悪い知らせを伝えてきた人は、それだけで嫌われちゃうぞ!というハーバード論文
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悪い知らせを伝えてくるヤツは、それだけで嫌われるぞ!って内容の論文(R)がおもしろかったんでメモ。
これはハーバード大学の研究で、11個の実験を通して「ニュースを伝えてきた人間に対して、人間はどんな印象を抱きがちなのか?」って問題を調べてくれたんですな。
例えばある実験は、こんなデザインになってます。
- 「くじ引きで買ったら2ドルあげるよ!」と参加者に持ちかける
- くじ引きの結果は、参加者とは別の人に知らせる
- くじ引きの勝ち負けを知らされた後、参加者に「くじの結果を知らせてきた人についてどんな印象を持ちましたか?」と尋ねる
ってことで、たった2ドルの小さな勝負でしたが、調査の結果はとてもハッキリしてまして、
- くじがハズレたことを伝えてきた相手に対して、くじが当ったことを伝えたきた相手よりも悪い印象を抱いた!
って傾向が全体的に見られたんだそうな。当然、くじ引きの結果を伝えてきた相手は何にも悪くないわけですが、「うれしくないニュースを言ってきた」ってだけで、その人のことを嫌いになっちゃうわけですな。こえー。
さらに別の実験は、こんな感じのデザイン。
- 参加者に「空港のゲートで飛行機に乗り込もうとしているところを想像してください」と指示
- 参加者の半分には「飛行機は定刻どおりに出発します」と良いニュースが入ったところを想像してもらう
- 残りの半分には「飛行機は2時間遅れで出発します」と悪いニュースが入ったところを想像してもらう
すると、やはり結果は先の実験と同じで、参加者たちは「悪いニュースを伝えてきたスタッフ」に嫌悪感を抱いたんだそうな。言われてみれば、なんら落ち度がない空港スタッフに怒鳴り散らしてる人とかよく見かけますもんね。
では、なんで悪いニュースを伝えてきただけの人を嫌いになるのかと言いますと、
悪いニュースを伝えてきた相手を嫌いになってしまうのには、事態の意味を瞬時に理解しようとする人間の性向が関わっていると思われる。悪いニュースが「意味を理解したい」という欲望をかきたて、この欲望が悪いニュースを伝えてきた相手を嫌うように仕向ける。
と説明されておりました。ちょっとわかりにくいかもですが、要は「物事の原因を理解したい!」っていう人間の基本的な欲望が関わっております。どういうことかと言うと、
- なんらかの悪いニュースを伝えられる
- なぜ自分に不運が起きたか?の理由を知りたい気持ちが生まれる
- しかし、不運には明確な理由があろうはずもない(なぜなら不運だから)
- 理由がわからないのでイライラする
- イライラを避けようとした脳が、「そうだ!情報を伝えてきたヤツが悪いことにすれば解決だ!」と思いつく
- 悪いニュースを伝えてきた人間を嫌いになる
みたいな流れです。例えば、癌を宣告してきた医師のことを患者が嫌いになってしまう事例などがよくあるんですけど、これなんかも我が身の不幸を受け入れられない気持ちが転嫁されたものと考えられましょう。マスコミが嫌われがちなのも、悪いニュースばっか流してるからかもですな。
つまり、ここで得られる教訓としては、
- できるだけ悪いニュースを伝える役目は避けたほうが良い
- どうしても悪いニュースを伝えねばならない時は、必ず「この事態がうまく行くことを願ってます」みたいに、「決して悪意があるわけじゃないんですよ!」ってところを強調する
みたいになりましょう。こちらの悪意のなさをわざわざ伝えるのは面倒な話ですが、そうしないと向こうに悪く思われかねないので、やっといて損はありますまい。