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メンタルヘルス系アプリって科学的に正しい知識を使ってるの?問題



スマホにはいろんなメンタルヘルス系のアプリがありまして、有名なとこだと「Headspace」とか「MoodTools」なんてのが定番でしょうか。最近は日本でも増えてきてて、「COCOLOLO」みたいなストレスチェック系とかが人気。


こうなると、メンタルヘルス系アプリって本当に効果があるの?ってのは気になるところでして、近ごろ「 Nature Digital Medicine」によい感じのデータ(R)が出ておりました。



研究チームは、市場に出まわる1,435本のメンタルヘルス系アプリをチェックして、なかでも人気が高い73本を選択。その機能やレファレンスを調べて、メンタルヘルス系アプリって科学の裏付けあるの?ってところを見てくれたんですよ。ありがたいですねぇ。


選ばれたアプリがおもにどんな効能をうたっているかと言うと、

  • 鬱がやわらぐ!
  • 不安が減る!
  • 依存症が治る!

みたいな感じ。さすがに「統合失調に効く!」みたいな主張をしてるアプリはほとんどないみたいっすね。


さらに、たいていのアプリがどんな機能を持ってるかというと、「メンタルの診断機能」とか「症状のセルフマネージメント」がメイン。いまのストレスを採点してくれたり、認知行動療法的な記録シートを提供してくれたりとか、そんな感じですね。


でもって、全体的にどんな傾向が確認されたかと言いますと、

  • 44%のアプリは「いかにも科学的な言葉づかい」をしてたが、実際に論文を参照してるのは2つだけだった
  • ただし、その参照元がひとつはパイロットスタディだし、もうひとつは自己申告で気分の変化を計測したものであり、どちらも精度は非常に低い
  • 32%のアプリは、開発元に寄せられた絶賛レビューをエビデンスにしていた
  • 33%のアプリは、そもそも科学的な根拠を示そうともしなかった

だそうです。まぁもともと規制がある世界じゃないんで、納得の結果ではありますが。


もちろん、科学的な根拠がないから使うな!とはいえないんですけど、認知行動療法のレファレンスをベースにアプリを作るのってさほど難しくないのに、もったいないなぁとは思いますね。


ちなみに私の場合は、一時期は認知行動療法系のアプリを使って思考の記録とかをとってたんですけど、やっぱメンタルヘルス改善については紙のほうが断然よいので、いまでは使わなくなっちゃいましたね。デジタルだと画面が小さいのと、いまひとつ自由にペンが走らないこともありまして、どうにも使いづらいんですよねぇ……。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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