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あのポリフェノールが筋肉を増やすのに役立つかもしれないだって?

 

このブログにたまに出てくるサプリに「ケルセチン」ってのがあります。タマネギなんかに多くふくまれるフラボノイドの一種で、免疫システムの改善に定評があるもんで、過去には「リーキーガット」な人にオススメしたいサプリに選んだりもしてました。アレルギーの人なんかは、試してみいいかなーと思うサプリのひとつですね。


で、新しい論文(R)もケルセチン関係で、「もしかしたら筋トレに使えるんじゃない?」という意外な結論になってました。というのも、もともとケルセチンは炎症や酸化を減らす働きが高いことがわかってるんで、筋トレのせいで起きた筋肉のダメージをやわらげるのにも役立つのでは?と言われてきたんですよね。


ってことで、この実験では10人の健康な男性を対象に、ケルセチンが筋トレに役立つか問題をチェックしてくれております。実験デザインを軽く説明すると、

  1. 参加者の半分に、1回1000mgのケルセチンを飲んでもらう
  2. 残りには、500mgのマグネシウムを飲んでもらう
  3. 3時間後、全員に1RMの80%ぐらいの負荷で、筋トレを8回3セットずつやってもらう
  4. 全員のRPE、筋肉ダメージ、酸化ストレスを調べる
  5. 別の日に、飲むサプリを入れ替えて(最初にケルセチンを飲んだ人はマグネシウムを飲む)同じ筋トレをし、同じように筋肉のダメージをチェック

みたいになってます。実験で使われたトレーニングの種類は、シーテッドロウ、チェストプレス、ニーエクステンション、レッグプレス、カーフレイズなどで、全身をくまなく鍛えてもらった模様。


その結果、どんな違いが確認されたかと言いますと、

  • ケルセチンを飲んだ場合は……
    • 筋トレから24時間後のパワーの低下がゆるやかになった!(EMGで計測)
    • そのおかげで、より多くのトレーニングをこなせるようになった!

ってメリットが報告されております。


なんでもRPE(主観的な疲労感ね)や筋肉痛のレベルには両グループで変化がなく、筋肉のダメージにも大差は見られなかったみたいなんですが、それでもケルセチンを飲んだ方がトレーニングのボリュームは増えたみたい。言わずもがな、ボリュームは筋肉を増やすためにもっとも注意すべきポイントなんで、この結果が事実であれば、「ケルセチンは筋トレに使える!」と言って差し支えないわけです。


ちなみに、この実験で個人的におもしろかったのは、ケルセチンで筋肉ダメージが変化しなかったのに、EMGの活動は変わったところですね。つまり、ケルセチンが効くのは筋肉ダメージをやわらげるからじゃなくて、神経系の働きに効いてるからじゃないの?ってことです。


すなわち、ケルセチンは中枢神経系を刺激してる可能性がありまして、これはカフェインに似たようなメカニズムじゃないかと思われるんすよね。もちろん、この実験だとどっちが優秀かはわからないんだけど、カフェインが苦手な方なんかはケルセチンを試してみてもおもしろいかも?ぐらいには思う次第です。

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1976年生まれ。サイエンスジャーナリストをたしなんでおります。主な著作は「最高の体調」「科学的な適職」「不老長寿メソッド」「無(最高の状態)」など。「パレオチャンネル」(https://ch.nicovideo.jp/paleo)「パレオな商品開発室」(http://cores-ec.site/paleo/)もやってます。さらに詳しいプロフィールは、以下のリンクからどうぞ。

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