今週の小ネタ:人間がミスを犯す最大の原因、カップルが仲良くやる秘訣、ADHDとクリエイティビティ
ひとつのエントリにするほどでもないけど、なんとなく興味深い論文を紹介するコーナーです。
人々がミスを犯す最大の原因はこれだ!
まずはウィスコンシン大学の論文(1)で、234人の男女が対象。そのうち半分を24時間眠らない状態に追い込み、集中力が必要なタスクをこなしてもらっております。
結果、どれぐらいの差が出たかと言いますと、
- 不眠グループのエラー率は、普通に寝たときの15倍!
だったそうです。なかなかの違いが出たもんですなぁ。
研究チームいわく、
たとえば医療統計によれば、患者の体内にスポンジを置き忘れてしまう事件が1日に平均で11件も置きている。
医療ミス、交通機関の事故、核施設の操作トラブルなど、さまざまな問題を見てみれば、その多くには睡眠不足がかかわっているケースが多い。プロの世界でも睡眠が足りていない人は普通なのだ。
過去の研究でも、仕事中に寝てしまった経験を持つプロフェッショナルの数は25%近くにものぼる。
ってことで、ヒューマンエラーのおもな原因は睡眠不足なのだ!ってポイントが強調されておりました。睡眠不足で脳機能が下がるのは常識ですけど、ここまで違うとさすがにビビりますな。
カップルがケンカを乗り越えるのに必要な要素は?
次はイリノイ大学の論文(2)で、恋愛に関する過去のデータ1,149件をレビューした内容になっております。その問題意識は、
- カップルのケンカはどう乗り越えるのがベストなのか?
って感じでして、男女のいさかいをうまく解決する方法を、過去の研究からピックアップしてくれたんですな。
で、研究チームが「これは必須だ!」と思った2大ポイントがなんだったかというと、
- とにかく相手のミスを許すスキル!
- とにかく「2人の関係はいいものなのだ!」と幻想を持てるスキル!
だそうです。「許し」が大事ってのはよくわかる話ですが、もうひとつの「幻想を持て!」ってのは少しわかりにくいポイントかもっすね。
研究チームいわく、
私たちは、しばしば「自分たちの関係は良いものなのだ」と思い込みたい傾向を持っている。いわゆるポジティブなイリュージョンだ。
そのために、一緒にレジャーを楽しんでもいいし、いまの関係性についてあらためて話し合ってもいい。とにかく2人の関係にインタラクティブな要素を取り入れ、「良い関係を築けている」と信じ込めるだけの材料を手に入れねばならない。
ってことなんで、「真の愛」みたいにボンヤリしたものを追うのは止めて、ポジティブなイリュージョンを作り上げる作業に注力したほうがよさげであります。
ADHDな人ほど創造性が高いぞ!
昔から「気が散りやすい人ほど創造性が高い!」ってデータがよくあるわけです。集中力がない人は思考があちこちに拡散しやすいんで、そのぶんだけ新しいアイデアに結びつくみたいなんですよ。
で、ミシガン大学の論文(3)は、「集中力のなさが創造性を育むなら、ADHDはクリエイティブなんじゃない?」って問題について調べてくれておりました。
これはADHDと診断された男女26人を対象にした実験で、以下のような介入をしております。
- みんなに「変わったフルーツを描いてみて!」と指示して、集中力がある人が描いた作品と比べる
- みんなに「新しい薬やパスタの名前を考えてみてね!」と指示して、集中力がある人が描いた作品と比べる
さて、参加者が描いた「変わったフルーツ」はこんな感じです。右がADHDの方々によるもので、左が一般人の作品。
絵の好みはありましょうが、やっぱADHDのほうが「創造性がある!」と言えるんじゃないでしょうか。
研究チームいわく、
ADHDに特有の強みを伸ばし、そのために必要なサポート作りを心がければ、個人も組織もメリットを得られるかもしれない。ADHDの精神が持つ創造的でイノベーティブな可能性を解き放てるからだ。
とのこと。もちろん、これだけでADHDな方々の苦悩が晴れるわけじゃないでしょうが、「イノベーションを引き起こすポテンシャルがあるのだ!」ってのはちょっとした救いになってよろしいのではないでしょうか。」