甲状腺の異常がもたらす15の恐怖
こないだ「甲状腺がやられるとヤバいよ!」って話を書いたところ、「自分にも心当たりがある…」といった感想をいくつかいただきまして。
実際、甲状腺の異常は意外とメジャーなんですが、症状が軽いと血液検査にもひっかからないのが難点。気づかないうちに甲状腺ダメージで苦しんでいる方は少なくないかと思います。
ざっとおさらいすると、甲状腺は喉仏の下あたりにある小さな器官。体の代謝に必要なホルモンを作り出す工場で、こいつが足りないと全身がガス欠を起こすことになります。
かく言うわたしも過去に何度か甲状腺をやってまして、特にスーパー糖質制限を実践したときと、ワカメダイエットを試したときには明確に症状が出ました。やっぱ極端な食事はいけませんね(笑)
とはいえ、甲状腺のダメージがもたらす症状は幅広いんで、なかなか自己診断が難しいところではあります。以下に特有の症状をならべておきますんで、体が不調を起こしたときの参考にどうぞ。
1.首が軽くふくらむ
甲状腺に異常が起きると、喉仏の下あたりが軽くふくらみがち。もっとも典型的な状態かと思いますが、素人では判断できないケースも多いんで気になる場合はお医者さんへどうぞ。
2.とにかくハンパじゃない疲労
甲状腺ホルモンは体に元気をあたえる物質なんで、不調が起きれば激しく疲れやすくなります。いったんこうなると、睡眠だけじゃリカバリーは不可能。どんなに寝ても疲れに襲われちゃうはずであります。
といっても激しい疲労はいろんな原因で起きるんで、これだけで判断するのは無理。以下の症状を参考にしつつ総合的にみてくださいませ。
3.とにかくハンパじゃない便秘
甲状腺ホルモンの使命は、全身の細胞にエネルギーをあたえること。もし甲状腺がまともに働かないと、体のギアが徐々にスローに入りまして、やがて消化器官の機能が低下していっちゃう。慢性疲労とならんでメジャーな症状であります。
こうなると腸へのダメージも増すんで、消化器官の不調からくるリーキーガットにも注意が必要になってきます。怖いですねぇ。
4.全身を襲う激しい寒気
甲状腺ホルモンは全身が熱を生むために必要な物質。細胞にとっての焚き木みたいなもんで、ホルモンが足りないと激しい寒気に襲われることになります。
もし夏場でも足先が寒いような場合は、ちょっと甲状腺に問題があるのかも。とりあえず基礎体温を計測してみるのがよいかと思います。
5.なにせ血圧が低い
甲状腺の異常は全身の機能をスローダウンさせるんで、当然ながら血の巡りも格段に悪化します。その結果として血圧は低くなり、めまいやだるさが起きるケースも。
一般的に血圧が低いと足先や指先に冷えが起きまして、ヒドいときは感覚がなくなったりもします。特に女性は甲状腺のトラブルが起きやすいんで、低血圧と冷えに悩むケースが多い印象。
6.肌・髪・爪がボロボロに
当然、甲状腺は肌や爪の細胞にもエネルギーを送っております。が、甲状腺ホルモンに異常が起きると、表面の細胞は少しずつ減っていくわけですね。
7.まゆ毛が薄くなる
甲状腺は頭皮の機能もスローダウンさせるんで、自然と髪やまゆ毛が薄くなりがち。甲状腺の異常と抜け毛の関係は有名で、だいたい24%患者に体毛が薄くなる傾向が見られるんだそうな(3)。
8.声がガッサガサに
甲状腺は、声帯のすぐ近くに位置しております。そのため甲状腺に異常が起きてふくらむと、声帯が押されてしゃがれ声になっちゃうんですね。
といっても、甲状腺に異常が起きてもふくらまないケースは多いんで、他の症状と複合的にご判断ください。
9.記憶力・判断力の低下
甲状腺の異常は、脳の働きもスローダウンさせちゃう。その結果として記憶力は悪くなり、ついでに作業への集中力も悪化していくことが多め。
逆に甲状腺ホルモンが多いと、より注意力はアップし、判断力も鋭くなっていくことが知られております。
10.気分が沈みがちに
甲状腺ホルモンは、幸せ物質と呼ばれる「セロトニン」にも関わっております。ざっくり言えば、甲状腺ホルモンが減るとセロトニンの量も低下しちゃうんですな。
セロトニンは精神の安定や生活の満足感などに影響しまして、減ると幸福度が下がりがち。ちなみに、体内のセロトニンの9割は腸で作られるんで、やっぱりリーキーガットにも気をつけたいところです。
11.体重のアップダウンが激しい
くり返しになりますが、甲状腺ホルモンは全身の代謝をアップさせるホルモン。こいつが異常を起こせば摂取カロリーは燃えなくなり、そんなに食べてもいないのに体は太っていっちゃう。
ただし、これは初期段階の話で、体に脂肪がつきすぎると逆に甲状腺ホルモンが激増(1)。たまった脂肪を燃やそうとして、体ががんばり始めるんですよ。そのため、太った人は、パッと見は甲状腺が正常なように見えることが多かったりします。
が、これはあくまで肥満の副作用なんで、脂肪が減ればもとの状態に逆もどり。再び太りやすい体になりまして、体重のメンテナンスに苦しむはめになるんですね。
12.とにかく毎日がストレスフル
ストレスが体に悪いのは常識ですが、実は甲状腺にもかなりのダメージをあたえます。その具体的なメカニズムは、「なぜダラダラと仕事をやってる人は死亡率が高くなるのか?」をどうぞ。
ざっくり言うと、ストレスでパニックを起こした脳が、甲状腺を無闇に働かせようとするんですね。そのうち甲状腺が疲れきってしまい、ホルモンを作ってくれなくなっちゃう感じ。
13.ハードな糖質制限のやり過ぎ
これは「スーパー糖質制限の落とし穴」に書いたとおりで、糖質を減らしすぎると甲状腺ホルモンの産生が上手くいかなくなっちゃうんですね。
人によってはスーパー糖質制限でも問題ないケースもあるようですが、特に女性は悪影響を受けやすい印象であります。この問題を防ぐには、最低でも1日80gは糖質をとっておきたいところ。
14.ヨウ素が足りない
ヨウ素は甲状腺のホルモンの材料なんで、足りないとダメージが出てきます。日本だとヨウ素不足は少ないんですが、普段から魚や鶏卵、海藻をあまり食べない方は意識しておくといいかも。
15.緑の野菜の食い過ぎ
もちろん野菜は健康に必須ですが、甲状腺が弱った状態だと悪影響が出ちゃうケースも。具体的には、ホウレン草やブロッコリー、ケールといった緑の野菜にふくまれるゴイトロゲンって成分には、ヨウ素の吸収をブロックする働きがあるんですね。
といっても健康体な方には問題がないんで、あくまで甲状腺に問題が出た場合のみ緑の野菜にはご注意ください。できるだけ生食は避けて、加熱調理するか発酵させて食べればOKであります。
まとめ
というわけで、甲状腺のダメージがもたらす怖い症状を見てました。以上を見ていくつか心当たりがあるなら、ちゃんとした血液検査を受けてみることをオススメします。基本的にはT4とT3の数値をみれば、そこそこの判断がつくはずですんで。
いずれにせよ、甲状腺に異常が出ると何をしても楽しくなっちゃうんで、くれぐれもご注意くださいませ。