める
- とにかくグチを聞く
- 状況を別の角度から見るようにうながす(このテストの失敗が次につながるよ!みたいな)
でもって、みんなに「どの慰め方が一番効果的だと思う?」と尋ねたところ、各自の答えは完全にバラバラ。どの慰め方にもほぼ偏りがなかったんで、どれがいいとはとても決められない感じだったそうな。一般的には、よく「ただ共感して話を聞け!」みたいなアドバイスを聞きますけど、これが特に効果的ってわけでもないみたいっすね。
ってことで、「最強の慰め方」は存在しないみたいなんで、相手のキャラや状況を見極めつつ、ケースバイケースで判断してくしかなさげ。「慰め」って高度な技術なんですねぇ。