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喘息のリスクを62%も下げるかもしれない"食材"はこれだ!という観察研究の話



喘息の原因のひとつが炎症だってのは有名な話。アレルギーやストレスなど何らかの理由でノドに炎症が起きて、呼吸が苦しくなっちゃうんですよね。


私もかつては喘息に悩まされた経験が多くて、もともとアレルギー体質のだったせいで、ハウスダストなどがあるとすぐに呼吸が苦しくなって困ったもんです。いまはだいぶマシになったものの、いまも気を抜くとヤバい感じではあります。気管支の炎症ってなかなか治らないもんなんですよね……。


で、喘息が炎症のせいで起きるなら、抗炎症作用を持つ物質が効くんじゃないの?と考えるのは自然な話。炎症に効きそうなものはいろいろありますが、なかでもデータ数が多いのはオメガ3脂肪酸でありましょう。ご存じ魚に多くふくまれる油ですな。


事実、このフィッシュオイルが喘息にいいんじゃない?ってデータ(R)が出まして、私のようなアレルギー持ちにはちょっと気になる内容になっておりました。


これはジェームズクック大学などの論文で、研究チームの問題意識はこんな感じです。

世界では3億人以上の人々が喘息に苦しんでいる。そして、毎年約25万人が喘息のせいで命を落とす。

 

 

喘息持ちの数は過去30年間で2倍にはね上がったが、そのうち半数は治療薬の効果を得られずにいる。薬を使わない対処法に注目が集まるゆえんだ。


とのこと。炎症が起きる理由はいろいろありすぎて対処がむずいんで、どうしても喘息治療も打率が上がりにくいわけっすね。ほんと炎症って大変。


さて、この研究では、南アフリカの漁村で暮らす642人の男女を調べた観察研究になっております。なんでこの村を対象にしたかといいますと、

  • 普段から魚の消費量がとても多いので、サプリを使わずにオメガ3を摂取している
  • いっぽうで経済的に苦しい地域なので、不健康な習慣も多い(タバコとか)

みたいなことです。でもって、全員の食事や喘息の症状などをくらべてみたところ、

海産物から得られるオメガ3の摂取量は、

喘息リスクの低下と最大62%も相関

していた。いっぽうでオメガ6の摂取は、喘息リスクの上昇と最大67%まで相関していた。


だったそうで、想像どおりと申しますか、オメガ3と6で真逆の結果が出てますねー。

ベジタブルオイルに多くふくまれる

オメガ6脂肪酸

はここ数年で消費量が劇的に増え、他方でオメガ3の量は減り続けている。


ここらへんはおなじみの話ですが、やはり外食とかが増えると、どうしても炎症の害はアップしちゃうでしょうなぁ。


ちなみに、魚介類というと水銀の問題が気になる方もおりましょうが、

魚介類にふくまれる水銀汚染の要素を考慮しても、魚を食べるメリットはそのリスクをはるかに上回る。


と言っていて、私もこの意見にはわりと賛成だったりします。まぁ今回の研究はクロスセクショナルだしサンプル数も少ないので研究としてはゆるいんですけど、「魚は素晴らしい!」って話は過去にもさんざん出てますんで、「喘息にも効くかも?」って可能性が出てきたのはナイスなポイントだと申せましょう。アレルギー持ちは魚だ!

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。