マルチビタミンは意味がないがどうしても手放せない!を解決するためにはどうすればいいのか?問題
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「マルチビタミンってどうなの?意味あるの?」って問題は昔からよく言われるところで、
なんて話をこれまでに書いてまいりました。いまだ異論も多いながらも、全体的に見るとどうにも「マルチビタミンって意味なくないか?」って意見が現時点では科学界のコンセンサスかなーと思えるわけです(もちろん栄養不足な地域とかは別として)。
もっとも、そうは言われてもマルチビタミンを使い続ける人は多いものでしょう。なんとなくお守り代わりのようなイメージがあって、いったん飲み始めると止めるのは意外と難しいもんです。
で、新たにそこらへんの問題を調べた研究(R)が出てておもしろかったんですよ。
これは西オーストラリア大学の論文で、「因果の幻想を断ち切る方法はないのか?」って問題について調べたもの。「因果の幻想」ってのは、たとえば「風邪をひいたあとにマルチビタミンを飲んだら症状が治った!」ってケースなどで、「やっぱマルチビタミンは風邪に効くんだなぁ」と思っちゃう現象のことです。
当然、これだけだとマルチビタミンが風邪に効いたかは判断できず、なんも飲まなくても症状がやわらいだ可能性も大。それでもついつい「マルチビタミンのおかげだ!」と思っちゃうのは、どんな世界でも見られる現象でしょう。
実は、過去の研究によれば、「データだとマルチビタミンは意味がないんですよ」と教えたところで「因果の幻想」は打ち破れないことがわかってたりします。どうも統計の数字は実感がなさすぎて、人間の行動を変えるほどの影響力は持ちにくいみたいなんですな。」
ってことで、研究チームは245人の学生を集めて、3つのグループにわけております。
- マルチビタミンに関する情報はなにもあたえられない(コントロール群)
- 「マルチビタミンを飲んだ人のうち4人に3人は良い変化が出ました。ただし、プラシーボサプリを飲んでも4人に3人が良い変化が出ました」と、プラシーボに関する説明だけする。
- 「マルチビタミンを飲んだ人のうち4人に3人は良い変化が出ました。ただし、プラシーボサプリを飲んでも4人に3人が良い変化が出ました。これは、健康な人たちはすでに十分な栄養を食事からとっているからです」と、科学的な理由もくわえた説明をする
それぞれに少しずつ説明のレベルを変えてみて、どれぐらい説得力に違いが出るのかをみたわけですな。
その後、全員に「マルチビタミンにどれぐらいお金を払いたいと思いますか?」と尋ねたところ、
- 「マルチビタミンを買う気が失せた」と答えたのは、唯一、データと科学的な説明を組み合わせたグループだけだった!
って結果だったそうです。たんにデータを示すだけじゃなくて、そこになんらかの説明をくわえてやれば、説得力は一気に高まるんだ、と。
そりゃそうでしょって気もしますが、実際にはこういった説明がなされないケースは多いもので、
アメリカ国立衛生研究所などは、効果のない治療法について「臨床試験のデータは不十分である」とお役所的な解説をしがちだ。しかし、実際にはもっとあからさまなデータを示したうえで、しっかりした科学的な説明をくわえてやったほうがいい。
データと説明のミックスにより、情報の受け手はメンタルギャップを乗り越えることができる。
と研究チームは申しておられます。たんに「マルチビタミンは効かないよ!」と言われても、「えっ!それって世間で言われてることと違うじゃん!」って気になるだけなので、このギャップをていねいに埋めてやらねばならないんだよーってことですな。まぁそうはいっても、論文にはハッキリした説明がないケースも多いんで、役所が「証拠がない」って表現に落ち着いちゃうのもわかるんですけどね……。
ともあれ、「自分の気持ちを変えるにはメンタルギャップを埋めるのが大事」ってのは重要なポイントですんで、日ごろから意識していきたいところではありますね。