心拍計を使わなくても自分の運動レベルは判断できる!「RPE」のススメ
エクササイズでどこまで自分を追い込むべきか?というご質問をいただきました。
最近HIITと筋トレを始めました。しかし、ちゃんと出来ているのかいまいち自信が持てません。HIITは限界までやらないと意味がないなどといいますが、やり終えたあとは「もう少しできたんじゃないか」などと思ってしまいます。やはりちゃんとした心拍計などを買ったほうがよいのでしょうか?
とのこと。これは良く聞くお悩みですねー。
主観でも運動レベルは十分正確に把握できる
おっしゃるとおり筋肉はヘトヘトに疲れさせないと発達しませんし、HIITも「もうダメだ!」というレベルまでやらないと意味がなかったりします。
が、ばくぜんと「自分を追い込め!」と言われても、実際にどこまで頑張ればいいのかは判断しづらいところ。かといって、いちいち心拍計を使うのもめんどうだったりします。
ってことで個人的に使っているのが、RPE(自覚的運動強度)って基準であります。単語だけ見ると難しそうですが、要するに「自分でどれだけきついと感じるかを数字で表してみよう!」って考え方です。
「主観で判断して大丈夫なの?」と思うでしょうが、1980年代から使われてきた伝統的な方法で、最近でも「RPEは運動強度を測るのに十分使えるよ」ってデータ(1)が出てたりします。自分の感覚だけで判断しても、意外と実際の心拍数に近い運動強度が判断できるみたいなんですな。
自分で運動の「つらさ」を採点してみよう
アメリカスポーツ医学会(ACSM)によりますと、RPEの定義は、
有酸素運動や筋トレの間に経験する、努力感や緊張、不快感、疲労感など
というもの。要はエクササイズ中の「つらい!」って感覚を、自分で採点していけばいいわけです。
ACSMはRPEのレベルを20個にわけてますが、いまいち使い勝手がよくないんで、わたしは10段階で採点しております。具体的には以下のような感じ。
RPE | RPEの意味 |
---|---|
0-1 | 疲労度ゼロ。イスに座ったりスマホを使ったりという日常生活レベルの活動度。 |
2-3 | ウォームアップぐらいのつらさ。ストレッチとか。 |
4-5 | ややきつい感じ。呼吸が少し速くなって、軽く体があったかくなるぐらい。 |
6-7 | きつい感じ。 有酸素運動の場合は、呼吸が激しくなって少し会話に支障が出るぐらい。筋トレだと、普通の重量を7〜8回上げ下げしても、まだ5〜6回は余裕があるレベル。 |
8-9 | かなりきつい感じ。 有酸素運動の場合は、呼吸が激しくてほぼ会話はできないぐらい。筋トレだと、重めの重量を7〜8回上げ下げして、あと1〜2回ならできるかなーぐらいのレベル。 |
10 | もうダメ!ってレベル。有酸素運動の場合は、もう足が動かないぐらい。筋トレだと、もはや1回も上げられないレベル。 |
心拍数でいうと、だいたいレベル6-7で140〜160ぐらい。レベル8-9で160〜180ぐらいに対応しております。エクササイズ別の目安としては、
- HIITの場合:エクササイズが終わった時点でレベル10に達しているのが理想。最低でもレベル9にはしておきたい。
- 筋トレの場合:筋肉の持久力を伸ばしたいときは、レベル6-7で回数をこなす。筋肉量をアップさせたいときはレベル8-9の感覚を目指す。
って感じです。
ここで大事なのは、感覚的な「つらさ」を数字に変換するところ。たんに「かなりキツいな〜」と思いながら運動をするよりも、主観でもいいから明確な数値をあたえてあげたほうが、ヒトの脳は正確に現状を把握できるようなんですな。おもしろいもんです。
そんなわけで、わたしはいまRPEしか使っておりません。かつてポラールの心拍センサーを使ってたことがありましたが、主観の採点でも十分に運動強度は把握できると感じております。