「To Doリスト」は確かに生産性が上がるけど、その理由ってそもそもなんなの?みたいな話
「仕事の前にやるべきことを書き出す」って作業が生産性の向上に役立つのは間違いがないところ。To Doリストでもカレンダーでもなんでもいいですが、とにかくその日の予定を書き出しとくとモチベーションと集中力が上がるわけです。
が、ここで謎なのは「なんで予定を書き出すと生産性が上がるの?」ってとこじゃないでしょうか。誰もが「To Doリストやカレンダーを使うと仕事がはかどるなー」と経験則では感じているものの、そのメカニズムは意外とハッキリわかっていないのではないか、と。
というわけで、「WILLPOWER 意志力の科学」で有名なバウマイスター先生が、そこらへんのことを調べてくれておりました(R)。「To Doリストが効く理由なんて知らなくてもいいよ!」と思われるかもですが、詳しいメカニズムを知っておくと他のテクニックへ応用しやすくなりますからねー。
これは6つの実験を通して「なんで計画って効くの?」って問題をチェックした研究で、ざっくり全体の実験内容を紹介すると、
- 被験者に複数の作業を与えて、”いくつかのタスクがやりかけのまま放置されている状態”を作る
- その後、被験者を「明確なプランを作るグループ」と「何もしないグループ」に分けて作業を続けさせる
- 被験者の生産性や感情の変化をチェックする
って感じです。いずれも良い感じのデザインになってまして、この手の研究としては最大規模ではないかと。
で、これで何がわかったかと言いますと、
- 明確なプランニングは「ツァイガルニク効果」の悪影響をやわらげてくれる!
だったんですな。ツァイガルニク効果ってのは、「人間は達成できなかったタスクのほうが気になっちゃうよねー」って現象のことです。
まぁ普通に考えても、最後まで見終わったドラマよりも途中まで見たドラマのほうが気になるのは当たり前の話。この心理は「未完了のタスク」でも同じで、終わらないまま放置した作業は無意識のうちにヒトの注意を引きつけ続けるわけっすね。
研究チームいわく、
計画さえ立てれば、私たちの無意識は「その行動をいつどのようにすべきか」を理解する。そのため、終わっていないタスクが引き起こす不確実性の感覚はやわらぐ。
ってことで、計画によって不確実性の感覚が減るところを重視しておられます。要するに、より簡単に言い直せば、
- 明確なプランニングは感情コントロールに効いている!
みたいになりましょう。計画によってツァイガルニク効果がやわらぎ、おかげで不安や緊張といったネガティブな感情がコントロールされるのだ、と。
これは、逆に言えば「人間の生産性を下げるのは『不確実性への不安』である!」ってことでもありまして、別にTo Doリストやカレンダーでなくとも、不安に効くものであれば何でも意味があるんじゃなかろうか?って気もしてくるわけです(例えば「自然音で不安を沈める」とか)。このポイントから、本当に役立つプランニングとは?を考えてみるのも有用かもですなぁ。